2011年07月31日

亜臨界肥料とは・・・「生ごみ処理に関する学習会」の報告

7月29日午後、岩見沢市コミュニティプラザで開催された『南空知・わが町のこれからのごみ処理を考える学習会』には、岩見沢市民を中心に60名以上の参加がありました(岩見沢市議会議員の姿もちらほら。月形町からも楠議員と役場担当者も参加)。

学習会の内容は、主に「生ごみ処理における亜臨界肥料化の可能性」について。

前半は、(社)日本技術士会北海道本部資源・環境・健康分科会が、岩見沢市等に行った提言の解説。
これは現在、生ごみの処理に関し「溶融(もしくは焼却)処理」か「堆肥化」かという論点で行政と市民団体が膠着状態に陥っている岩見沢市の状況に対し、技術士会から「亜臨界肥料化」という選択肢もあるのではないかという提案がなされ、その内容について概要説明です。

後半は、パネルディスカッション形式で「亜臨界肥料化の可能性について」の学習会。
と言っても「亜臨界肥料」そのものがまだ知られていないので、「亜臨界肥料」とは何かを様々な専門分野を持つ北海道亜臨界肥料流通機構のメンバーが解説、その可能性と課題について示しました。

その中でコーディネーターである私の役割は、「亜臨界肥料」という聞き慣れない言葉と技術を、会場の皆さんにいかに理解していただくかだったのですが、全体の雰囲気や質疑の内容からある程度目標が達成できたように思います。私自身が当初「亜臨界肥料」に懐疑的だったので、その疑問を晴らすために学んだことが役立ったようです。

以下、「亜臨界肥料化」について解説の一部を紹介します。
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亜臨界肥料化とは・・・

【技術】
■圧力鍋と同じ原理
■水を高温高圧(約20気圧、200℃)の亜臨界状態(臨界状態=液体でも気体でもない状態:の一歩
 手前)にして、有機物を加水分解したもの。
■(月形町と美唄市で検討を行っていた)高温高圧処理と同じ。同じ機械で製造する。
■短時間で分子間結合を切る(タンパク質→アミノ酸、セルロース→ブドウ糖)

【特徴】
■予備実験で、プラスチック片も分解可能(→生ごみに混じったプラスチック片の処理も可能か)
■亜臨界肥料化(高温高圧処理)は燃料を必要とするが、短時間で肥料化できる。よって、製造過程
 で排出される温暖化ガス(CO2、CH4等)は、堆肥製造過程の排出量より少ないと考えられる。
■生ごみを堆肥化するより、含有アミノ酸量が増える(特に低分子アミノ酸)

【肥料効果】
■葉物野菜で実験:堆肥以上の肥効
■今年度道内各地、様々な作物で実験中

【その他】
■生ごみ以外にも有機物から肥料化が可能(下水道汚泥、ホタテのウロは実験済=良好な肥料)
■下水道汚泥を原料にした亜臨界肥料は既に市販されている。(普通肥料登録)
■生ごみの亜臨界肥料化はまだ行われていない。北海道が先進地。
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ゴミはできるだけ小さな循環(身近な所)で処理した方がロスが少なく、効率的です。生ごみ処理の最も良いのは家庭での処理。堆肥を家庭菜園等で活用しようと思えば分別もしっかり行います。また、コンポスト処理や堆肥化は安価に簡単に資源を循環することができます。

一方、自治体単位(特に大きなまち)で生ごみを処理しようとする時、堆肥化には様々な問題が出てきます。
まずは「分別の不徹底」。意識の高い住民は分別しても、そうでない住民の影響で異物の混入は避けられません。実際に生ごみの堆肥化等に取り組んでいる先進地で問題になっていて、様々な方法を駆使し費用を掛けて取り除いています(ただし完全にはできていません)。そのため出来上がった堆肥の引受先がないこともしばしば。大きな課題です。
他に臭気問題、製造・保管場所の確保、製造期間の問題、等々。

岩見沢市は「9万人都市で生ごみの堆肥化はできない」と、市民団体からの要望(生ごみ堆肥化)をはねのけました。確かに9万人都市で工業的に堆肥化をしている例はなく、実際にも難しいと思います。
しかしながら段階的・地域的に取り組むなど努力できる点もあるのでは?
また今回の「亜臨界肥料化」も一つの選択肢として、検討してもも良いのでは?

月形町も「長いものに巻かれろ」的に傍観するのではなく、独自の「ゴミ処理理念」を持つべく議論していきたいものです。

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