2013年02月03日

小規模自治体、注目!!【道北地域地方自治土曜講座:2012年度第2回】

一昨日は朝から季節を相当に先取りした暖気で雪が緩み、街中が水浸しに。それが一転、その夜から氷点下の気温と強い風で、一面、氷の世界! 

ほんの1〜2日で 雪→水→氷(ふわふわ→ベチョベチョ→コチコチ)と、水の状態変化を体感しています。北国に住んでいれば何度も目にする光景ですが、科学現象を生活の一部として体感できるおもしろさがあり(現実には危険も伴いますが、それはそれとして)厳しい季節をやり過ごす一つの楽しみです。

今日は立春。暦と太陽の日射しは春に一直線ですが、現実には冬と春の間を行きつ戻りつ、気持ちも一喜一憂しながら何となく進んでいきます。1年のうちの熟成期間かもしれませんね。
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さて本題。一昨日(2013年2月2日)、旭川市ときわ市民ホールで開催された『道北地域地方自治土曜講座』に行ってきました。今年度2度目の開催で、今回のテーマは『持続可能な地域づくりのために』。参加者は自治体職員を中心に学生や首長、議員、市民の姿も。80名近い人で盛況でした。

講座では、最初に北海学園大准教授(地方財政論)西村宣彦氏から、夕張問題や政権交代の影響など現状課題の提示があり、持続可能な地域づくりの指針として[幸福度]という視点が上げられました。

続いて、道北地域の首長によるパネルディスカッション。パネリストは
中川町(道北北部、人口1800人、農業・林業)町長 川口精雄氏
東神楽町(道北中部、人口9900人、旭川市のベッドタウン)町長 山本 進氏
南富良野町(道北南部、人口2800人、9割森林、かなやまダム)町長 池部 彰氏
司会は北海道新聞旭川支社報道部長 石川 徹氏、コメンテーターに西村宣彦氏。

1時間半にわたり、各町の現状と課題、取り組み事例、地域づくりに必要な要素、などについて熱のこもったお話を聞くことが出来ました。

いつもは講座の内容や印象に残った点を記すのですが、今日は私の感想と考えを。
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道北地域は北海道内でも過疎の進む地域で、人口規模も小さく、地域を牽引する大企業や収益性の高い産業があるわけでもなく・・・多くの人が暗く、停滞するイメージを持っていることでしょう。しかし、道北地域の現場や首長、職員の方々に接すると必ず「輝き(光とパワー)」を感じ、圧倒されます。それがなんなのか、今回の講座でハッキリ見えました。

『地域に踏みとどまって生活したい』という自律した強い気持ちです。

今の日本の主流は、経済の効率性や採算性を最重要視しています。結果として都市部に集約することを求め、地方は切り捨ての対象になってきたと感じます。特に生活の拠点が都会にある人々(マスコミに登場する人々、経済団体代表や国会議員、都市部の首長)にはそういう視点を感じますし、地方暮らしであっても経済至上主義であれば同様です。

しかし、社会全てが効率性だけで回ることはあり得ない。非効率・非採算性の仕事や暮らしを誰かが担っているからこそ社会が成り立っていると思います。それが都市部と地方という関係だけでなく、日本と発展途上国、大企業と中小零細事業者、職場と家庭、土地利用型農業と労働集約型農業、正規労働と非正規労働、男性の社会進出と女性の家庭内就労 ・・・ 様々な場面で「表」と「裏」の関係になっているように思うのです。

私たちは今まで「表」ばかり見てきた、というか、表をいかに輝かせるかに心血を注ぎ、投資をしてきたと思います。しかし現実には表もあれば裏もある。双方は常にバランスをとっているのだから、表に手をかけたのと同じだけ裏にも手をかけなければならなかった。でも「裏」側を見て見ぬ振り、先送りしてきて、そのツケがいよいよ・・・ 体罰やいじめ、毎年3万人の自殺なども根っこは同じだと感じます。

私は、「地域に踏みとどまって生活したい」という道北の人々の願いが叶うことが、今の日本における持続可能な社会実現の一つの指標になると考えます。
彼らは決して、現代日本の繁栄の代償や補完のために地方の暮らしを求めているのではなく、「地方には魅力があるから、地域に踏みとどまって生活したい」と訴えているのです。都会と同じ基準の生活を求めているのではなく、地域に誇りを持ち、個性を大事にした暮らしを望んでいます。つまりは「多様な価値観」の提示であり、閉塞感の打破に繫がっていくのではないでしょうか。

北海道には179の自治体(市:35、町:129、村:15)があり、その40%が人口 5,000人以下の小さな自治体ですし、「町」が自治体数の7割を占めます。

人口の35%が札幌市に集中しているとは言え、北海道を構成する要素の多くは「小さな自治体」や「町」であり、そこが生き生きとすることこそが北海道の活力に繫がる ・・・ 
私は、道北地域にはその鍵があると、強く感じています。


いくら言葉を並べても、稚拙な表現では伝わらないですね。

これを読んで何かを感じたみなさんには、ぜひ機会を見つけて道北の人々の熱い想いに触れて欲しい。きっと「輝き」を感じ、未来を拓く力を得ると思います。

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