2014年09月28日

2極化、格差拡大。進むべき方向は納得できるが、居眠り自治体・議会に必要なのは・・・【北海道自治体学土曜講座 第4回 さらなる自治体・議会改革の必要性〜「いま代表制民主主義が危ない」】

北海道自治体学土曜講座 第4回が、9月27日(土)に北海学園大学で開催されました。今回のテーマは【さらなる自治体・議会改革の必要性〜「いま代表制民主主義が危ない」】、北海道自治体学会との共催です。会場には、いつにもまして議会関係の参加者が多かったように思います。

以下は当日のプログラム。あわせて私の印象に残った点を記します。
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第1講 
■基調講義「代表制民主主義の再構築〜議会が変われば自治体が変わる」
                   神原 勝 氏(北海道大学名誉教授)

[内容メモ]
・「二元代表制」の言葉は、1970年代に造語されたが普及せず。7、8年前から自治基本条例制定や地方分権の流れの中で一般に広まった。今は中学校公民教科書(東京書籍)にも記載されている。
・自治体は「機関対立型」の政治・行政。国は「機関一体型」。原理が違う。
・議会(=合議制)のメリットは、多様な争点・論点の提起。
・議会は「討論の広場」。議会には様々な主体(市民、首長、議員、職員)が登場する。
・過程分立の概念を活用すれば、議会はどの局面に関しても論点・争点を提起できる。
・今までは「議員あって議会なし」。議員間討議の導入で「機関としての議会」になる。
・これまでの議会改革の力点は「議会の見える化」だったが、これからの議会改革の主眼は「議会が変われば自治体が変わる」。総合計画条例。議会改革は決して内部改革ではない。
・常任委員会における個別事業の評価(継続・修正・廃止・新設)が、議会による政策提案となる。常任委員会における政策論議の活性化が重要。
・自治体の政策ルール(首長と議会の緊張)が確立して初めて、市民と議会の双方向性の確立、議員間討議の推進が可能になる。
・議会改革を支える事務局は、自治体職員を鍛える最高の場。

■事例報告「地方自治の分立と議会」勢旗了三氏(北海道町村議会議長会参与)

[内容メモ]
・議会への住民参加は遅れている。まずは「真似る(コピーする)」ことから。
・委員会活動を行うには、最低6人は必要。(正副議長が同時に事故に遭うことがある。残りの4人の委員の中から暫定議長を決めると、審議する委員は3人になるから。2人では議論にならない。)
・議会は2極化している。改革に前向き・後ろ向き、自治体規模の大・小など。


第2講 ■実戦報告「芽室町議会における取り組み〜反問できる議会とは」
                 西科 純 氏(芽室町議会事務局)

[内容メモ]
・西科氏が事務局長に就任してからの4年間の取り組みを紹介。(精力的で様々な取り組みあり。詳しくは芽室町議会のホームページへ。)
・議会事務の継続性担保のための取り組み(議会基本条例や議会活性化計画、ICTの活用、HPでの公開、他)
・議員のモチベーションを持続するために、各常任委員会からの政策提案の競い合いや議員間討議の導入、他。
・議会改革とは、住民参加と、住民が参加の意義を感じられること。


第3講 ■討論「さらなる自治体・議会改革の必要性〜地方分権の成熟に向けて」
 司会:  石井 吉春氏(北海道公共政策大学院教授)
 パネラー:西科 純 氏(芽室町議会事務局長)
      神原 勝 氏(北海道大学名誉教授)
      松山 哲男氏(登別市議会議員)
      勢旗 了三氏(北海道町村議会議長会参与)

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「自治体は機関対立型の政治」「機関としての議会」など、二元代表制の下で議会が機能するには、(議員間討議などで)議会全体の意思を明確にすることが重要であり、目指すべき方向だという内容だった思います。確かにそうだと納得できるのですが、うちの議会や行政の現状を考えると道のりは遙かに遠く、相当に「置いていかれた」感があります。ここでも2極化、格差拡大の現実をたたきつけられたようで途方に暮れました。

先進議会の取り組みは「政策提案する議会」に向けたもので、常に「未来」を視点に置いていると感じました。一方、うちのような「居眠り(時代に遅れている)議会や自治体」は、今議論している案件(現在)、事業が進んでいる=過去に議会が関わった案件(過去)において、間違いや住民視点の欠如などの問題が山積みで、その対応や解決に追われているのが実態です。つまりは「未来」にも増して「現在」「過去」への視点が必須です。そうなると、議員や議会が身につけなければならない視点や資質は、政策提案よりはむしろ「チェック機能の強化」であり、実務的・実践的なものになると思うのです。

討論の最後で「住民の意見を聞く方向に議会はシフトしていくのではないか」というお話しだったのですが、うちの議会の様な極々小さい自治体(人口5000人以下。月形町は3,500人)では暮らしの中で住民との接点も多く、特別な仕組みを持たなくても住民意見が政策に取り入れられる場面があります。よって、議会や議員に求められるのは「広聴性」よりはむしろ「専門性」なのではないかと。


いつも講座が終わると、新しい知識や発想を得られてハツラツとした気持ちが湧いてくるのですが、今回はドンヨリ曇天模様、重たさいっぱいで帰宅しました。(討論最後の貴重な質問時間だったのに、まとまりのない整理のついていない質問をしてしまったことも・・・一因。参加者の皆さん、ゴメンナサイ。)

ドンヨリ曇天模様でも、ちょっとは晴れ間も。久々にお会いできた人との会話と笑顔は励みになりましたし、抱えている課題を専門家に相談することもできました。それに、大学の雰囲気や札幌の街並みは気分転換になりましたよ。

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