2014年08月22日

住宅政策は “ソフト” の時代に。人口減少抑制のチャンスロスを防ぐには・・・【まちづくり常任委員会/住宅施策】

19日深夜から20日早朝に起きた広島県での土砂災害、これほど広範囲で悲惨な状況になっているとは! 時間の経過と共に現場の報道も増え、現場の大変な状況が映像として伝えられています。
これ以上の被害が起きませんように。救助活動がはかどりますように。そしてどうか一刻も早く不明者が見つかりますように。

それにしても、未明に突然降り出した記録的な局所豪雨にどう対応すればいいのか・・・。その場で判断・決断する立場にあったら・・・。考えさせられます。
「避難勧告を出すのが遅れた。」とは行政責任者の言葉ですが、もし土砂崩れの起きる前の午前3時に勧告を出したとしても、豪雨の上に未明のため、真っ暗な状況の中でどれだけのことができるのか・・・。

今回のようなタイプの豪雨は全国どこでも起きうる気象現象です。我が身として対応を頭に入れておく必要があるケースだと感じました。
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まちづくり常任委員会の所管事務調査が、8月19日(火)の午前に開催されました。

今回のテーマは「住宅施策について(産業課)」
町営(町有)住宅の入居・待機状況を中心に、民間賃貸住宅(アパートなど)の状況や現在策定中の「月形町第二次住宅マスタープラン」についても調査と議論がなされました。

以下に委員会での調査内容(主に私の気になった部分を抜粋して)を記します。

【説明内容】
■月形町の町営(町有)住宅は現在222戸。平成26年8月1日現在、入居が204戸。通常空家が8戸、政策空家(老朽化が進んだ長屋などで、取り壊しを進めるために退去後空家としている物件)が10戸。

■全体の数字変化は少ないが、入退居は多く、入れ替わりが頻繁。老朽化した町営住宅からの住み替えもある。

■家族世帯の入居が優先される一般向け町営住宅(147戸)のうち、現在単身世帯になっているのは15%。(入居当初は複数入居の家族だったが、家族の死亡や施設入所等で高齢者一人になった世帯が多い)。

■年度末や当初は待機者が増えるも、2ヶ月もすれば落ち着き現状のような状態。

■入居希望が多いのは、駅裏の「ひまわり団地」と高齢者等向け住宅の「さくらコーポ」「さくらコーポⅡ」、特定公共賃貸住宅(39歳までの独身者+世帯向け)の「こすもす団地」。

■「月形町営住宅総合整備(ストック活用)計画」で計画された期間(平成17年〜37年)の町営住宅建設は既に終了している。


【質疑での重要な視点】
■1年を通してみれば待機者は少なく、全体が上手く回っているように見えるが、年度末・年度当初の需要を満たしていないことをどうとらえるのか。町内に住居が無いために町外に居を構える人を取り込まなければ、人口減少を食い止められないのでは。特にこのケースでは若年層(生産年齢世代)が流出してしまう。

■町営住宅でも、町全体でも独居高齢者が多くなっていることに目を向けるべき。孤独死対策や福祉との連携も念頭に置いた住宅政策は必要。「まちづくり」として住宅政策をとらえる視点が不足しているのでは。

■新たな町営住宅建設が難しいとはいえ、町営住宅の潜在的な需要はある。例えば「サービス付き高齢者住宅」を建設することで、独居高齢者がそちらに移れば、世帯向けの町営住宅に空きができて若年世帯(生産年齢世帯)の入居が可能になる。

■住宅を探す(移る)のは、就職時、結婚時、家族が増えた(減った)時など。必要とされる時に住宅が提供できることが重要。結婚時など所得用件が厳しい場合(結婚前まで両者が働いていれば、所得上限を超えるので入居できない)、夫婦になることで働き方が変わったり、子どもができて扶養家族が増えれば入居要件を満たす場合がある。これらを考慮した特別枠などの政策展開も必要ではないか。

■町営住宅は常に稼働率を上げる(空き家を減らすこと)ことに注力してきたが、一般の不動産業では空室率3割、ある自治体の公営住宅では1割程度と聞く。月形町の町営住宅の空室率は極端に低い。これを優秀と見るか、もっと空家があっても良い=いつでも入居できるととらえるかで自由度が変わってくる(もっと空家率が高くても許容できるのではないか)。近隣を調査してみてはどうか。

■人気が高い団地は「市街地に近くて便利」が理由ではない。「除雪体制が整っているから」なのではないか。人気の薄い他の団地では別途除雪費や手間が必要。豪雪地帯なのだから、雪に強い、住みやすい町営住宅を作るべき。
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《調査を終えて・・・私の考え》

住宅政策=建設、ハード事業、公営住宅の管理・・・ そんな感覚はもう過去のことなんだと、委員会で議論していて強く感じました。

これから益々高齢化が進み、人口減少も避けられない時代になり、10年もすれば持ち家の空家は相当増えるでしょう。それが見えている中で「町営住宅を建てる」のは現実的でないという行政側の言い分は十分理解できます。だからと言って、それ以上の提案が行政側からないのも疑問(担当者にしてみれば、自分の担当分野以外は答えられないということなのでしょうけれど)。

一方、月形町には職場があり、昼間人口が夜間人口より1割近くも多く、若者(生産人口世代)の住宅が足りないのも事実。人口減少対策を考えるなら、チャンスロスをなくそう!

予算が潤沢にある時代なら単純に「町営住宅をもっと建設すべき!」となるのでしょうが、財政難が目に見えている今だからこそ、知恵を出して乗り切らなければ。ソフト事業の展開が重要に。だから「サービス付き高齢者住宅」はとても良いアイデアだと思いました。

これを展開するには福祉関係の部署や事業所も巻き込まれなければならず、今まで通りの縦割り行政では到底展開できないこと。行政の意識や感覚が町民に近づいてくるのではと期待しています。


それからもう一つ重要な視点がありました。「○○団地に人気があるのは、除雪費がかからないから」という視点です。今まで常に「○○団地は市街地や病院に近く、便利だから人気が高い」と聞かされてきました。私もあまり考えず「そうだよなあ。歩いてすぐに何でもあるから便利だものね。」と受け入れていました。でも、住民には違う声もあり、そちらの方が説得力がある! 
町民の声を拾っている議員ならではの発言で、足で稼いでいる大釜議員の活動に感心しました。

議会はこうでなくっちゃ!

それぞれの議員が、それぞれの視点や活動で情報を集め、議会の場で話し合う。そこから新たな展開を模索する。各議員の意見や情報を尊重する姿勢が議会に無ければ「まちづくり」なんてできないですよね。(委員会報告書に、私の提案した「若年層への定住化対策」の文言は掲載されるのかなあ・・・)

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