2014年09月19日

基礎自治体教育委員としての活動が出来るのかがポイント【私は教育委員2名の同意案に反対するも、賛成多数で議会は同意】

月形町の教育委員は3名体制ですが、そのうち2名が間もなく任期切れになることから今定例会に【教育委員任命の同意案 2件】が提案されました。いずれも再任で、1人は豊田揺子氏(花の里保育園の園長)、もう1人は松山徹氏(教育長)です。私はこの同意案2件ともに反対をしました。

同意案=人事案件を審議するのはとても重い責任を伴います。その中で【反対=不同意】がどれほど重くて厳しい決断か・・・それでも私は【反対=不同意】しました。それは以下の理由からです。

なお、議会の審議では起立採決が行われ、豊田氏の同意案に対しては【賛成7,反対2】、松山氏の同意案に対しては【賛成8,反対1】となり、いずれも賛成多数で原案可決(議会の同意が得られた)となっています。
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豊田揺子氏の教育委員任命に対する【反対=不同意】の理由

[背景]
・町内唯一の認可保育園である町立「花の里保育園」は指定管理者(社会福祉法人 札親会)が運営。豊田氏は札親会の職員であり、花の里保育園の園長(代表者)。札親会は月形町や札幌市などで障がい者福祉事業や高齢者福祉事業などを多数経営しているが、保育園経営は花の里保育園のみ。
・町内唯一の私立幼稚園(月形大谷幼稚園)が閉園することに伴い、町内の幼児教育の場は平成28年4月に開園する認定こども園のみになる。町長は「(指定管理者は)札親会にやってもらう」と公言し、それを前提に準備作業が進んでいる。
・開設準備を行う「開設準備委員会」は教育委員会の所管(事務および予算措置)。
・「開設準備委員会」のメンバーは、教育委員会、保健福祉課、学校法人月形大谷学園(月形大谷幼稚園)と社会福祉法人札親会(花の里保育園の指定管理者)の理事者。その幹事会のメンバーに豊田氏も名前を連ね、実務に関係している。
・認定こども園開設後(実際には認定こども園条例ができてから)の所管は、手続きに関わるもの(認可申請、建物変更計画、入所案内、他)は保健福祉課が担当し、教育内容などの中身に関するものは教育委員会が担当するとのこと。

[理由]
■そもそも豊田氏は「認定こども園開設」に直接関わっている。指揮・監督する立場と実際に運営あるいは従事するのが同一人物で、公平公正な業務が行えるのか?

■教育委員会で「認定こども園」「幼児教育」の議題で、豊田氏は除斥の対象となる。
→ 3人しかいない教育委員のうち、1人は除斥、1人は教育長で議案の提案者、もう1人は教育委員長で会議を統括する立場・・・これで十分な審議が行えるのか?

■教育行政における幼児教育は一分野に過ぎないが、「認定こども園」は教育内容などが全く決まっていない段階で、これから重要な局面を迎え検討すべき課題は山程ある。今の教育行政の中でも大きなウエイトを占めている重要視すべき課題。


※なお、【賛成討論】で楠議員からは以下のような内容の発言がありました。
・豊田氏は教育委員1期4年の経験があり、現場をよく知っている。
・教育行政における幼児教育は部分に過ぎない。幼児教育だけが肥大化していないか。
・月形町は人口が少なく、行政と全く利害関係のない人はほとんどいない。利害があったとしても問題が起きないように除斥制度がある。除斥制度を上手く活用して業務を進めるべき。
・社会福祉法人の職員であるので、個人利益を追求するようないかがわしさは考えられない。

※反対の立場の平田議員からは、質疑の際に以下のような意見がありました。
・同意案に反対が出ることも、質疑が多く疑念があることも今までにはほとんどない。このような人物で本当に問題はないのか?

[結果]原案可決=同意
賛成7:大釜議員、楠議員、堀副議長、鳥潟議員、金子議員、金澤議員、宮元議員
反対2:宮下議員、平田議員
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松山徹氏の教育委員任命に対する【反対=不同意】の理由

[理由]
■基礎自治体(町)教育委員会の業務に対する認識の違い

・地方分権により基礎自治体の教育委員会には、地域特性にあった独自の特色ある教育の推進が求められている。しかし、松山氏はこれまでの教育長としての答弁で「文部科学省 → 道教委 → 町教委 → 学校というの流れが教育システム」「町教育委員会は、道教委から来たものを実行し、指揮監督すること」と発言している。学校教育において、独自に取り組む姿勢が感じられなかった。

■教育長として事務全般を取り仕切る立場だが、充分に役目を果たしているのか疑問
・言葉では「進めている」と言っているが実際には後退していると感じることがある。(例)地域に開かれた学校、学校施設の管理、教育情報の公開(全国学力テスト結果等)

■大谷幼稚園閉園までの経緯と幼児教育への対応に問題がある
・これらの対応に、事務方のトップとしてもう少しできることがあったのではないか。町民との信頼関係においても重要な場面だったのではないか。

■教育的な模範となるべき行動が求められる立場だが、必ずしも充分でない


【賛成討論】で楠議員からは以下のような内容の発言がありました。
・人事権は首長にある。よほど不適格でなければ、首長の人事権への介入は慎重であるべき。

[結果]原案可決=同意
賛成8:大釜議員、楠議員、堀副議長、鳥潟議員、金子議員、金澤議員、宮元議員、平田議員
反対1:宮下議員
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今回の同意案の審議にあたって、私は【無記名投票による採決】を提案しました。本来なら議員は個人の意見を正々堂々と発することが求められているのですが、こと人事案件に関しては、月形町のような小さな自治体で誰もが顔見知りの状況からくる「しがらみ」や「議会内での力関係」などによって、正当な判断ができにくいと考えたからです。このことは月形町に限ったことではなく、検索すればたくさんの事例が出てきます。

議長が慣例に従い「起立採決」としたところで私から「無記名投票」の動議を出し平田議員の賛同を得られたことでいったんは成立したのですが、その後、堀副議長から「起立採決」の動議があり鳥潟議員の賛同で成立。全議員による裁決で「起立採決」を行うことに決定しました。

私も起立採決によって全てが「見える化」することはとても良いことだと思います。が、それは一人一人の議員が確固たる考えと立場を持って審議に臨んでいる時に初めて有効に働きます。月形町議会議員がそうでないと言っているのではなく、人事という心理的にも対外的にも微妙な案件には配慮も必要かと・・・

もっとも、私自身は全てをさらけ出して反対討論を行っているのですから、採決方法がどうであれ、今後の軋轢は避けられそうにありませんね。それも含めて、私は自分の行動に迷いはありません。

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