2010年07月24日

全員協議会(2010.7.23)切手事件について

7月22日の北海道新聞朝刊・空知版の記事「幕引き図る月形町」は町民および議会に大きな影響を与えました。

この記事を読んだ町民から、様々な意見が各議員に寄せられたのは言うまでもありません。また、20日の臨時会での行政報告内容や、質疑応答でのやりとりからは「調査は継続」というニュアンスを受け取っていた議会にとって、たった1日で町側の態度が180度変わったかの印象を受ける報道に「議会軽視」の論調が出たのも理解できます。

これらの状況を受け、22日午後には翌日の全員協議会開催が決定しました。
以下、23日の全員協議会の内容を記します。
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【町長からの説明】
■ 20日の行政報告以降、2点について進捗あった
1 切手の換金に前教育長の関与あり
 ・ 7月20日に前教育長から文書の提出があった。
  換金時「事務所全体の意志がまとまったと思い黙認した。」
 ・ 40歳代男性職員の証言にも「切手発見時教育長に伺いを立てたところ
  『もういいか』と言われ、換金しに行った。」

2 切手の換金額は約10万円で確定
 ・ 職員本人の証言に基づき、ショップで当時(H18年7月〜H19年12月)の伝票を
  確認すべく調査を行った。他売買伝票は残っていたものの、この件に関する伝票
  は無かった。このため正確な数字は最後までつかむことができなかった。
 ・ しかし職員本人と教育委員会の別の職員から約10万円との証言をえたので、
  ほぼ間違いない数字と考える。
 ・ ショップで切手市場の様子を聞いたところ、
  「切手市場は低迷。」
  「状態の良い切手が持ち込まれても買い取り価格は売価の1割程度。」
  「(内容は分からないが)アルバム3冊で10万円なら良い値段だ。」
  とのこと。ハッキリした金額は出ないが、10万円は妥当と判断した。

■ 本来は、議会に対して先に報告すべきだった。申し訳ない。
■ 前教育長の関与と、換金額が確定したので、早急に行政処分を行いたい。

【質疑応答】
[警察への届け出について]

Q 議会の意向は「警察へ」だったが、それを無視して内部調査を続けている。
  内部調査ではムリがあるのではないか?
A 警察にはずっと相談している。足りない書類を指摘され、揃えている。

[行政処分について]
Q 事件が発覚してから4ヶ月間、未だ全容解明できていない。
  前教育長も嘘ばっかりだったし、職員の証言も信用できるのか疑問。
  内部調査だけのよく分からない状況で、先に行政処分では不十分ではないか。
A・行政側の都合として、日常業務をするために行政処分をきちんとやりたい。
  行政処分をすれば、移動(配置転換)ができる。
 ・ この問題の全容として、関係者が真実を語り出したのは7月1日から。
  途中行事や選挙などもあり、今ここまで解明でき、良く進んだという認識でいる。
  残念なのは嘘で長引いたこと。
 ・ 公務員の問題に対し、昨今の厳しい住民感情は認識している。
  今回も曖昧な処分はできないと考えている。

Q この事件の処分を決めるに当たり、この切手が「公有財産」か「遺失物」かが
  ポイントになると思うが、その判断はどうなっているのか?
A 処分を決める審査会の時に顧問弁護士の意見を聞いて決める。弁護士にゆだねる。

Q 今後真相解明を警察にゆだねたとして、
  警察の判断(刑事罰)と行政処分とに食い違いが発生した時にはどうするのか?
A・1つの事件に関し、一度行政処分を下したあとはもうそれ以上の処分はできない。
 ・行政処分において、決しておざなりな処分をする気はない。
  公務員に対する世間の感覚も加味し、弁護士に相談していく。

Q 今解っている範囲で行政処分だけを決めることは早急すぎないか? 
  刑事罰が確定してからでは?
A・重い処分が出るものと考えながら日常業務を続けることには問題がある。
 ・ 行政処分と刑事処分は一体でないと判断していた。
  刑事処分が出てから行政処分という議員からの意見に、どうしたらいいか。

Q 今回の処分に、換金以前の事務的ミス(切手発見時、適切な処理をしなかった
  こと。引き継ぎの際にも処理を怠ったこと。)は含まれるのか?
A H16年に教育委員会に持ち込まれた段階からかかわった職員が対象になる。
  発見時の職員の次は換金時の職員なので、引き継ぎ時に別の職員は絡んでいない。 

[前教育長について]
Q 新しく出てきた教育長の証言「事務所全体の意志」とはどういうことか?
  黙認ではなく、もっと重い責任があるのでは?
A 前教育長は事務所の総意があったと捉えているが、教育長の思い違いではないかと
  考えている。複数の職員の証言では、換金については50歳代職員と40歳代職員
  のみの判断で行われ、他の人には相談していない。

Q 前教育長の「もういいか」の発言、最初から換金または処分してしまう意図があっ
  たのでは? または、処理しなければと思いながらやらなかった不作為ではないか?
A・前教育長は過去からの記憶を呼び戻し「もういいか」。(深い意味は分からない)
 ・ この問題の考え方として「事務的なミス」と「不祥事」の部分があり、分けて
  考えたい。
 ・ この事件は組織全体で行われたことで、前教育長の指示もあると考え、責任は
  ピラミッドで考えていかなければならない。(処分も)職責で重さを変えていく。

Q 役場業務は法律に基づいて処理すべきことなのに、(教育長の発言は)業務に対し
  てどういう判断をしていたのかの疑問が湧く。役場の体質にも関係することでは?
A 安易な処理をしたと思う。今後指導していきたい。

Q 教育長は切手があることをいつ頃から認識していたか?
A 調査時「まだ処理していなかったのか」と言っているので、
  平成16年の発見時から認識していたと思う。

[今後について]
Q 町側の調査は不信だらけ。教育長の始末書を公開できないか?
A 個人の考えを示したもの。公表するつもりはない。

Q 処分後、町民にどう説明するのか? 町民集会等の開催は?
A・町民の代表である議会との話しで、町民の意見を聞いたと判断したい。
 ・ 町民集会は考えていない。報告は町報で。

Q 職員の処分だけでなく、町長自身、教育長の任命責任は?
A 任命責任、処理のまずさを認識している。自身の処分も考えている。

Q 行政に支障のないよう、人事を考えるべき。特に空席の部分。
A 人事によって多くの職員が動く。この事件も含め移動させたいと考えていたが、
  これまでの議論(刑事罰後に行政処分という意見があること)で再検討したい。

Q 今回の事務的なミスは個人的なものか? それとも役場全体の仕組みの問題か?
  これらミスに対して今度どの様な対処をしていくのか?
A 通常の寄贈は手続きがマニュアル化されている。今回はレアケースであった。


【議員間の議論】
● 町民には「早く終息させるべき」という意見と、「真相を究明すべき」という二通り
 の意見がある。議会も同じように二通りの意見になった。
● 日常業務に穴を開けないためにも、早急な行政処分は致し方ない。
● 真相究明については警察に届け出ることと、議会は以前から申し入れていた。
 そのことは今も生きている。
● 処分について
・ これほど大きな事件にした関係者を厳しく処分すべき
・ 感情に流されること無く、法律に則って処分すべき

議論が割れ平行線をたどっているので、最終的に決を取り、議会としての方向性を決定した。

■ 現状認識の元、早急に行政処分を行うこと。
■ 真相究明のために警察に届け出ること。

以上を文章にし、正・副議長が町側に申し入れる。
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この事件に対する議会の状況は、そのまま町民の感覚・感情とも同じだと感じます。

今回の全員協議会は、非常に深く長い議論を行いました。町側に対する不信感と様々な問題点があること、問題の解決に様々な視点があることなどからです。最後に至っても、議員全員一致の方向性は見えませんでしたが、長い議論で問題の整理ができたのではないでしょうか。
前に進まなければ問題は解決しないので、最終的に採決という形で決着させました。今後、議会はその方向で進みます。

私はこの問題を矮小化せず、役場組織の問題と捉えたいと考えています。

この事件に関係した人それぞれが、それぞれの行動に疑問を持つ瞬間があったことでしょう。それでも状況に流され、解決できなかったのはなぜか?

主体的に物事を考え、行動することができなかったからではないかと考えます。
■誰かの言うことを聞いていれば何とかなる
■(自分の行動を決める時)誰かに聞かなければ
■ 自分か関係しないことには興味がない。何をやっているのか解らない。
等の考えが役場組織に蔓延し、その一端が今回発露しただけかもしれないとも思っています。

役場職員は町民の様々な場面で手助けする立場にあります。町民の様々な状況や考えを自分のもの(理解し、寄り添う)とし、知識や情報を使って最善の方策を練るのが仕事だと、私は考えています。ならば、役場職員は誰よりも周囲に敏感でなければならないし、指示待ちでなく、自分の感覚を頼りに主体的に動かなければなりません。

主体性のなさは、そのまま住民の不満へと繋がると思います。

自分の町の行政を、職員を、誇れるようになれば、町民もより一層元気に、郷里に誇りを持てるようになるのではないでしょうか。

今回の事件解決までにはまだ時間がかかりますが、大きな学びを与えてくれました。

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