2009年11月22日

栗山町議会基本条例制定3周年記念講演 「政権交代と地方分権」北川正恭氏

昨日夜、栗山町カルチャープラザEkiにて、『政権交代と地方分権』と題する講演会が行われました。講師は早稲田大学大学院教授で、マニフェスト研究所所長でもある北川正恭氏。栗山町議会基本条例制定3周年記念の講演会です。

会場には近隣から集まった議会関係者の姿もあったのですが、多くは栗山町民だったと思います。男性も女性も、年配の方も若い方もいて、会場(定員248人)はほぼ埋め尽くされていました。

講演内容で私の印象に残った点を紹介します。
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◆マニフェストとは「気づき」の道具。

◆民主主義は反対勢力があってこそ成り立つ。
 善政競争(より良い民意に添った政治を行うことで支持を得る。失敗すれば交代)

◆日本の歴史において、農業が産業の中心だった頃は(土地を使い、気候を利用するから)国民は地方に分散して住んでいた。国策として工業化を目指した時、様々な方策(全国統一教育=工業化に適した子供の生産、年金制度・健康保険制度=サラリーマンを手厚く保護することで人口流動を加速)によって、工業化がより効率的に進められる都市化(中央集権)へと向かっていった。

◆明治維新は近代化(=工業化、都市化、中央集権)の始まり。それが140年を経て問題が発生してきている。今までとは違う方向性の発想が必要な時期に来ているのではないか。
   ↓
 地域主権(逆明治維新、脱工業国家)

◆行政の縦割りは殖産興業の遺物(縦割り=産業割り)→ 文化割りに変更すべき

◆無いものねだりではなく、有るものを磨いて、繋いで(例)農商工連携、6次産業

熊本県黒川温泉の事例
・「黒川温泉いち旅館」=24軒の旅館で一つの旅館を形成するという考え
   温泉内の道路は廊下、各旅館は部屋 → ひとりはみんなのため
・統一性、自主性、独自性を貫く(役所は平均性、公平性を重んずるところ。商売の心と反する)
・やるか、やらないか。やるなら徹底的にやる。

◆地方議会は二元代表制。独任制の首長と、合議制の議会。

◆北京の蝶々=北京で一羽の蝶が羽ばたくと、ニューヨークでハリケーンが生じる
 (まずは自分が羽ばたくこと、それが共振し、いつかは大きなうねりとなる)

◆革命を起こすのは「へき地」から。(明治維新は南の端で始まった)
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今回の講演は、マニフェストスクールでの講義とはまた違った切り口でした。
特に『国策として行われた近代化』の行は、なるほどと思う一方、そういう見方もあるのかと冷めた感情もありました。国策で様々に誘導されたにもかかわらず、月形町には人が住み、農業が基幹産業として成り立っています。自らの職業や郷里に誇りを持ち、歯を食いしばって頑張っている月形町民を誇らしく思いました。

「北京の蝶々」の話は、環境問題解決のための動議付けとしても良く用いられています。きっと何事にも共通することなのでしょう。というか、今の時代に求められている発想なのかもしれません。自分が最初の蝶にならなければと思うと気が遠くなりそうですが、この話を聞いて頑張ろうと思っていること自体、既に共鳴しているのでは、と思います。私が月形町議会で新たな行動を起こしたとしても、孤独を感じることもなければ、最先端でもなく、必然的にその場に居合わせただけのような気がします。時代がそうさせていると思えば勇気や元気が湧いて来ます。頑張ろう〜、自分!


それから一つ疑問が解決しませんでした。二元代表制についてです。
首長は独任制のトップとして、議会は合議制の機関として、より良いまちづくりが仕事です。目指すところはいっしょでもその手法が違うこと、議会は多様性が必要で様々な階層からの人材が財産になるということも理解しています。
議会が地方政府の重要な機関として機能しようとすれば、議員はそれぞれの出自に関係なく広い視野で議論を重ねるようになるでしょう。そうなると、独任機関の首長と議員一人一人との思考の差はなくなってしまうのではないでしょうか? すなわち二元代表制の意味が薄れてくるのでは? ということは二元代表制を強化するために、議員はどのような視点で「まちづくり」向かうべきなのでしょうか? あくまでそれぞれの出自を意識した言動が重要なのか・・・?

会場で質問させていただいたのですが、上手く表現できず、通り一遍のつまらない質疑応答になってしまったことを反省しています。貴重な時間であったにもかかわらず、浪費してしまって申し訳ありませんでした。

他に会場から出た栗山町民の方の2つの質問は講義を補完する内容で、レベルの高さを感じました。議会だけでなく町民共に共鳴しているからこそのトップランナーなのだと、改めて感じました。

【2009.11.22】
今、神戸市会議員・井坂信彦氏のブログから、神原勝先生の言葉を見つけました。


  リーダーシップを発揮できる首長の特性と、争点を形成できる議会の特性を生かす
  首長は統合機能を担い、議会は様々な利害を代表する
  双方が意見をぶつけあい討論してみせるのが真の情報公開


私はまだまだ勉強が足りませんね。神原先生の本を読み直します。

comments

ザ選挙の政治家サイトでたまたま見ました。
高校を卒業した18歳から 定年の年齢よりも上のかたまで 求職者 全員が 就職できる 日本を 期待しています。
よろしくお願い致します。

  • ふくろう
  • 2009年11月23日 03:20

  •     

ふくろうさん、コメントありがとうございます。

職を求めても職がない状況が年々ひどくなっているのを実感しています。
月形町のような田舎では就職先がなく、多くの若者や成年、老年の方まで職を求めて都市部に出て行かれているのが事実です。

 >求職者全員が就職できる日本

とのことですが、私は被雇用者が増えるよりも、自営や経営者(起業)として自らの力で職を生み出す人が増える方が、長い目で見て安定的で前向きな労働市場が出来るのではないかと考えています。自営することは簡単ではありませんが、お金だけに頼らない社会が少しずつではあるけれど築けるのではないかと・・・。

思い切って自営の道がとれるよう、融資や保証の面で行政がサポートできる点はあるかと思います。今の段階では国の意向に沿うところが大きいのですが、私自身の課題として、頭に入れておきます。

  • 宮下ゆみこ
  • 2009年11月24日 03:00

  •     

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