2009年08月30日

地方自治土曜講座「議会は変わるか? ー議会改革の諸問題ー」その2

その1」を報告してから1週間が経ってしまいましたが、つづきとして、私の発表内容(補足も含めて)記します。
なお、「その1」報告後、ご意見や質問が寄せられました。コメント欄で熱く語り合っています。私の考えも記すことができましたので、ぜひそちらもご覧ください。
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◎報告「議員諸氏による現状報告・月形町」 月形町議会議員 宮下裕美子

[月形町の概要と特徴]
・空知管内、札幌から約50km、岩見沢市から約20km、国道275号線沿線
・人口:3,914人(平成21年7月末現在)
・高齢化率(65歳以上人口割合):33.3%   
・基幹産業:農業(米・切花・果菜)
・町財政は比較的健全:平成19年度 実質赤字比率、連結実質赤字比率、将来負担比率はない
                 実質公債費率のみ11.4%
・投票率:町議会銀選挙(2007.4)87.09%、町長選挙(2008.9)84.87%
・歴史:樺戸監獄を基に拓かれた町、空知管内最初の村(平成22年に開町130年)
    = 北海道内では古い町
・各種施設が多い:矯正施設(月形刑務所、月形学園)
         福祉施設(障がい者関連・2法人、高齢者関係・3法人)
    = 国家公務員を含め、人の対流がある。
・新規就農者を受け入れ(ほぼ離農なし)、社会参加も(町議会議員、農協理事、生産組合役員等)
    = 農業や地域の担い手として、新しい風が入っている
  ↓
◆古くからの住民・歴史+新しい住民・文化 が共に存在し、融合している。
◆人口が少ない分、町民が様々な役割(行政、自治、経済、福祉、教育・・)を担っているので、
 住民の行政への関心は高く、情報も届きやすい。
◆住民と顔の見える関係が築ける分、行政や議会等への地域の目は厳しい。

[月形町議会の概要と取り組み、実態]
・定数10、2常任委員会(総務民教・産業建設)
・予算特別委員会(3月)、決算特別委員会(9月)
・一般質問の1問1答方式(反問権はなし)
・会議録および審議内容をHPで公開(広報誌は未発行)
・複数の委員会に所属できる
・全員協議会の設置(原則公開)
・現在「議会活性化」について全員協議会で審議中(随時開催・公開で協議)
 (決定事項:政務調査費は今年度限りで廃止)
  ↓
◆上記のような月形町議会の取り組みは、同じ規模の町村議会が既に取り入れていること。
◆本会議は形式が優先されるために、議論の場としては不十分。事前の全員協議会等(公開)が実質議論の場になり、審議の補完を行っている。(本会議議事録だけでは全ての議論を網羅していない。)
◆全員協議会は公開されているが、議事録は要点筆記のみ。また、情報公開に基づいてのみ公開される(議会が文書として積極的に公開していない)
◆議員間の自由討議により議論が本質へと進み、合意形成に近づけたことがある。

[今後の課題:宮下の考え]
◆今ある会議規則は絶対ではなく改正していける。自分たちの議会にあったものにしていくべき。
◆「議会」という組織として、住民と共にあることが大切。積極的な情報公開と広報公聴の充実を。
◆議会改革には、議長のリーダーシップと事務局の力(情報収集、専門性)が必要。事務局強化のために、事務局員の専属化、独自採用(広域で対応)など検討すべきでは。
◆合意形成のためには多くの議論を要する。もっと自由討論の場を増やせないか。(会議規則の改正)
◆町村議会は住民との距離も近く、世間が問題にしている専業議員による議会より「住民自治」の観点から、実は進んでいるのではないか。町村議会の良さを見なおす必要がある。ただし、情報公開や条例改正など取り組むべき課題もある。

[その他・会場からの質問に対して]

Q 自分の議員報酬額をどのように捉えているのか?

A 私の月額報酬は額面168,000円、手取りで12万円強。町村議会では標準的であり、市議会議員に比べ遙かに安い。市議会と町村議会では扱う金額は違うが、自治体の仕事としてその幅は同程度であり、同じように調査したり、勉強したりする必要がある。正直にいえば、時間的、金銭的余裕から専業の市議会議員をうらやましく思うこともある。
 しかしながら、町民はボランティアで行政や地域活動に参加し「まち」を支えているので、地域のことを考えると妥当か、むしろもう少し下げることも必要かもしれない。
 ただし、議員の活動を目に見えたものにする必要がある。議員活動に伴う必要経費(交通費、講習費、調査費他=政務調査費的なもの)は報酬とは別に議会として議員に支払い、報酬は純粋な「労働対価」「最低保障」として支給する方法が良いのではないか。こうすれば「何もしていない議員に高すぎる報酬」という話にならないのでは。


Q 政務調査費の効用と、その成果として政策にどのように反映させているのか?

A 月形町の政務調査費は年額48,000円なので、そのほとんどを調査研究費(講習会やその交通費など)に充てている。額が少ない分、他に回す余裕はなく、不明瞭な会計はない(領収書は添付、1円から公開。個人的に活動報告書でも公開している)。
 講習会等で得た情報はブログを通じて報告したり、議員間の情報交換、一般質問への応用、議員活動に役立てている。政務調査費があることによって議員活動の幅が広がっているのは事実。
 ただし、現在議会内で進めている「議会活性化」の協議の中で、政務調査費は今年度限りで廃止になってしまった。政務調査費の新たな意義付けを考えていただけに残念だった。

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