2014年10月20日

様々な壁とたくさんの窓。扉を開けるのは自分自身なんですよね〜。【日本女性会議2014札幌/1日目】

20141017a.jpg10月17日(金)〜18日(土)、札幌コンベンションセンターで開催された「日本女性会議2014札幌 未来の景色は、わたしたちが変える。」に初参加してきました。

この「日本女性会議」とは、男女共同参画社会実現のための全国規模の会議で、1984年に第1回が名古屋市で開催されました。その後、毎年全国の都市で持ち回り開催されていて、今年の札幌が第31回。来年は岡山県倉敷市で予定されています。

会場には全国各地から2,000人程の人が集まったとか! 
その多く(たぶん9割以上)は女性で、中高年が中心でしたが若い人の姿も。服装はのびのびとカラフル。そして何より会議に向かう姿勢は真剣そのもので、かぶり付きは当然。積極的なリアクション(拍手や挙手)で参加者と壇上がつなって、エネルギー満タンです。
比較するのも何ですが、同じ会場で行われる「北海道町村議会議長会議員研修会(同じ2,000人規模。参加者のうち女性議員は1割弱で女性事務局職員を入れても、女性と男性との比率は正反対)」とは全く違った雰囲気。コミュニケーションやネットワークづくりが上手い、女性の特長全開です。

会議は1日目に分科会(大小・長短あわせて15分科会)、2日目に記念講演や特別講演、全体シンポジウムという変則的な編成でした。どれもとても興味をひかれるもので、内容も盛りだくさん。会議が終わって帰宅する頃には、私の頭はジンジン。相当な刺激でした。

というわけで、日本女性会議で私の印象に残った点を1日目と2日目に分けて、キーワード的に書き出していきたいと思います。まずは1日目。私は第1分科会を選択しました。
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分科会1/女性の活躍推進 シンポジウム
「働く女のサバイバル 〜女性が社会で活躍するために必要なこと〜」

[コーディネーター] 
■上野千鶴子氏(東京大学名誉教授/認定NPOウィメンズアクションネットワーク理事長)
[シンポジスト]
■伊藤 好美氏(フリーランスフォトグラファー)
■下郷 沙季氏(北海道大学文学部/札幌学生ユニオン共同代表)
■新田 和代氏(社会保険労務士/行政書士)
■山本亜紀子氏(株式会社エルアイズ代表取締役)

[上野千鶴子氏から]
◆「雇用機会均等法」と「労働派遣事業法」、「過剰な配慮」と「差別」は、ウラオモテの関係。
◆ネオリベ改革(=ネオリベラリズム。新自由主義)は女女格差を生む。
◆少子化対策なら、女性に正規雇用を。
◆「3年抱っこしほうだい育休」は、最もコストのかかる1〜3歳児の保育をしないという宣言。本当にほしいのは、育休明けの保育。ただし、育休は正規雇用者のみの制度。
◆「すっぱいぶどう」シンドローム
◆「マミートラック」に塩漬け

◆女性も男性も働きやすくなる処方箋は
 (1)労働時間の短縮(男女とも定時帰宅)
 (2)年功序列制の廃止(新卒一括採用をやめる)
 (3)同一労働、同一賃金

◆「マルチプル・インカム=多様な収入源=小銭をかき集めて生きる」によるリスク・マネジメントを。シングル・インカム(夫の給料のみ)に頼る生活はリスクが高い。


[シンポジストとコーディネーターとのやりとりから]

◆立場が異なる女性間の相互不理解は溝が深い。女女間の状況差による意識の違いがある(例:祖母力)
労働市場では「男性は年功序列的」「女性は能力主義的」な状況が現実。
◆結婚や出産を機に安易に仕事を辞めてしまう風潮や、管理職に就きたがらない女性が多いことも問題。
◆子どもを産まなければ、女性も男性も同じに働ける。
 → 女性の労働問題=出産・育児の問題
130万円の壁(配偶者控除や社会保障に関する年収の壁)は取り払うべきか?
◆学生ユニオンが行っているのは、(単純に)雇用者と戦うことではない。いかに学生が(労働差別や不当労働に対して)戦えない社会であるかを訴えていくこと。
労働法の知識のない人がほとんど。労働法の教育が必要。ワークルール検定などもあるが、もっと行政に頑張って欲しい。また、経営者側への教育として、起業時に労働法を必須にするなどの取り組みがあってもいい。
「出世は楽しい」。決定権もあり、お金も采配できる。自由度が増す。この楽しさを女性は味わっていない。


[若い女性へのエール]
◆自分への投資を。(起業も投資の1つ)
◆やりたいことがあれば、自分で拓く。
◆視野を広く、諦めないで。
◆いっしょに居場所をつくっていこう。


[行政へ]
◆子育て支援の充実、無料化。
◆女性の働く力を認めてほしい。
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【1日目を終えて】
私の、日本女性会議への参加の目的の1つが上野千鶴子さんの話を直接聞くことでした。私が抱く上野さんのイメージは「意志のハッキリした強い女性」。これまで発表された文章や記事、写真などから、私は勝手に「全てが強烈な人」なのかと思っていたのですが ・・・
実際は超ソフトで柔和な語り口と表情。講演内容以前にビックリしました。やっぱり実際にお会いしないと解らないですね。ただ、話の内容や場を和ますために入れるボケとツッコミは、とても鋭くて厳しい! なるほど〜。女性学などの分野で活躍してきた上野さんの魅力は「ギャップ」にあったんですね。大会参加1つ目の収獲です。
講演終了後には一緒に写真を撮るために並ぶ人や涙を浮かべて握手する人などが列をなしていて、上野さんのカリスマ性や実績を見ることができました。再度なるほど〜。

それからもう1つ。シンポジストの皆さん(20代〜40代/既婚・未婚/経営者・個人事業主・被雇用者)の経験から導かれた話には説得力があり、3時間の長丁場も終始引き込まれました。4人の視点はそれぞれ違うものの、共通しているのは「自らの考えで一歩踏み出していること」。
私は4人の話のどれにも共感できて刺激と希望を受け取ったのですが、この会場に集まった参加者の多くも同様の感覚を持ったようです。それは皆さん「一歩踏み出している人」だから。シンポジウム終了後の会話や参加者の満足感から、そう感じました。

それから新たな発見も。シンポジストの1人で学生ユニオンを作った下郷さんから、たくさんの気づきを与えていただきました。特に「自然体」でいることの重要性 ・・・

私の場合、一個人として社会を渡り合っていくには、まず女性だということを意識し、相当の覚悟と毅然とした態度や言動が必要不可欠と思って、そう努力してきました。ありのままを出すというより、ちょっと背伸びした「外向きの姿」で武装しているようなイメージです。
でも、人と人とが理解し合うためには「自然体」が重要なんですね。それに、今の時代は「自然体」が受け入れられている、というよりむしろ「自然体」の方が良いのかも。女性だからと気を張るのではなく、一個人として評価される時代になってきているのだなあと(少なくとも若い世代は)。ちょっと嬉しい発見であり、意識転換の必要性も感じた次第です。

社会全体を見ると、まだまだ男女共同参画社会にはなっていません。残念ながら。
それでも意識の上での変化は確実に起きていると思います。あとは「自分の置かれている状況を客観的に評価」し、「腐ることなく希望を持ち続けること」「自ら一歩踏み出すこと」ですね。
社会には様々な壁がありますが、その先を見せてくれる窓もたくさん開いています。あとは自ら扉を開け一歩踏み出すかどうか。壁に阻まれ身動きが取れなくなっていると思っても、案外身近なところに隠された扉があるのかもしれません。それを捜し、開けていきましょう。

最後に、素敵なエールを紹介します。
開会式での大会実行委員長/林美枝子さんの言葉です。
「めざす途中の道からはゴールは見えない。見えるのは次の曲がり角だけ。」

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