2014年10月11日

人間国宝はやっぱり違った!【芸術鑑賞会・中高生の部/一龍斎貞水の立体怪談】

深まりゆく秋・・・ 
今年は気温が低い分、いつもより1ヶ月早く季節が移っているように感じます。

そんな中、【10月8日の午後、月形高校で芸術鑑賞会が開催される】との案内がIP電話から流れてきました(写真)。これは教育委員会社会教育係が主催する芸術鑑賞会で、今回は中高生を対象に、一般にも開放されたもの(他に、幼児や小学生、一般を対象にした催しもある)。
やっぱり芸術の秋。「立体怪談」??? と「人間国宝」!!! の文字にひかれ、足を運んでみました。


会場の月形高校体育館には中高生約200人と、私と同じようにIPの案内で興味を持った一般町民10人程が、開演するのをワクワクしながら待っていると・・・

まずは開口一番として、お弟子さんの一龍斎貞橘さんによる講談のイロハと一節。
講談師は希少種で70人ほどしかいないとか(ちなみに落語家は約1,000人)、講談は長い長い話を何日にも渡って語っていく連続ドラマのようなものだとか、同じ物語(例えば昔話の桃太郎)でも講談と落語ではこんなに違うとか・・・。へ〜 なるほどね。
でも、古典の軍記物を講談の本格的な口調で語ってくれたものは上手く聞き取れなくて・・・。これから先、1時間以上の公演が続くけど大丈夫かなあ、ちょっと心配。


そしていよいよメインの「立体怪談」。舞台には怪談にふさわしい飾り付けがなされ、講談師で人間国宝の一龍斎貞水さんが入場。会場がにわかに暗くなり・・・

あ〜、やっぱり人間国宝の話芸はスゴイ!!

それまでの心配など何もなかったかのように、一龍斎貞水さんから発せられた言葉の一つ一つがスーッと届き、あっという間に物語に引き込まれ・・・ 怪談を聴いている私の顔は心理的恐怖でこわばって、いつの間にか眉間に力が入ってコワ〜イ顔になっていました。


会場を後にして余韻に浸っていると、一緒に聴いていた町民の皆さん(みんな顔見知り)が口々に「やっぱり人間国宝ってスゴイね。来て良かったね〜」と。地元にいながら希少な講談の、それも人間国宝の話芸を堪能できたことはとてもラッキーでした。

が、本当に良かったのは、子ども達が講談界の最高峰に触れられたということ。あの場にいた子ども達の何人かの記憶には「講談」が確実に擦り込まれたことでしょう。そして何かのきっかけで「講談」を話題にし、寄席に足を運ぶ人もいるかもしれない。「講談」というキーワードで誰かと繫がることができるかもしれない。伝統を引き継ぐ当事者になるかもしれない。少なくとも、そういう機会が与えられたことは、地方に住む子ども達にとってとても重要だったと思います。

一龍斎貞水さんのホームページを見ると、この日の前後で北海道内を同様の企画で回っているようですし、全国各地でもそう。生で話芸を伝承するために精力的に活動されている姿に頭が下がりました。

一龍斎貞水さん、ご一門の皆さん、ありがとうございました。
そして、企画運営をしてくださった社会教育係の皆さん、お世話になりました。

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