2014年10月25日

様々なロールモデルに出会って【日本女性会議2014札幌/2日目】

前回に引き続き、日本女性会議2014札幌 2日目(10月18日)の報告です。

この日は各界で活躍する方々が登壇し、最後に大会宣言が出され閉会しました。(3日目はエクスカーション=体験型見学会なので、会議は2日目まで。)

この大会は私たち女性に様々なロールモデル(具体的な行動や考え方の模範となる人物)を提示してくれました。日常生活で行き詰まったとしても、顔を上げて視点を少し遠くに向ければ、答えや希望が見つかると教えてくれました。そのためにも、自ら動き出す(顔を上げる、前を向く、一歩登る、一歩踏み出す)ことが大事だと。

女性であることに誇りと自信が持てるような社会にしていきたいです。

以下は大会宣言の主要部分と、各講演で印象に残った点です。

私の人生を振り返るとスポーツで形成された部分が大きいと感じます。その感覚から、柔道家の山口 香さんに強い共感を覚えました。ロールモデルとして注目していきたいと思います。
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日本女性会議2014札幌 大会宣言

変わるべきは、わたしたち自身もであり、 わたしたちの身近な人たちに、男女共同参画社会という希望を語り続けましょう。
子どもたちに、性別を理由とした区別をしてはいけないと何度でも教え、 その役割分担は、性別により固定してはいけないことを伝えましょう。
あらゆる女性や弱者への暴力を否定し、 個々人が自分らしい生活や職業を選ぶことのできる知恵や工夫を分かち合いましょう。
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特別講演「100歳まで弾くからね! 〜母として、コンサートマスターとして〜」
 講師:大平まゆみ氏(ヴァイオリニスト/札幌交響楽団コンサートマスター)

◆「背中でものを言う」・・・ 多くを語らずとも、背中(姿勢)で伝える。
◆言葉は浅く、心は深く
◆気は短いより、長い方がいい。
 気は小さいより、大きい方がいい。
 気は弱いより、強い方がいい。
◆気はエネルギー。愛と同じ。発するほど増えていく。

記念講演「強くやさしい社会を実現するために 〜次世代へのメッセージ〜」
 講師:山口 香氏(筑波大学体育系准教授/柔道家)

◆柔道の祖嘉納治五郎先生。女子柔道の二人の母、福田敬子先生、ラスティ・カノコギ。
◆柔道は自己表現のひとつ。やりたいことに挑戦できる社会を創る。
◆環境が整い、競技力が上がっても、人間が強くならなければ意味がない。
 → 女性の自立。強いものへ向かっていく気持ちを育てる。
◆男性と女性は生理的な違いがある。理解するために話し合いをする。(今までは、女性が発言する場がなかった。)違いを受け止め、違いを認める。
◆違いを尊重し、違いに価値を見いだす。
◆女性から発信されたことは、女性だけでなく社会に価値があること。
戦うのではなく、共存
◆日本サッカー協会リスペクトプロジェクト
「愛は翼にのって」(原題:Wind Beneath My Wings)ベッド・ミドラー

分科会報告

シンポジウム「今、ここから始まる。」
[コーディネーター]
■林 美枝子氏(実行委員長/日本医療大学保健医療学部教授)
[シンポジスト]
■柿沼トミ子氏(全国地域婦人団体連絡協議会会長/男女共同参画会議議員)
■秀嶋ゆかり氏(札幌弁護士会所属弁護士)
■長沼 昭夫氏(株式会社きのとや代表取締役社長)

◆私たちの地域は、私たちが守る。そのために「連携」「ネットワーク」
◆若い世代に想いを伝えていく。
◆ほんの少しの勇気でつながりは広がる。
 ・一言を発する。 ・メールを一本入れる。 ・足を運ぶ。・・・
   ↓
 何でもいい、一歩踏み出すことから始まる。

2014年10月20日

様々な壁とたくさんの窓。扉を開けるのは自分自身なんですよね〜。【日本女性会議2014札幌/1日目】

20141017a.jpg10月17日(金)〜18日(土)、札幌コンベンションセンターで開催された「日本女性会議2014札幌 未来の景色は、わたしたちが変える。」に初参加してきました。

この「日本女性会議」とは、男女共同参画社会実現のための全国規模の会議で、1984年に第1回が名古屋市で開催されました。その後、毎年全国の都市で持ち回り開催されていて、今年の札幌が第31回。来年は岡山県倉敷市で予定されています。

会場には全国各地から2,000人程の人が集まったとか! 
その多く(たぶん9割以上)は女性で、中高年が中心でしたが若い人の姿も。服装はのびのびとカラフル。そして何より会議に向かう姿勢は真剣そのもので、かぶり付きは当然。積極的なリアクション(拍手や挙手)で参加者と壇上がつなって、エネルギー満タンです。
比較するのも何ですが、同じ会場で行われる「北海道町村議会議長会議員研修会(同じ2,000人規模。参加者のうち女性議員は1割弱で女性事務局職員を入れても、女性と男性との比率は正反対)」とは全く違った雰囲気。コミュニケーションやネットワークづくりが上手い、女性の特長全開です。

会議は1日目に分科会(大小・長短あわせて15分科会)、2日目に記念講演や特別講演、全体シンポジウムという変則的な編成でした。どれもとても興味をひかれるもので、内容も盛りだくさん。会議が終わって帰宅する頃には、私の頭はジンジン。相当な刺激でした。

というわけで、日本女性会議で私の印象に残った点を1日目と2日目に分けて、キーワード的に書き出していきたいと思います。まずは1日目。私は第1分科会を選択しました。
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分科会1/女性の活躍推進 シンポジウム
「働く女のサバイバル 〜女性が社会で活躍するために必要なこと〜」

[コーディネーター] 
■上野千鶴子氏(東京大学名誉教授/認定NPOウィメンズアクションネットワーク理事長)
[シンポジスト]
■伊藤 好美氏(フリーランスフォトグラファー)
■下郷 沙季氏(北海道大学文学部/札幌学生ユニオン共同代表)
■新田 和代氏(社会保険労務士/行政書士)
■山本亜紀子氏(株式会社エルアイズ代表取締役)

[上野千鶴子氏から]
◆「雇用機会均等法」と「労働派遣事業法」、「過剰な配慮」と「差別」は、ウラオモテの関係。
◆ネオリベ改革(=ネオリベラリズム。新自由主義)は女女格差を生む。
◆少子化対策なら、女性に正規雇用を。
◆「3年抱っこしほうだい育休」は、最もコストのかかる1〜3歳児の保育をしないという宣言。本当にほしいのは、育休明けの保育。ただし、育休は正規雇用者のみの制度。
◆「すっぱいぶどう」シンドローム
◆「マミートラック」に塩漬け

◆女性も男性も働きやすくなる処方箋は
 (1)労働時間の短縮(男女とも定時帰宅)
 (2)年功序列制の廃止(新卒一括採用をやめる)
 (3)同一労働、同一賃金

◆「マルチプル・インカム=多様な収入源=小銭をかき集めて生きる」によるリスク・マネジメントを。シングル・インカム(夫の給料のみ)に頼る生活はリスクが高い。


[シンポジストとコーディネーターとのやりとりから]

◆立場が異なる女性間の相互不理解は溝が深い。女女間の状況差による意識の違いがある(例:祖母力)
労働市場では「男性は年功序列的」「女性は能力主義的」な状況が現実。
◆結婚や出産を機に安易に仕事を辞めてしまう風潮や、管理職に就きたがらない女性が多いことも問題。
◆子どもを産まなければ、女性も男性も同じに働ける。
 → 女性の労働問題=出産・育児の問題
130万円の壁(配偶者控除や社会保障に関する年収の壁)は取り払うべきか?
◆学生ユニオンが行っているのは、(単純に)雇用者と戦うことではない。いかに学生が(労働差別や不当労働に対して)戦えない社会であるかを訴えていくこと。
労働法の知識のない人がほとんど。労働法の教育が必要。ワークルール検定などもあるが、もっと行政に頑張って欲しい。また、経営者側への教育として、起業時に労働法を必須にするなどの取り組みがあってもいい。
「出世は楽しい」。決定権もあり、お金も采配できる。自由度が増す。この楽しさを女性は味わっていない。


[若い女性へのエール]
◆自分への投資を。(起業も投資の1つ)
◆やりたいことがあれば、自分で拓く。
◆視野を広く、諦めないで。
◆いっしょに居場所をつくっていこう。


[行政へ]
◆子育て支援の充実、無料化。
◆女性の働く力を認めてほしい。
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【1日目を終えて】
私の、日本女性会議への参加の目的の1つが上野千鶴子さんの話を直接聞くことでした。私が抱く上野さんのイメージは「意志のハッキリした強い女性」。これまで発表された文章や記事、写真などから、私は勝手に「全てが強烈な人」なのかと思っていたのですが ・・・
実際は超ソフトで柔和な語り口と表情。講演内容以前にビックリしました。やっぱり実際にお会いしないと解らないですね。ただ、話の内容や場を和ますために入れるボケとツッコミは、とても鋭くて厳しい! なるほど〜。女性学などの分野で活躍してきた上野さんの魅力は「ギャップ」にあったんですね。大会参加1つ目の収獲です。
講演終了後には一緒に写真を撮るために並ぶ人や涙を浮かべて握手する人などが列をなしていて、上野さんのカリスマ性や実績を見ることができました。再度なるほど〜。

それからもう1つ。シンポジストの皆さん(20代〜40代/既婚・未婚/経営者・個人事業主・被雇用者)の経験から導かれた話には説得力があり、3時間の長丁場も終始引き込まれました。4人の視点はそれぞれ違うものの、共通しているのは「自らの考えで一歩踏み出していること」。
私は4人の話のどれにも共感できて刺激と希望を受け取ったのですが、この会場に集まった参加者の多くも同様の感覚を持ったようです。それは皆さん「一歩踏み出している人」だから。シンポジウム終了後の会話や参加者の満足感から、そう感じました。

それから新たな発見も。シンポジストの1人で学生ユニオンを作った下郷さんから、たくさんの気づきを与えていただきました。特に「自然体」でいることの重要性 ・・・

私の場合、一個人として社会を渡り合っていくには、まず女性だということを意識し、相当の覚悟と毅然とした態度や言動が必要不可欠と思って、そう努力してきました。ありのままを出すというより、ちょっと背伸びした「外向きの姿」で武装しているようなイメージです。
でも、人と人とが理解し合うためには「自然体」が重要なんですね。それに、今の時代は「自然体」が受け入れられている、というよりむしろ「自然体」の方が良いのかも。女性だからと気を張るのではなく、一個人として評価される時代になってきているのだなあと(少なくとも若い世代は)。ちょっと嬉しい発見であり、意識転換の必要性も感じた次第です。

社会全体を見ると、まだまだ男女共同参画社会にはなっていません。残念ながら。
それでも意識の上での変化は確実に起きていると思います。あとは「自分の置かれている状況を客観的に評価」し、「腐ることなく希望を持ち続けること」「自ら一歩踏み出すこと」ですね。
社会には様々な壁がありますが、その先を見せてくれる窓もたくさん開いています。あとは自ら扉を開け一歩踏み出すかどうか。壁に阻まれ身動きが取れなくなっていると思っても、案外身近なところに隠された扉があるのかもしれません。それを捜し、開けていきましょう。

最後に、素敵なエールを紹介します。
開会式での大会実行委員長/林美枝子さんの言葉です。
「めざす途中の道からはゴールは見えない。見えるのは次の曲がり角だけ。」

2014年10月11日

人間国宝はやっぱり違った!【芸術鑑賞会・中高生の部/一龍斎貞水の立体怪談】

深まりゆく秋・・・ 
今年は気温が低い分、いつもより1ヶ月早く季節が移っているように感じます。

そんな中、【10月8日の午後、月形高校で芸術鑑賞会が開催される】との案内がIP電話から流れてきました(写真)。これは教育委員会社会教育係が主催する芸術鑑賞会で、今回は中高生を対象に、一般にも開放されたもの(他に、幼児や小学生、一般を対象にした催しもある)。
やっぱり芸術の秋。「立体怪談」??? と「人間国宝」!!! の文字にひかれ、足を運んでみました。


会場の月形高校体育館には中高生約200人と、私と同じようにIPの案内で興味を持った一般町民10人程が、開演するのをワクワクしながら待っていると・・・

まずは開口一番として、お弟子さんの一龍斎貞橘さんによる講談のイロハと一節。
講談師は希少種で70人ほどしかいないとか(ちなみに落語家は約1,000人)、講談は長い長い話を何日にも渡って語っていく連続ドラマのようなものだとか、同じ物語(例えば昔話の桃太郎)でも講談と落語ではこんなに違うとか・・・。へ〜 なるほどね。
でも、古典の軍記物を講談の本格的な口調で語ってくれたものは上手く聞き取れなくて・・・。これから先、1時間以上の公演が続くけど大丈夫かなあ、ちょっと心配。


そしていよいよメインの「立体怪談」。舞台には怪談にふさわしい飾り付けがなされ、講談師で人間国宝の一龍斎貞水さんが入場。会場がにわかに暗くなり・・・

あ〜、やっぱり人間国宝の話芸はスゴイ!!

それまでの心配など何もなかったかのように、一龍斎貞水さんから発せられた言葉の一つ一つがスーッと届き、あっという間に物語に引き込まれ・・・ 怪談を聴いている私の顔は心理的恐怖でこわばって、いつの間にか眉間に力が入ってコワ〜イ顔になっていました。


会場を後にして余韻に浸っていると、一緒に聴いていた町民の皆さん(みんな顔見知り)が口々に「やっぱり人間国宝ってスゴイね。来て良かったね〜」と。地元にいながら希少な講談の、それも人間国宝の話芸を堪能できたことはとてもラッキーでした。

が、本当に良かったのは、子ども達が講談界の最高峰に触れられたということ。あの場にいた子ども達の何人かの記憶には「講談」が確実に擦り込まれたことでしょう。そして何かのきっかけで「講談」を話題にし、寄席に足を運ぶ人もいるかもしれない。「講談」というキーワードで誰かと繫がることができるかもしれない。伝統を引き継ぐ当事者になるかもしれない。少なくとも、そういう機会が与えられたことは、地方に住む子ども達にとってとても重要だったと思います。

一龍斎貞水さんのホームページを見ると、この日の前後で北海道内を同様の企画で回っているようですし、全国各地でもそう。生で話芸を伝承するために精力的に活動されている姿に頭が下がりました。

一龍斎貞水さん、ご一門の皆さん、ありがとうございました。
そして、企画運営をしてくださった社会教育係の皆さん、お世話になりました。

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