2012年03月03日

議員協議会(2012.3.2)豪雪対策【参考画像:パイプハウスの状態】

3月2日午前、急遽「議員協議会」が開かれました。

通常、議員と町側の協議は「全員協議会(公開/正式)」として開催されますが、今回は案件の内容(「記録的な豪雪による農業被害対策」=急を要する案件でありながら内容が流動的。支援内容の公平性、情報(数字)の一人歩きを防ぐ目的)から「議員協議会(非公開/非公式)」の形となりました。

現段階で詳しい内容は書けませんが、町と議会とも、この記録的な豪雪災害に対して、何とか「産地としての力=生産力」を維持しようと検討を重ねています。

月形町の基幹産業は農業であり、その生産額の1/2は施設園芸(花き・果菜)が占めていて、町内には農業生産用のビニールハウス(パイプハウス)だけでも1,500棟以上建っています(用途:花き・果菜・水稲育苗・他)。

今年の豪雪によるパイプハウス倒壊の全容はまだ把握できていませんが大打撃を受けているのは間違いなく、生産基盤をなくした農業者の営農意欲減退(=離農者の増加)も懸念されます。

これから「産地」として存続できるか、非常に危機的な状況と言えます。

そこで町は、今までにない規模の農業振興策(生産力維持のための施策)を考え、議会との協議に入りました。一般会計33億円の自治体にとって、とても規模の大きい支援になるだけに「公平性」「透明性」など様々な視点での検討も必要になりますし、今年の営農への影響を最小限にするためには「スピード」も重要になります。

「記録的な豪雪による農業被害対策」は近々公表されるでしょう。
この施策によって「産地が守られる=生産力が維持される」ことを願ってやみません。
__。__。__。__。__。__。__。__。

ここに掲載した写真は、月形町農事会のパイプハウスの現状(平成24年3月2日撮影)です。

【1枚目】雪の下に埋まったパイプハウスを掘り出したところ。雪の重みでパイプが肩の部分で折れています。

【2枚目】掘り出したハウスの全体像。ハウスの幅の半分まで掘り出したところ。パイプは全体的に変形し、ひしゃげた状態。一部は1枚目の写真のように完全に折れています。
ハウスの上には50cm以上の雪が積もった状態で、雪全体が圧縮・沈下し荷重がかかっています。雪表面の少し下(約5cm)には融雪剤(炭の粉)の黒い層が見えます。
融雪剤は太陽光(太陽熱)を吸収し表面(上層)から融かしていきます。黒い層は、融けた雪が融雪剤と混ざって氷の層になっている状態。この層が雪表面にあるうちは融雪が進むのですが、散布後にまとまった降雪があり、雪表面はまた真っ白になってしまいました。時期を見てまた融雪剤のまき直しです。

【3枚目】ハウスを掘り出しているところ。この場所は越冬ハウスの横に位置しているので除雪車が入れるスペースが確保されています。まずは除雪車で脇をギリギリまで開け、そのあとはひたすら人力。スコップを使って掘り出していきます。

※パイプハウスの立地によっては機械が入れず、雪の奥深くに埋まったパイプハウスを人力のみで掘削しなければなりません。2m以上の積雪がある現状では雪を捨てる場所もなく、人力にも限界があり、まだまだ手がつけられない状態のところがたくさんあります。
どの農業者も、被害が拡大しないように最大限努力していますが限界もあります。時間があれば掘り出しているのですが、雪が降れば全体に埋まり、吹雪になれば低い場所(掘ったところ)ほど雪が溜まりやすく、徒労感が否めません。これから気温が上がり、雪も降らないことを祈るばかりです。

__。__。__。__。__。__。__。__。

■降雪状況(平成24年2月29日現在 : 月ヶ岡での目視観察)
 ・総降雪量 13.34m ・・・ 昨年:6.68m ・・・ 過去最高値 12.99m(昭和60年)
 ・積雪深   2.40m ・・・ 昨年:1.05m ・・・ 過去最高値  2.8 m(昭和45年3月25日)
 ※昨年3月の降雪量 1.34m 

comments

雪害で本当に大変ですね
月形町では、多分基幹産業であろうと感ずる、農業用ビニールハウス損壊の被害
大変な事態だと存じ上げます

さて 本日の北海道新聞報道では、町は半額の補助をするとの事、素早い判断で被災者もゆみこさんのブログの通り、見守っていただける事で元気を得、復興へ励みが出るだろうと当然考えます

この事はもろ手を挙げて賛成をするところですが、税を個人の資産へ投入する事への考え方は、見識のある ゆみこさんはどの様にお考えか知りたくてコメントをした次第です

町の災害救済条例に基づかれたのか?
国や道の補助制度を活用されたのか?
一般会計規模が33億の約1億の補正と言ったら、相当のもの

一番知りたいのは、個人の資産への税は如何か?

私は、無担保・無保証・無金利・1~2年据え置きの上限を定めた緊急貸付制度の創設が適切かな?と考えましたが

どの様なものでしょうか?

どの様に考えて判断をなさったのか知りたくてコメントしました

すみません
大変な時に
時間を掛けると、本当の考え方が変化するのではと思ったものですから?

  • 川原光男
  • 2012年03月06日 17:16

  •     

川原光男さん、コメントありがとうございます。

3月6日の新聞報道以来、多方面から問い合わせが殺到している状況です。
定例会期中のこともあり、物理的に時間がとれないでいます。

今回の報道は話題先行の面があり、誤解も発生しています。
私の考えも含め正確に記述したいと思っているので、回答までもう少しお時間をください。

明日(3月9日)には時間ができますので、ブログ記事として私の考えを掲載します。
その後、川原さんへの回答をしたいと考えています。

大変申し訳ないのですが、今しばらくお待ちください。
※なお、この件で現在のところ時間の経過による考えの変化はありません。あしからず。

  • 宮下ゆみこ
  • 2012年03月09日 00:44

  •     

川原光男さん、お答えが遅くなり申し訳ありませんでした。

この件に関する私の見解は、3月9日付のブログに記載しました。少し長くて恐縮ですが、そちらを読んでいただけたら私の考え方を理解していただけるのではないかと思います。ただ、川原さんへの回答に不足な部分もあるので、こちらには補足を書かせていただきます。

>町の災害救済条例に基づかれたのか? 国や道の補助制度を活用されたのか?

◎今回の支援策は議決前ですので、議会はまだ判断をしていません。議会に対する町側の説明も十分とは言えません。この件については、一般質問で確認します。
ちなみに、町に災害救済条例はありません。また今回の豪雪に対する国や道の補助制度も現在のところは未確定です(現在国や道、およびその議員が連日視察に訪れている状況です)。


>無担保・無保証・無金利・1~2年据え置きの上限を定めた緊急貸付制度の創設が適切かな?

◎逆に聴きたいのですが、恵庭市では無担保・無保証・無金利で貸付制度ができるのですか?

月形町の場合、貸付制度を町が作ることも、無担保・無保証も考えられません。今回、町が1/2の支援(実際には共済額の1/2なので、4割に相当)と公表されていますが、あわせてJA月形町が残りの部分を無利子で貸し付ける支援策を打ち出しています。ただし、融資を受けられるのは担保もしくは保証人1名がある場合。被害にあった農業者の状況を考えると、高いハードルと言えます。

今回の支援策、私は「農業振興策」の一環として捉えています。ですから「生産力の維持」が一つの支援の指標となるのではないかと。今打ち出されている支援策も、実際に農家がどれだけ使うか(使えるか)は微妙です。「1億円の支援」と銘打っても、実際にはその何割かになってしまうことも考えられます。そして農業基盤の縮小に向かうのではないかと危惧しています。

そう考えると、「生産力の維持」を指標にして、今回の支援策に乗れなかった農家に対して次の手立てを講じることもできます。個人的にはリース事業の併用がいいのではないかと。(執行側ではないので、何とも歯がゆいのですが)


以上はパイプハウスにスポットを当てた支援策ですが、実際には畜舎や一般家屋にも被害は出ていますし、被害が出ないように様々な手立てを講じた人もいます。「災害復旧」という視点に立てば、今回の支援策は非常に不公平感が大きい施策です。

理事者がどう考え、どう判断するのか、一般質問で慎重に問うてみたいと思います。

川原さん、どうでしょう? ぜひコメントをお寄せください。よろしくお願いします。

  • 宮下ゆみこ
  • 2012年03月10日 02:10

  •     

当市では3~4年前だったと思いますが、緊急経済対策恵庭市融資制度を時限で実施しました

3億円を債務負担行為を議決し、上限500万円と300万円を実施しました
審査は銀行にお願いし、金利は税で負担し、保証は恵庭市がなる事になります

但し返済が延滞となりそうであれば、最大限の回収努力は銀行で行います
最終的に不履行となったら、債務補填を税で実施する事になります

申込者は、1年以上の恵庭市で本社経営が為されている事、税の滞納が無い事、などが条件ですが、審査は将来計画がはっきりと立てられ合理性がある事が必要で、ドブにお金を投げる様な事がないように注意を致します
銀行は嫌がりますが、地域密着の所は取り組んでくれます

税の投入は、突然の不況の波で地域経済の破綻など、まちづくりに大きく支障が及ぶと想定される時になされると考えます


ゆえに 努力され元気に回復をなし、再びまちづくりの一員として参画頂ける為に、税を投入する根拠と考えます
但し対象業種は、当然に緊急性を考えた上での選択と集中は必要でしょ?

私は 直接給付と言う形のバラマキは人間の持つ「善玉」「悪玉」の悪玉を台頭させると思っています
お見舞いとする少額のものならば認めますが?

農業被害には制度として救済の仕組みは、国や道ではあるでしょう
知事への来訪者に月形町長の名前が有りましたから、善後策の相談でしょうか?

しかし 動くのは 現地の自治体の早急な制度設計です
それがある事で、国・道はついてきます

真っ先に考えるのは、被害にあわれ苦悩されている方々へです

しかし 日頃から被害に耐えられる様に考え、減災に務め被害を最小限に抑えた方への対応です

色々な立場で考慮しなくてはなりません

難しいとは思いますが、早急に決断です
町民の方々へ夢と希望の政策をお願い致します
これこそが地域の事は地域で!
地方分権の姿です


簡単にしか書きませんでしたが、私のコメントと致します

  • 川原です
  • 2012年03月10日 16:44

  •     

川原さん、コメントありがとうございます。
恵庭市の事例は一つの事例として参考になりました。ありがとうございます。


恵庭市の「無保証・無担保・無金利の緊急貸付制度」は、その審査と(最終保証を市がするとは言え)回収業務は金融機関がやっていると言う事で、月形町におけるJA月形町の無利子融資と根本的には変わりない制度のような印象を受けました。
経営診断と回収を金融機関に任せれば、金融機関の意向の強い制度運用になりますよね。もちろん回収できなければ税の投入になり【公平性】【公共性】の問題が出てくるので、専門家である金融機関に任せるのは当然と言えるでしょう。

ただボーダーの人たちの【やる気】を何処まで判断できるか・・・今回の件に限らず、全国各地で公金を投入するときに最も悩む点だと思います。融資先が零細であればある程、「やる気はあるけれど数字は悪い」「規模が小さいからちょっとしたきっかけで上手く立ち直ることもあれば、回収不能になることもある」のですから。

今回甚大な被害を受けた施設園芸農家の多くは小規模です。小さい農地面積でも収入を上げ、農家として生きていくために施設園芸を選択しました。だからパイプハウスをできる限り効率よく農地に建ててきました。今年のような記録的な豪雪はこの40年来のもの、つまり今までであれば十分対応していたのです。それに40年前、道内では施設園芸はほとんど普及していなく、このようなパイプハウスの被害はなかったのです。


>農業被害には制度として救済の仕組みは、国や道ではあるでしょう?
◎残念ながら、今回の被害に救済制度はありません。【農業=国に守られている】と考えるのは間違いです。農業にも色々なタイプがあますから。


よく「こんな状況でもハウスを守った人がいるんだから、つぶした人(は努力不足なのだから)税金を投入するなど、不公平だ」という意見を聞きます。心情的には分かりますが、果たしてそうなのでしょうか?

こんなに被害が大きい場合、どうやっても「つぶさないこと」に最大のメリットがあります。つぶしてしまった農家はたとえ多くの補助金をもらったとしても、それだけで元通りのハウスが建つわけではありません。壊れたハウスを片付け、新たに建て直す労力は想像以上。労働力不足から作付けは遅れ、収益の上がる時期に出荷できず収入は大幅ダウン。本人もつぶしてしまったことに負い目を感じているでしょう。自然災害の場合、それがある一定の地域に集中するのですから、これは地域全体の問題として非常に影響が出てくるわけです。

今回のような被害が大きい状況では、お金だけでは解決できないことがたくさん出てくるのです。だから、せめて手当のしやすい現物(お金もしくは資材)で多少なりの支えをすることが地域を守ることになると考えます。


>私は直接給付と言う形のバラマキは人間の持つ「善玉」「悪玉」の悪玉を台頭させると思っています。
◎直接給付がバラマキになるか、ならないか・・・まずはその政策に理念があるかどうか、そしてその政策理念がキチンと末端まで伝わっているかどうか、にかかっているのではないでしょうか。直接給付にするか、無利子融資にするかは、その時の状況に寄ります。

ハッキリ言って、今の北海道の施設園芸農業者で【金融機関が太鼓判を押す】ほどの体力がある農家がどれほどあるか・・・事実を知ったら驚くでしょう。
国の政策は自給率向上を旗印に、大規模効率化へと突き進んでいます。それにあわせた政策と補助金が展開されています。確かにそれで農地の多くが効率的に作付けされるようになっていくでしょう。ただ、それに適さない土地もありますし、細々とでも好きな作物を作りたい農家もいます。食のバラエティを保つためにも、農地や地域を維持するためにも、様々なタイプの農家が存在しなければならないと私は考えています。


色々話しをしても、やはり農業の特殊性、都市部と地方の違いはありますね。相互理解の難しさを改めて感じます。

  • 宮下ゆみこ
  • 2012年03月10日 19:28

  •     

まず地域がどの様な政策を採るかです

そこの判断が評価されるところです

国や道は地域の実行力に由来します

今こそ、ゆみこさんの主張を具現すべきです、
議員はその時為に存在すると思います

  • 川原です
  • 2012年03月11日 01:45

  •     

コメント・フォーム

(ゆみこの日記 にはじめてコメントされる場合、不適切なコメントを防止するため、掲載前に管理者が内容を確認しています。適切なコメントと判断した場合コメントは直ちに表示されますので、再度コメントを投稿する必要はありません。)

コメント・フォーム

▲TOPへ戻る