2011年01月20日

『空知シーニックバイウェイの可能性』勉強会

1月19日午後、岩見沢市で開かれた『空知シーニックバイウェイの可能性』と題した勉強会に参加してきました。

「シーニックバイウェイ」とは聞き慣れない言葉ですよね!

シーニックバイウェイとは、Scenic(景観のよい)Byway(脇道、寄り道)という造語です。道路(車での移動)からの視点による景観・自然・文化・などを題材にした観光ルートそのものを指したり、ルート上にある地域がそれぞれの魅力を掘り起こす地域活性化の取り組みを指します。

今回の勉強会は「空知フード&ワインロード計画」協議会・ケータリング部会が主催です。この団体は国土交通省の「建設業と地域の元気回復助成事業」からスタートした団体で、空知建設業協会の若手の会が中心とのこと。異業種や地域連携を深めて空知を元気にしようと、シーニックバイウェイの可能性も探っている雰囲気でした。

なので、空知全体から集まった参加者約50名の多くは建設業関係者ですが、他にまちづくり関係の団体、農業や行政関係者なども含まれていました。

以下に勉強会で印象に残った部分を記します。
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空知のヒト、モノ、アイデアを繋いで、新たな空知を創ろう! 空知シーニックバイウェイの可能性

『シーニックバイウェイ北海道の全道的取り組み
            〜着地型観光とシーニックバイウェイ北海道〜』
     一般財団法人シーニックバイウェイ支援センター    原 文宏氏

■現状
シーニックバイウェイ北海道は平成17年からスタート。
・平成22年末現在、9つの指定ルートと3つの候補ルートがあり
 (右の写真:北海道のよりみちドライブ情報[Byway]より)
 約350団体が活動している
・全国組織「日本風景街道」との連携
 (観光資源販売の拡大を目指して)

■シーニックバイウェイには3つの連携要素が必要
 例)大雪・富良野ルート(美瑛・富良野)・・・・・・・・・農業(地域)、農村景観、観光
 例)東オホーツクシーニックバイウェイ(知床)・・・自然遺産、環境保全、観光

■着地型観光のポイント
・着地型観光とは・・・現地集合、現地解散が基本。
           地域がプロデュース。体験・交流・学習が目的になることが多い。
           ボランティアやNPOなども含む、地域住民による企画や「おもてなし」
・きめ細やかで、多様な観光スタイル = マスツーリズムのビジネスモデルでは儲からない
・ニッチ(隙間)、ストーリー性、体験・交流 がキーワード

■着地型観光を進めるための具体策
・潜在的資源の開発(魅力再発見。資源の掘り起こし)
・地産他消(地域で穫れたモノを、他の地域や人に消費してもらう)
・地域住民との交流の場の提供
・まちづくり、地域づくりとしての視点
・環境や自然への配慮
・客観的なデータ収集(開発の基本。重要)

■着地型観光の具体例
・除雪ボランティアツアー:都会の若者が(参加料を払って)田舎で高齢者の除雪ボランティア。
             その後、地元食材を使った食事を地域の人と食し、温泉入浴や
             アートイベントへの立ち寄りなどを含んだバスツアー。
・国道よごさん(453)キャンペーン:洞爺湖の周りのゴミ拾いバスツアー(有料)。
             清掃後にカーボンオフセットとして植樹を実施。
・シーニックワイナリーツアー:浦臼のワイナリーで
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『シーニックバイウェイ活動事例〈支笏洞爺ニセコルート〉』
      えにわシーニックプロジェクト      久保 純一氏

■えにわシーニックプロジェクト
・恵庭市内での地域の魅力掘り起こしてビジネス(ツアー化)まで繋げる
・実質的に企画や活動をしているのは15〜20名
・イベント毎に、市内の高校や大学のボランティアや他の市民団体、観光協会や行政とも連携

■恵庭市の魅力(ガーデニング、渓谷、自然)→ 事業化(以下の3つ)
◎ガーデニングマップ制作
 ・オープンガーデンをしている個人宅(個人名)が掲載されたマップの作成
 ・好評だったが、トラブルもあった(間違いや苦情、他)
 ・改善しながら制作 → 現在は環境協会と行政が資金支援して制作されている

◎ガーデニングツアー(大型バス1台45名で巡る。課題は多いが解決しながら進めている)
 ・人が集まらない → 札幌をターゲットにして解決。手身近だけではムリ
 ・一度に全員が食事を取れる店がない → 2軒に分けて対応。今は大型施設あり
 ・市内ガーデニングイベントとタイアップ
   → 失敗(ガーデナーさんが自宅にいない。イベント参加者が減る)
 ・住宅街に大型バスが乗り入れることによる問題
   → バスを小さくする・・・参加費収入が減り赤字
     大型バスは駐車場に置き、グループで分散ツアー・・・ガイドの人数必要
 ・利益がない → 今も悩むところ

◎紅葉ツアー
 ・渓谷近くの広い場所を利用してスタッフが料理を作り、みんなで一緒に食べる
 ・屋外や大人数での食事は、特に年配の人に喜ばれる
 ・新聞記事による広報・広告活動は強力。メディアの活用重要。
 ・45人の大型バスに対し、スタッフ50名ほど。現状ではとても商品にならない。

■活動のポイント
・食べることは喜び・・・食事のないツアーは魅力半減
・お土産が買えることもバスツアーの魅力
・シーニックは定義がない分、やりたいことが何でもできた
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数年前にもシーニックバイウェイの勉強会に参加したことがあったのですが、その頃より具体的事例が報告され、シーニックバイウェイが目指しているものが少し理解でき、裾野の広がりも感じました。

シーニックバイウェイの要素としての着地型観光が紹介されましたが、着地型観光といえばグリーンツーリズム。空知管内でも既に「そらちDEい〜ね」という組織があり精力的に活動していますし、月形町もその一員として広がりを見せています。
またフットパスも「歩く人の視点」ですが、シーニックバイウェイと同じコンセプトで活動しているように感じます。こちらも道内の様々な地域で進行しています。

シーニックバイウェイ、グリーンツーリズム、フットパス・・・いずれも地域の資源を地域の人が認識し、活用してこそ成り立つもの。その動きは各地で細かな点として始められています。それらが有機的に繋がる(有用に連携する)には、今以上に組織の壁(組織の成り立ち=担当官庁、業界)を超えなければならないでしょう。

しかし発想を転換すると・・・地域の魅力を再発見しさえすれば、様々な手法や媒体を使って広める下準備はできていると言えます。シーニックバイウェイ、グリーンツーリズム、フットパスも、そのツールなのではないでしょうか。

まずは地域資源の掘り起こしが何よりも先決ですね。月形の魅力を掘り起こしましょう。

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