2008年11月30日

廃棄物学会北海道支部セミナー(H20年度)

『発信! 北海道の循環型社会に向けて』

この言葉に引かれ、廃棄物学会北海道支部セミナー(11月29日、札幌)に参加してきました。

 この廃棄物学会は、廃棄物(ゴミ)に関する情報収集、調査研究をするために1990年に設立されました。北海道支部は毎年この時期に一般向けにセミナーを開催しているとのことです。
 廃棄物学会の調査研究対象は「廃棄物」そのものだけでなく、製造や流通、リサイクル、文化にまでおよび、循環型社会の構築を目指していることから、参加者は法学、経済学、行政学、社会学、医学、農学、水産学、理学、家政学、工学等の領域にまたがる産業、行政、研究関係の人達で、実に多種多様です。

 今回の北海道支部セミナーで様々な情報を入手することができました。
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発信! 北海道の循環型社会に向けて

◎基調講演「北海道循環型社会形成の推進に関する条例」の概要について
      北海道環境政策部環境局循環型社会推進課長 石金 裕氏

  ・バイオマスの利活用の推進について規定した全国初の循環条例(理念と規制の総合型)
  ・H20.10.14に公布、現在パブリックコメント実施中。H21.7.1全面施行
  ・特に「第4章23条廃棄物等の道内処理の原則」は月形町にも関係する

◎3R・適正処理の推進、バイオマスの利活用の取組
 ◆森林共生社会から環境モデル都市へ   
       下川町地域振興課環境モデル都市推進室長 長岡哲郎氏
  ・環境モデル都市は全国で6都市(今年、公募により選出)。
  ・NEDO新エネルギービジョン策定(H13,14)
  ・木質バイオマスの利用(原料不足を見越してヤナギの試験栽培に着手)
  
 ◆森林未利用資源の活用〜木質ペレットの取組み
            足寄町経済課商工観光振興室長 岩原 榮氏
  ・NEDO新エネルギービジョン策定(H13)
  ・森林資源を総合的に活用
   (放置木材の活用、ペレット製造、施設での消費、森林整備、人材育成) 
  ・ペレットは地域で生産、地域で消費

 ◆道内におけるバイオエタノール製造技術の開発状況等について
       北海道環境生活部環境局環境政策課参事 木場保洋氏
  ・研究が進められている原料は、交付金対象外てん菜、
    規格外小麦、政府輸入米、資源用トウモロコシ、稲わらなど
   
 ◆近畿大学NEDOプロジェクトにおけるバイオコークス量産実証試験機の紹介
           近畿大学理工学部恵庭分室研究員 森田明宏氏
  ・バイオコークスとは、炭化ではない(新固形化転換技術)
  ・原料は、非可食部の植物由来のバイオマス(茶かす、皮、落ち葉)
  ・乾燥原料(水分約10%)1kgからバイオコークス1kgができる
  ・200℃前後で反応のため製造エネルギーが少なくて済む。
   (ただし原料の乾燥エネルギーが問題。破砕などの前処理も必要)
  ・鋳造用石炭コークスの20%代替を目指す

 ◆道産飼料原料を使ったおいしい豚肉の生産について
           ノースベストファーム厚田工場長 田中 壱市
  ・食品工場からの製造ロス(菓子屑、米屑、ロスパン、ホエイ、野菜屑)を飼料化
  ・発行させスープ状の餌として給仕
  ・原料の安定的な確保が課題
  ・食品リサイクル法の強化にともない規模拡大の予定

 ◆北海道のクローズドシステム処分場の今
       北海道大学大学院工学研究科助教(CS研) 石井一英氏
  ・クローズドシステム処分場とは屋根などで外部環境(雨、風、光)を遮断し、
    内部を積極的にコントロール(散水、換気など)。様々な形態あり。
  ・雨や雪による増水無→侵出水の漏洩(負荷減による)、処理施設の規模縮小。
  ・経費 オープン型:1.5万〜3万/m3、クローズド型:4〜6万/m3
   (処理すべき、または保管すべき廃棄物の質と量により選択)
  ・事例紹介(喜茂別、ニセコ、留寿都、奈井江、栗山、鶴井村、稚内)
  ・最終処分場とは、現状では「自然界への最後のバリア」であるが
    将来的には「循環資源のストック」となりうる

◎私の発信
 ◆北海道におけるプラスチック製容器包装の
          資源循環型油化リサイクルシステムの現状
          (株)札幌プラスチックリサイクル 福島正明氏
  ・ケミカルリサイクル (CR)=プラを石油や原料に戻す方法。
   マテリアルリサイクル(MR)=プラをプラに再生する方法。
  ・本州ではMRが主流だが、道内はMRとCRがほぼ同程度(国の施策にもよる)  
  ・CRのうち油化施設は新潟と札幌の2カ所のみ。MR施設が増えている。
  ・MRは残渣が40〜50%、CRは2%

 ◆コンポスト用微生物をカドミウム含有ホタテウロの効率的処理研究
            (社)日本技術士会北海道支部 橋本昭夫氏
  ・和寒町では、この微生物を利用し家庭の生ゴミを処理。1ヶ月で分解消滅。
    残渣物から異物を除けば「種菌」として再度利用(約1年間使用できる) 
  ・循環型社会を作るには、技術面もあるが社会システムを作るために7割の力がいる

 ◆ゴミ溶融飛灰の評価(機器分析による廃棄物の評価と工業試験場の利用ーその2)
                 北海道立工業試験場 稲野浩行氏
  ・工業試験場でできる成分分析等の紹介

 ◆二代目恵迪寮の考古学ー大学校内における昭和のガラス瓶事情
             北海道大学埋蔵文化財調査室 遠部 慎氏
  ・考古学は「モノ」にこだわった学問。廃棄物も「モノ」。関連あり。
  ・極浅い年代の、若者だけが集ったと特定された場所は珍しい。
  ・当時(昭和6〜58年)の若者文化の調査研究。
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 廃棄物学会が実に幅広い分野が関連していることに驚くとともに、今回のセミナーが実際の生活に近い解りやすいものだったこと、新しい知見を得ることができたことから、大変興味深く有意義な時間であった。
 この分野の研究は、今月形町が抱える課題「最終処分場の今後」「一般ゴミの処理方法」についても示唆を与えるもので、私の議員活動にも応用できると考えられる。このセミナーをきっかけに、廃棄物学会に入会しようと思う。
 

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