2020年03月18日

令和2年度予算に対する所感【令和2年度第1回定例会/報告3】

令和2年度の一般会計予算に対する私の所感です。月形町の財政状況を念頭に、私の視点で予算のポイントと課題を整理しました。
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《令和2年度一般会計当初予算に対する所感》
 
■子どもを持つ世帯への支援、どうして「経済的支援」ばかりなの?
 
令和2年度の子ども関連の補助事業は以下の通り。
1)高校3年生までの医療費(入院も通院も)は全員無料。所得制限なし【拡充】
2)中学3年生までの子どもが町外に通院したら、誰でも1回千円の通院費助成。条件は
・法定予防接種を受けた時【新設】
・歯科以外の診療科で医療を受けた時(薬局のみは対象外)【拡充】
3)認定こども園の利用者全員(0歳〜就学前、1〜3号)全額無料【拡充】
4)小・中学校の修学旅行のバス代助成【新設】
5)町外高校に通う町内在住の高校生にも(月高生同様の)資格取得・模擬試験の半額助成【新設】  ※月高生(町外在住も含む)には今まで通りの支援があります(入学祝い金や通学費半額助成、資格取得と模擬試験助成、進路別祝い金等)。
 
こうして並べてみると壮観! 
1つ1つの事業意図は理解しますし、(5)は私が以前から「公平性」の観点で要望していたもの(4)は少子化進行の中で重要な施策だと思っています。ですが(1)〜(3)は大盤振る舞いだと思うのです。というのも(1)医療費無料化と(3)認定こども園無料化の財源の一部は借金=地方債(=ソフト事業用過疎債を使うので、金額の7割が後年に交付税で補塡)です。いくら有利な借金とは言え、ランニングコストを借金で賄うのはやり過ぎでしょう。できる範囲で拡充していくなら意味があると思いますが、身の丈以上の施策は続かないし、バラマキのように感じます。
 
行政ができる子育て支援策は、経済的な支援だけ?
今の日本で子育て世代への経済的支援をするなら、費用のかかる高校生・大学生が対象でしょう。奨学金返済による生活困窮は社会問題化しています。それに対して幼少期には児童手当が出ていますし、支出そのものが少ないです。幼少期の子どもを持つ家庭に今一番必要なのは「セーフティネットとしての人的サポート」だと私は考えます。このことは一般質問で取り上げたので、そちらの報告で詳しく。
 
 
■異例! 半年の指定期間(振興公社による温泉とホテルの運営)
 
皆楽公園全体の管理運営の指定管理者である振興公社は、一時借入金が膨らんでいてとても厳しい経営状態が続いています。町は「令和元年度にテコ入れする」として、課長クラスの職員を派遣したのですが改善していません。そこで町は、温泉とホテルの指定管理期間を令和2年4月1日〜9月30日の半年に短縮し、指定管理料は年間の約4割としました。
4〜9月は北海道の観光業にとって繁忙期、この時期に貯えて閑散期の冬期をしのぐのが通例です。繁忙期の運営の先はどうするのか?  
新たな事業者が閑散期から始めるとは到底考えられないので、10月1日以降も振興公社が運営をするなら、その指定管理料は跳ね上がるのでは?
 
年間を通して続いていく事業を「半年」という区切りで対応するなんて、行政の年度予算制度を知っている人なら、この事態の異常さに驚くでしょう。指定期間を半年にした理由を質しましたが納得できませんでした。うがった見方をすれば、当初予算を低く抑え、経営上の問題をわかりにくくしたのではないかと・・・。いずれにせよ要注意です。
 
 
■JR代替バスの最終便が1時間早くなる → 夜間送迎ハイヤーの運行
 
《解説》 JR廃線に伴う代替バスは、運転手の労働時間等の関係から最終運行が1時間早まります。これまで最終便を利用していた町民がいることから、町借り上げの夜間送迎ハイヤーを運行することになりました。町説明の事業設計では、この夜間送迎ハイヤーを利用できるのは定期券保持者のみ(最大4人まで、空席があっても定期券を持たない人は乗せない)。平日のみの事前予約制、運賃無料(すでに定期代を支払っているから)というもの。
当別駅〜月形駅までの夜間ハイヤー代は約8千円。平日のみなら年間250日。普通にタクシーを毎日利用しても年間200万円しかかからないのに、予算は450万円(事業者と定額で契約予定)。定例会初日(3月3日)にこの説明を受けて議会が反発しました。
 
《所感》 JR代替バスは4月1日から運行開始なので、夜間送迎ハイヤーも同時に始めたいと焦っていたのは解ります。でも、5月6日まではJRが走っているのですから、夜間送迎ハイヤーは5月1日から運行開始でも充分間に合ったのです。その間に議会に事業設計を説明して協議すれば理解とアイデアが得られたかもしれませんし、議員から町民への説明・周知もできたでしょう。それなのに、議決前の3月5日に利用登録募集を開始してしまったのは・・・ やっぱり問題です。
結局「見積もりしたら200万円以下で契約可能」「まずはスタートして検討・改善する」という町側提案で予算は原案可決しましたが、議会との協議不足は否めません。町民のための施策を展開するためにも、議会の役割を誰もが理解する必要があると感じました。
 
 
■一般会計全体を通して
 
令和2年度の一般会計予算は37億7600万円。昨年度当初予算より5%減なので「財政状況を意識した緊縮予算」などの声が聞こえますが、実際は違います。
昨年から準備を進めていた農業施設建設(新こめ工房と集出荷施設:総額14億円)が、国の補助金採択待ちで予算化されていませんし、先に示した「温泉とホテルの指定管理料」も後半年分は計上されていません。これらの支出見込みで、むしろ例年よりも大きな予算になりそうです。
一方、昨年来協議を進めてきた「地域拠点化施設(=バスターミナル複合施設)」は今後のスケジュールが示されず、立ち消えのような雰囲気です。このことは一般質問で取り上げたので、のちほど詳しく。
 
さらに「農業分野でのICT活用」「教育分野でのGIGAスクール構想」などが執行方針にありましたが、現状では予算化されていません。国の動向も含め頭に置いておく必要がありそうです。今あるネット環境などを活かすアイデアも集めておこうと思います。
 

■最後に、最も気になるのが新型コロナウイルスの動向。

終息を願うとともに、暮らしへの影響を見極めて必要な対策が迅速にとれるよう、議員として活動をしていきます。

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