2008年08月24日

生産地は人手不足!

我が家は切り花を生産する農家ですが、今年は春から人手不足です。例年通りハローワーク等を通じてパートさんを募集しているのですが、応募してくる人は少なく、特にこの1ヶ月は皆無に近い状態でした。

条件等は今までと同じ、世の中は不景気。変化があるとすれば「石油の高騰」です。

最寄りのハローワークは岩見沢にあり、そこに足を運んでいるのは岩見沢市内や近郊の人がほとんどで、月形まで通うには距離(約23km)があります。交通費がかさむ今、あえて遠いところまで働きに来る人はいないのでしょう。

町内で人手を確保しようとチラシを出しても、これもまた厳しい状態です。仕事をしたい(できる)状態の人は既に仕事を持っていますし、働き盛りの人口は減少中。
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この人手不足は我が家だけの問題ではありません。

今まで町内で人手を確保していた農家(花、米、野菜など)では、パートさんの高齢化が徐々に確実に進んでいます。不足分を新たな人手で確保しようにも、それは我が家同様見つからないとか。
町外の人材派遣会社などを利用して当座をしのいでいるとのことですが、仕事の熟練度や単価など問題もあり、長い目で見れば問題解決には至っていません。
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生産地とは農産物を作り出すところ。
そして「物」だけでなく「労働」も「お金」も作り出すところ。

しかし今(あるいは、これから)、生産地では農産物を作り出せないほど人手不足に。
せっかく「モノ」を作り出す力があるのに・・・。
都会にはニートと呼ばれる若者が沢山いるのに・・・。

「最低賃金の改定」
「生産資材の高騰」
「単価の低迷と経費の向上=手取りの減少」
「農業の生産性(換金率)の低さ」
「地球温暖化(環境の変化 → 作型・栽培種の変化)」

農業を続けていくために考え、工夫しなければならない点がたくさんあります。

「ピンチこそチャンス」 視点を変えねば!

comments

はじめまして。
私は札幌市に住む27歳女性です。
「生産者は人手不足」という記事を読みました。
私は現在、市内で一般事務の仕事をして7年になります。昔から農業や自然に憧れがあったのですが実家も祖父母や親戚の家も札幌で地方に関わりがなかった分、あまり農業については知らないとは思うのですが近年、北海道食材に興味があり野菜の直売所を探して巡ったり、観光地をまわったりしています。そして今年は農業体験ができるところを探しているのですが、なかなか条件があうところが見当たらなかったところで今回の記事を読ませていただき、メールをさせていただきました。
仕事をしているため、長期での労働はできませんし全くの未経験者なため、労力になれるかはわかりませんが、週末等の休日を利用してお手伝いさせていただけるところなどはございませんか?もちろん賃金はいただきません。その代わりと言っては図々しいお話ですが食事(宿泊が必要な場合は宿泊場所)・お土産(作業に携わった食物)を条件に労働と経験を交換できるところはございますでしょうか?
耳ではよく人手不足と伺いますが生産地がどのように困っているのかは実際に経験をしてみなければわからないのかもしれませんが、北海道に住んでいる以上、もっと北海道の実態を知らなければならないと思います。もし、このような取り組みをしているところがございましたらご紹介していただきたいと思います。
どうぞ宜しくお願い致します。

  • ohana
  • 2009年02月26日 14:03

  •     

コメントありがとうございます。お返事が遅くなってごめんなさい。

さて本題です。
ohanaさんのように、仕事を持ちながら週末農業体験を希望している人は多いようですね。実際に行動を起こしている人の様子を先日テレビで見ました。体験されている方は皆さん満足顔でしたし、受け入れした野菜農家の方も「消費者交流ができていい」とおっしゃってたのを覚えています。

ohanaさんが探している「週末農業体験できるところ」とは、食べ物(野菜・米など)を作っている農家と言うことでしょうか?  
我が家の場合、「切り花」しか作っていないことと、提示された条件【土・日のみの単発、賃金なし、食事(+宿泊)とお土産付き】ではなかなか厳しいと言うのが本音です。参考になるか分かりませんが、我が家の実態を紹介します。

この辺の農家のパート代は時給700円くらいが相場で、朝8時半〜夕方5時まで(実質労働7.5時間)で5千円ちょっと。毎日働いて熟練している方でも大して変わらない金額です。
お昼は自宅からお弁当を持って行きますが、前の日の残り物をおかずにしたり(または缶詰+ごはん)、最盛期(どんな人の手も借りたい時期)はコンビニ弁当です。宿泊と言っても、最盛期は睡眠時間は2,3時間、とても自宅に泊められるほどの精神的余裕はなく、他で泊まっていただくにしても宿泊費は5,000円くらい。テント泊や寝袋での宿泊が可能であるなら何とかなるかもしれませんが・・・。
それから、土曜日だけでも毎週来てもらえるとすれば話は違うのですが、単発で「ちょっとした経験」くらいに考えているとすれば、労働力として見ることはできず、うちのような人手不足の農家で受け入れるのは厳しいと思います。労働とその対価(精神面も含む)が釣り合わないと思うからです。

職業柄、農村と都市部の交流、消費者動向などの重要性は解っていますが、最盛期に時間を割くことが難しいのも事実です。それくらい人手不足が進行しているのと、農業収入が減っている(農産物の価格低迷、肥料や資材費の高騰)ということだと思います。
ただし、これは私の感覚だけで、近くの農家では「修学旅行生の農業体験受け入れ」をしているところもあります。半日コースでお昼を農家が用意し、農業や田舎の暮らし体験をしてもらうもの。この場合、体験料として農家がお金をいただいていますけれど。
修学旅行生とohanaさんを一緒に考えているわけではありませんが、これもまた現実です。

週末農業体験ではありませんが、10月くらいに「大根抜き」の短期アルバイトを募集している農家もあります。「1〜2日でもかまわないけれど、体力勝負の仕事だから男でないとムリだと思う。男子大学生でも1日で根を上げる人がほとんどだから」という仕事です。
短期の女性向けアルバイトなら、苗の定植やメロンの芯積み等もありますが、これらは多少の熟練が必要のうえ作業時期も限られているので、条件が週末とかでは合わないように思います。

それから「ボラバイト」というのもあります。ボランティアとアルバイトの中間のような形で労働力を求めている(通常より安い賃金の変わりに食事や宿泊の提供を受ける)ので、ohanaさんの条件に合うかもしれません。ただ週末単発はあるかどうか? 検索してみてください。

ohanaさんのお役にたてたか不安ですが、少しだけでも生産地の実情を解っていただけたら嬉しいです。よかったら、またコメントください。

  • 宮下ゆみこ
  • 2009年02月28日 01:32

  •     

こんにちは。
丁寧な返信どうもありがとうございます。

現状は私が思っている以上に厳しいことがよくわかりました。
失礼なメールをしてしまったことを申し訳なくおもっております。
私のように現状を知るために経験してみたいというだけでは逆にご迷惑がかかって負担をかけてしまうのが事実だと思いました。繁忙期にはなお更のこととおもいます。
経験がない分、甘く考えていたことに気付きました。
その後、私もいろいろと探して双方の条件にあうところを見つけ春から体験させていただくことになりました。今回、体験させてもらうことで生産者の方々の現状をもっとしっかり理解してきたいと思います。
今回、ゆみこ様と連絡を取らせていただき、厳しい現状を聞かせて頂いた事を感謝しています。
どうもありがとうございました。

  • ohana
  • 2009年03月06日 14:43

  •     

ohanaさん、こちらこそ丁寧なお返事ありがとうございます。
それに条件に合うところを見つけられたそうで、よかったですね。

今回私が書いたのは「農業の一部分」でしかなく、実際の農業は希望や明るい側面も持っています。どうぞこれからの体験の中で、様々な農業の姿を見てください。そしてその感想など、またお伝えいただけたら嬉しいです。

私は新規就農して15年になります。このブログに書いているような人手不足だけでなく、台風や大雪などの自然災害、出荷した物が大暴落し「不買」になったことなど、様々な問題を経験し抱えながら農業を続けています。会社員時代から見れば比べものにならないくらい仕事と人生が直結した暮らしで、厳しい場面も多々あります。
しかしながら、厳しさ以上の満足感や達成感があるのも事実。自然と共に生きているという感覚は、私にとっては何よりの楽しみであり「生きている」と実感できる瞬間でもあります。この生活をとうていやめることはできません。それだけ(私にとって)魅力のある職業です。

ohanaさん、農業の価値は与えられるものでなく、自分から探していくものだと思います。
どうぞ農業体験を通して素敵な時間をみつけてくださいね。

  • 宮下ゆみこ
  • 2009年03月09日 09:21

  •     

はじめまして。

私は、31歳で契約社員として働いています。
私の婚約者は農業が好きで、将来農家として生計を立てて生きたいと真剣に考えています。ですが、私達に農家の知り合いはなく、資金もないので、どうしたらよいのだろうと調べていたところ、こちらのHPで、記事を拝見しました。
彼はすごく真面目な性格で、農業の事に関しての知識もはある程度はあります。私も、彼のサポートをしたいと考えています。
やはり、0からのスタートというのは、難しいでしょうか?
お忙しいとは思いますが、お返事をお待ちしています。
よろしくお願い致します。

  • Pooh
  • 2010年09月27日 22:25

  •     

Poohさん、はじめまして。コメントありがとうございます。

Poohさんの婚約者の方は「将来農家として生計を立てていきたいと真剣に考えています」とのことで、心強いですね。どの様な農家を目指しているのでしょうか?
最近は農業にも様々な形態が出てきました。自営としての農業(個人事業主)、大規模農業(企業経営者)そして農業法人への就職(従業員)等が代表的です。

ただ単に農業に従事したいのであれば、資金がなくても農業法人に就職することで夢は叶えられると思います。ただ経営まで含めた農業者(個人事業主)になりたいのであれば資金がないと難しいと思います。もちろん農業法人の従業員として働きながら技術を身につけ資金も貯めることは出来ます。また他の業種で充分な資金を貯めてから農業者になることも可能です。

最近は新規就農者向けに様々な補助制度ができ、自己資金がそれほどなくても農業を始めることは可能です(農家の知り合いがいなくても全く平気です)。ただ新規就農者の先輩として助言するとすれば、「2、3年収入がなくても生活できるだけの資金と知恵、そして信念(=やる気、負けない気持ち)」が必要に思います。

就農を決断した時は気持ちも高揚し、補助制度によりある程度のことは出来ます。しかし実際に農業を始めて数年間は安定した収入は見込めません。また突発的な気象の変化や景気の動向で収入が減ることもしばしばです。その時にどれだけ耐えられるか(資金面、精神面、肉体面)が、農業を続けられるかの分かれ道です。

既存の農家は先祖代々の土地を受け継ぎ、農機具等も既に手元にある中で農業をしています。しかし新規就農者はまずそれらを揃えるところから始めなければなりません。既存の農家が±0から始められるとすれば、新規就農者は−(マイナス)からのスタートが現実です。

色々厳しいことを書きました。Poohさんの「やる気」に水を差していますね、すいません。

私が書いたのは農業の現実のほんの一面です。全国を探せば、もしかしたら良い条件で就農できる所もあるかもしれません。気持ちがあるのであれば、頑張って探してみてください。可能性はあると思います。

  • 宮下ゆみこ
  • 2010年09月28日 21:41

  •     

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