ひき続き、一般質問の概要です。
通常もっと内容を絞って記載するのですが、今回の内容は「切手事件」の新たな事実が示された部分もあり、それがわかる程度にまとめました。そのため長くなっています。
なお、この概要は私が議場で口述筆記したものを元に要約しています。できるだけ正確に書くことに務めましたが、漏れ等があるかもしれません。正確な情報は後日公開される議事録をご覧下さい。
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【順番2 宮元哲夫議員】
1.今回の不祥事に伴う町長の対応について [答弁者:町長]
Q 今回の不祥事は本来、教育委員会の事務方のトップである教育長が処理しなければならない事案
であったにもかかわらず、なぜ3日で辞表を受理したのか? また前教育長の渡部氏からは
「町長から強く辞任をうながされた」とも聞いている。どういうことか?
これら町長の対応のまずさが議会や町民に不信感を与えた。不祥事に度に再発防止を掲げながら
また再発している。これらのことから町長責任は重大である。
◆町長の見解は?
A ●辞表受理までの経過説明
・6月7日に教育長(渡部氏)が辞表を持ってきた。
・教育長(渡部氏)は「(教育委員会で調査は行ったので)今後は役場側でやって欲しい。」
「私は(切手紛失について)知らない。」と言ってきた。
私(町長)は「あなたがやるべきだ。」と言ったが、意志は固かったので辞表を受けた。
●渡部氏に対して
・(宮元委員の示した)渡部氏の発言には驚いている。
・渡部氏のこれまでの業績や行政手腕は評価している。感情的なことで対応したくない。
・渡部氏がきちんと対応していたならば、これ程大きなことにならなかったのではないか。
●町長としての責任
・町長就任後、平成18年に任命したが、事件は平成19年に起きている。
・組織としての規律のゆるみもあった。
→ 町長として責めを負う(今定例会に給与削減条例を提出している。)
Q ◆切手が「遺失物」である根拠は?
A(副町長)●経過を含めた根拠の説明
・一般に、古本と一緒に切手を寄贈することはないと考える。
→「寄贈者に切手を寄贈する意志はなかった」と捉えた。
・この時、寄贈者に返還できれば良かったが、寄贈者を特定できなかった。
・発見時に警察に届け出ていれば良かった。
→ この時届け出ていれば、6ヶ月(当時)で町の所有物(民法)。
寄贈されたものも10年で所有物になる。
・遺失物法では、拾得者は遺失物を警察に届け出るか、持ち主に返さなければならない。
しかしどちらも行わなかった。
→ 当時の教育委員会は所有者でなく、占有者となるだろう。
(弁護士の意見も加味して決定)
2.懲戒処分等審査委員会の構成員について
Q ◆懲戒処分等審査委員会は、町民3名と職員4名で構成されている。職員が過半数を占める状況で
公平・公正な審議ができるのか?
A ●以前は職員のみの構成だったが、平成17年からは民間2名を加えた。今回は民間2名の他に
北海道町村会顧問弁護士1名を加えている。職員がお手盛りしたとは考えていない。
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【順番3 楠 順一議員】
1-1.不祥事の再発防止について(法令遵守の取り組み)
Q ◆今回の不祥事は、職員が何気なくやっていることや生活の思考パターンによって
引き起こされたのではないか?
◆不祥事の再発防止のため、今後の法令遵守を、職員・役場組織に対してどの様に臨むのか?
A ●役場職員に、常々こういう事件の下地が培われていることはない。
ミスはあっても法令に違反することはないと思っていたが、こんなことがあって残念。
●職員倫理条例を制定し、きっちりやっていきたい。また研修計画を立て、管理職と職員が
互いにチェックできるよう、人事評価の中でやっていく。
Q ◆内部牽制が組織の中で機能しているのか? (認識されているのか?)
A ●複数でチェックすることは指示してやってきたが、残念。
きちんとできていればこんなことにならなかった。
1-2.不祥事の再発防止について(職員の事務について)
Q 役場は町民に対して文書主義であるのに、今回の切手の顛末等は記録が全く残っていない。
◆なぜ文書に残さなかったのか?
◆記録に残さないで扱われている業務が他にないか? あり得るか?
A(副町長)
●今回は特異な例。上司がしっかり指導できていれば・・・、これが原因だろう。
●組織の縦社会の中、先輩から後輩にしっかり指導し再構築していく。
今後は必ず起案をして上司に伺いを立てることをしっかりやっていきたい。
Q ◆上司の指導がなければ書類を残さないのは常識か?
◆最初から書類を残さないことで切手を闇に置いておくという意図があったのか?
A(副町長)
●こういう事例では、係員では判断できないだろう。上司に相談し進めるべき。
●意図的でなく「誤って寄贈したので預かる」という考え方だった。
短期的に置いておくのは必ずしもダメではない。ただ起案すべきだった。
1-3.不祥事の再発防止について(組織の風土)
Q (役場職員は)本来なら町民を守る方向に行くべきであるが、度を超えて「役場職員としての
立場を守る」という意識に変質しているのではないか? 住民の税によって成り立つ行政、
民間にも増してコンプライアンス(法令遵守)や説明責任を果たすべき。
都合の良いことは公開、都合の悪いことは陰に隠すなどの体質が残っているのでは?
長年にわたって培われた組織・職員の風土ではないか?
◆意識を根本から変える取り組みが必要では?
A ●そういう風土はないと認識している。
「ミスがあっても隠すな。」と言ってきた。理解しているはず。
何度も何度も機会を設けて言うしかない。誠実に取り組んでいく。
Q 町長は「組織風土の問題はない」と言うが、もう一度見直すべき。
世の中が変化していく中で敏感に対応していかなければならないのに、役場職員の思考と行動
が内向きと感じる。それを改善するために歴代町長は行ってきたが、浸透していないのが現実。
◆役場職員自身が変わろうとしない限り変われない。町長はどう思うか?
A ●この事件の特殊性について、職員の中で早急に対応したい。情報も出したつもりではあるが、
足りなかったかもしれない。外部倫理委員の答申を受けながらやっていきたい。
2.高齢者福祉計画について
Q ◆高齢者人口が増えている中で各種サービスの利用人数は横ばいか微増であり、データに違和感
がある。データの出所はどこか?
A ●高齢者福祉計画(平成21〜23年)は推計で、過去のデータを元に算出している。
過去に変動がなかったので、穏やかな伸びとなっている。
Q ◆後期計画に向けて、推計だけで良いのか?
◆計画では、予防介護の効果を汲んで施設介護の数字を下げている。介護保険財政も合わせた
中で推計を出しているので、実態を現していない。問題はないか?
A ●平成21年度の実績では、在宅は計画を下回り、施設入所は上回っている。
●現実は心配の元ではあるが、入所希望に添って単独自治体で対応するのは難しい。
Q ◆高齢者福祉のニーズと実態を調査すべきではないか?
制度の問題も理解するが、これは町単独でもできる事業である。
A ●計画と実績がずれていることに目を向けていく。きっちり調査してやっていく。
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【順番4 笹木英二議員】
※小項目の質問が多数だったので、わかりやすくするため整理しました。一部副町長が答えている部分もありますが、答弁者は省略しました。また内容については、間違いの無いように務めましたが、口述筆記なので充分ではありません。確実なところは後日公開される議事録で確認してください。
1.切手換金問題について [答弁者:町長]
(1)調査が長引いた理由
Q ◆3月に問題が発覚したが、6月の定例会直前に教育長が辞任するまでの3ヶ月間、目立った動き
はなかった。4月初めには「切手があって、今はない」という事実がわかっていたというのに、
何もしなかったのはなぜか?
A ●この時期、教育委員会に会計検査が入るので、一次調査を中断した。
また5月末の職員の自殺に際し、腰が引けたのは事実。
●3月〜6月までの詳しい経過
・3月24日 教育次長から職員27名分の調書が提出「切手はあっただろうが、今はない。」
・この後、教育長から申し出があり、(調査する側が交代)
副町長・総務課長・総務課主幹の3人で調査を行うことになる。
・4月13,14日 教育委員会の聞き取り調査を実施
・4月20日 教育長と面会「私は全く知らない。」
・4月20日〜5月24日まで中断(5月中に教育委員会が会計検査を受けるため)
・5月25日 調査再開
(2)教育長の辞任について
Q ◆教育長の辞任で一気に不信感が強まった。あの時期の辞任や、長い時間をかけて調査した後に
あまりにあっけない受理など、誰が考えても不信感を持つ。どういう理由か?
A ●幕引きを図ったわけではない。全く違う。
意欲のなくなった教育長には何もやれないだろうと判断した。
(3)教育長辞任に関する、6月4日のやりとりについて
Q ◆前教育長は「6月4日に副町長が教育委員会に辞任を促しに来た。」と言っているが、
どういう事か?
A ●6月4日に教育長と話をしたのは事実。「事件にかかわっていない。」と言いながら辞表を
持ってきた。ただ「続ける意志がなくなった。」と言った。
6月7日に退職金を戻すという辞表に書き直した。
Q ◆教育長の6月4日の件は今まで一度も話がなかった。なぜ今まで話されなかった?
A ●副町長と教育長の、特別職同士の話。ここまで公開しなければならないのか、疑問。
(4)新教育長の就任時期について
Q ◆「この定例会後に渡部教育長の送別会をしてあげたかった」との発言があったが、はじめから
この時期に松山教育長にするつもりだったのか?
A ●誤解がある。任期が終了する頃という意味。3期の実績を踏まえた表現。
(5)警察への届け出について
Q ◆なぜ司法に届けないのか?
A ●職員の自殺があってから計8回、警察に相談した。弁護士にも4〜5回相談した。
この対応に対し、スピード感がないと言われるかもしれないが、誠実にやっただけ。
決して、事件を闇に葬り去ろうとしていない。
Q ◆警察に8回も相談に行って、なぜ手続きをとらなかったのか?
◆データが不足しているからこそ捜査を頼むべきではないか?
◆なぜ取り扱ってくれなかったのか?
◆紛失届を出せば良かったのに、それすらも出さなかったのはなぜか?
A ●3月〜6月末まで、職員の換金・飲食は噂に過ぎず、警察に届けるほどとは思わなかった。
7月1日から供述を取ったが、行政内で処理できる案件と思っていたし、弁護士も同意見。
ある程度調査ができ、社会的制裁(退職)もあったので、加罰する必要ないと届出なかった。
(6)町発行のチラシについて
Q ◆8月20日のお知らせ号に折り込んだチラシ(町が事の顛末と処分内容を公表したもの)は、
町民の知りたいことに何も答えてない。町民は納得していると思っているのか?
A ●処分の根拠まで出さなければならないのか、倫理委員会で詰めてもらう。
(7)退職した係長について(退職の経緯)
Q ◆係長は「絶対に辞めない」と言っていたのに辞めた。辞めさせたのか? 本人から辞めたのか?
A ●辞任を強要したことはない。ただ2回「辞任するのが普通。」と話はした。「職場に残るのは
厳しい。」と言っただけ。
(8)自ら命を絶った職員について
Q ◆今のままでは犯人と思われてしまうのではないか?
A ●退職した係長と一緒に切手を売りに行っている。同罪である。
(9)信頼回復について
Q ◆町長は職員との接し方に問題がある。きちんとした隔たりがない。
一線を画し、厳しくやるべきではないか。
A ●私の想いが伝わらなければならないと、管理職に常々言ってきた。職員からのボトムアップを
図るようにも言ってきた。町職員が真っ当にやってくれるように管理職会議で言ってきたのに。
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今回の一般質問を通して、今まで知らされていなかった事実がわかってきました(特に3月〜6月の調査の経過、教育長辞任直前(6月4日)のこと、退職した係長の退職間際の状況など)。
これらは事件の調査が適切に行われたか、組織的な問題として取り組んでいるのか、事実と町側からの公表に相違がないか(問題の隠ぺい)等、検証する上で重要になってくる事実です。
これで益々、第三者機関(関係者以外による)としての倫理委員会の役割が重要になりました。倫理委員会での検証作業に着目したいと思います。
加えて「退職した係長の退職間際の状況」について、職員組合は何か対応しないのでしょうか?
町長は「強要はない」と発言していますが、権限のある上司の発言として問題はなかったのか? 私はパワハラ(パワーハラスメント)の要素を感じました。例えこの係長が組合員でなかったとしても、町長がこのような発言をしていたとすれば、組合員に同じような対応をするかもしれません。だとすれば対策など練る必要はないのでしょうか?
いずれにしても、不法行為であれば問題があります。ここもしっかり検証して欲しいと思います。
一般質問を通して、切手事件に関する理事者側の認識と取り組みは充分ではなく、特に再発防止については全く考えが及んでいないようです。頭がいっぱいになるほどの重大事件だったことは理解できますが、だからこそ早急に透明性を確保しなければ信頼回復などないのです。
もし理事者が「最善を尽くしてきた」と思うのであれば、発想を変えなければこの事態に対応できないでしょう。既にそういう場面まで来ています。
行政は仕事量も相当でしょうし、仕事の幅もあるでしょう。「だからできない。」「だから進まない。」と言う人もいます。でも、それ相応の人員もいるのです。そして3名の退職者を出すほどの大きな事件になってしまったのです。
要はこの問題をどう捉え、どれだけ真摯に向き合うかで、解決へ進み具合は違ってきます。
理事者は本当に最善を尽くしているのか、今一度検討して欲しいと思います。