2015年06月30日

どれも教科書、なのに受ける印象がこんなに違うの?!【平成28年度から使用の中学校用教科書展示会】

今、各自治体では、平成28年度から中学校で使用する教科書の展示会が開かれています。

月形町では、6月19日(土)〜7月4日(土)の午前10時〜午後6時まで、月形町図書館1階の閲覧室で見ることができます。

ここに展示されているのは教科書検定に合格した全教科の教科書で、このあと教育委員会の選定委員会によって(月形町では共同採択方式をとっていて、岩見沢市を除く空知管内23自治体によって採択地区協議会を持ち)、平成28年度から中学校が使用する教科書(採択地区内は同一)を採択します。

教科書検定に合格した教科書が一度に見られる滅多にないチャンス。ということで、先日私も見に行ってきました。
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「こんなに種類があるの!」
というのが第一印象。私が知っているのは、ほぼ全ての教科を手がける大手の出版社くらい。ある教科に特化して制作している出版社がこんなにあったとは!

全てを見るには時間もないので「社会/公民」だけを抜きだしてみたところ、全部で7社。ランダムにぺらぺらとめくっていくと、どの教科書もほぼ同じ順番で内容が展開され、重要な語句は太字になっているのも同じ。出版社によって写真や引用文、デザインなどが違っていても「教科書検定」を通ってきているから本文は同じなんだ・・・ と思っていたら「あれ?」

何気なく開いた「家族の役割」という項目に目が止まりました。(以下、引用部分は私が書き写したもの。コピーや写真撮影ができなかったため、誤字脱字等はご容赦ください。)

【家族の役割】 結婚していない働き盛りの男性や高齢者の単身者からなる単独世帯が増加しています。一方で育児期の家庭では夫が仕事をして妻が専業主婦の夫婦が現在も高い割合を占めています。また、祖父母の育児支援が得られやすい、祖父母・親・子の三世代の同居や近居の価値も見直されつつあります。[育鵬社/P18]

う〜ん、統計的数字を追えばこういうことが言えるのかもしれないけれど、それにしても単独世帯について『結婚していない働き盛りの男性』と、ことさら強調しなくてもいいのに。それに『育児期の家庭では夫が仕事をして妻が専業主婦の夫婦が現在も高い割合を占めています』のところ、今現在を切り取ればそういう数字を示していても、すでに傾向は変わってきているのに・・・

なんか変だなあと感じながら、他の教科書の同じ部分を見てみました。

【家族の変化】 今は「夫婦と子ども」または「夫婦のみ」で構成される核家族世帯が増加し、3世代同居世帯の割合は低下しています。近年は、一人暮らしの単独世帯が増加してきています。[自由社/P22]

【家族形態の変化】 現在では三世代家族は減少し、夫婦のみ、あるいは夫婦と子どもだけなどの核家族に加えて、ひとりで暮らす人も増え、さまざまな家族の形態が見られるようになりました。[帝国書院/P18]

家族形態について項目立ていているのはこの3社しかなくて、それ以外の4社は『家族は社会集団の1つ』という取り上げ方をして、サラッとした記述しかありませんでした。(時間がなくて全ては書き写せなかった。)
その4社の中で多少詳しく書いているとすれば

【家族と社会】 核家族が増え、高齢社会をむかえた今日では、地域の人々が互いに助け合うことが、生活をより豊かなものにしていきます。[日本文教出版/P22]

『家族』のとらえ方1つでも、こんなにも違いがあるとは! 正直驚きました。
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教科書(出版社)によって書き方が違っていると、歴史の教科書が話題になりますが、公民であっても同じ。百聞は一見にしかず、自分の目で確かめることが重要ですね。
(数学など論理的に進める教科はどうなのか、他の教科書にも興味がわいています。)

これだけたくさんの種類の教科書があっても、子供達に提供されるのは1種類。子どもにとってはそれが「全て」になりかねません。慎重に選ぶ必要があるし、私たちも、どんな教科書が選ばれたのか注視する必要があると感じました。

それとあわせて、情報の多様性・透明性は必要だと改めて感じました。特に教育分野においては重要。今現在だけでなく、未来に対しての影響と責任がありますから。
社会には様々な考えがあり、視点もある中で、何か1つをごり押ししたのでは歪みが出てきます。

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