2013年01月26日

『美味しい』がキーワード:置戸町・佐々木十美さん【きたひとネット】

1月21日〜22日、北海道大学学術交流会館(札幌市)で開催された「きたひとネット(北海道女性農業者ネットワーク)」の第5回総会とフォーラム、研修会に参加してきました。

「きたひとネット」とは、『食と大地の環境を考える北海道女性農業者が、相互の交流を通じて、女性(ひと)と男性(ひと)が共に働く喜びを共感する豊かな農村・農業を次代へつなげ、地域や社会へ発信する為の自主的なネットワーク(規約>目的より)』詳しくは、過去の日記を(2008年:設立2011年:第3回

当日の参加者は約150人。ひと口に「農業者」と言っても実際の農業形態は様々。酪農や畜産から畑作、米作、園芸、農産加工など。もちろん年齢も幅広く。それでも意欲に満ちた目は共通で印象的でした。


さて、今年のフォーラムのテーマは【はぐくむ〜育む・Hug組む〜】。
メインは佐々木十美さんの講演『“食(=農)”は命をはぐくむ』。
私はその後の分科会でも佐々木十美さんのところでお話を聴いてきました。

※ 佐々木十美(ささき とみ)さん:
置戸町の学校給食センターの管理栄養士や栄養教諭を経て昨年定年退職。現在は教育委員会に籍を置き【置戸町 食のアドバイザー】として活動。全国で食育に関する講演会や研修の講師として飛び回る。自称「給食の鬼」。NHKプロフェッショナル仕事の流儀にも。


佐々木十美さんのお話を聴けたのは全部で約2時間半。話しの焦点は【食】であっても話題は様々に広がり、2時間半では全然足りない! 

学校給食に関わった40年間、信念を持ち、そこに真剣に向き合って試行し行動してきたからこそ導かれた【十美さんの言葉】には言霊が宿り、優しい雰囲気でありながら迫力もあり、流石だなあ〜と。

◆1番は『美味しい』と思って食べること。
◆美味しいは笑顔に繋がり、笑顔は幸せな気持ちにさせ、身体が活性化する。
◆美味しいと思うのは慣れた味。(家庭の好みはそれぞれなので塩分は慣れた味で。)

十美さんの姿勢を最もよく表すキーワードは【美味しい】なのだと思います。

私なりに解釈すると・・・慣れた味を美味しいと感じるのが人間だから、味覚を発達させるもの(伝統製法で作られた調味料)や信頼できるもの(どうやって生産しているかが見えるもの)を日常的に食べさせ、本物(=命あるもの)を美味しいと思えるように食の体験を積むことが大事・・・

この他、心に残った言葉は、
◆食卓は、子どもが最初に学ぶ社会のルール
◆美味しいものはみんなで共有。食の体験を積ませたい。
◆食事 = 体も心も満足させるもの ≠ えさ(空腹を満たすもの)
◆食材を生かすも殺すも調味料。ちゃんとしたものを食べれば味覚が育つ。
◆良いものは風味が芳醇だから、使う量は少なくていい。
 (1人あたりの費用は廉価版とそれほど変わらない。)

学校給食に関わる議員として、参考になった情報は
◆置戸町は20年以上、給食費未納者ゼロ
 給食費は1人1食 小学生238円、中学生272円。(月形町とほとんど同じ)
 給食費を100%食材に使える。(光熱費や人件費など、食材以外の経費は町負担)
◆置戸町の学校給食は250食。栄養士+年間4人の調理員で調理。
◆地域からの無償提供品(ジャガイモや玉ねぎ、野菜のハネ品)はどんどん使う。
 山菜も採りに行く。下処理はとても大変だが、手間を惜しまない調理員のお陰で使用できる。
◆山菜を採るのは簡単、でも後の処理はとても大変。
 なので、下処理は老人クラブや老人大学にも手伝ってもらう。
◆旬でないものは食べなくていい。地物の旬を大切にしている。

◆置戸町には栄養士として働いている人(介護施設、他)が11人いる。横の繋がりをもって、置戸町全体で地元野菜等を上手く使えないか模索中。生産者と打ち合わせをして生産量を把握したり、地元食材を上手く使うメニューの開発など。
◆地元野菜の消費が安定すれば、生産も安定する。高齢者の野菜作りを若者に伝えることが出来る。(技術の伝承)
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議員としてはもちろんのこと、家庭の食卓を預かる者としても、考えさせられる内容でした。人にとって【食】は命を繋ぐもの。食べたものでしか身体は作れないのに、“テキトウ”で済ませていなかったか、反省する部分も多かったです。

もちろん、経済性抜きに日々の暮らしは成り立ちませんし、新しい技術によって生まれた食品が全て問題があるとも思えません。時間にも限りがあります。
ただ、様々な視点を持ちたいと思いました。

それに行動することの重要性も感じました。佐々木十美さんのように「地元野菜をふんだんに使いたい」「本物の調味料を使いたい」と思っている栄養士さんは多いでしょう。ただ実際にそうなっていないのは、実現するためには様々なハードルがあるということ。十美さんはあきらめずに行動したから実現できたのです。
私も行動する前に考え過ぎの傾向があるので、ここは一つ、思い切って行動! 
ですね。

折しも先日、有川 浩著「植物図鑑」を読んだところ。これも食や味覚に関連していました。身のまわりの色々なところからサインが出ているように思います。

comments

『食』=“子供の頃につくもの”だと、親から教わりました。
有川浩先生の『植物図鑑』私も読みましたが、小さな植物も食べることが出来ると思うと、もっと食べ物を大事にしていきたいと思います...

ミルクレープさん、いつもコメントありがとうございます。

『食』=“子どもの頃に(身に)つくもの” って解釈していいですか?

素敵な親御さんですね。
それに、それを覚えていて伝えてくれるミルクレープさんも素敵です。
親の言葉は大人になってから効いてくるんですよね。身に染みます。

ミニクレープさんも『植物図鑑』読んでたんですね。
娘(19歳)も既に読んでいたと昨日知って、ビックリ。
有川浩さん、人気があるんですね。

>小さな植物も食べることが出来ると思うと、もっと食べ物を大事にしていきたいと思います...

ほんとですね。
この小説を読んでいると、身のまわりの植物(雑草)が生命力たっぷりに生き生きと描かれていて嬉しくなります。それが食材となって食卓に上るシーンは感性を刺激し、そして最後に「私たちは(他の生きものの)命をいただいて生きている」と実感させられる・・・
若者向けの小説だと思うのですが、母親の立場で読んでも心動かされました。


月形町は今、一面銀世界で生きものの痕跡も見つけられない雰囲気ですが、この雪の下では植物が芽を大きく膨らませ、春の芽生えを待っていると思うとワクワクします。春の芽吹きの力強さをいただいて(食して)、私も目覚めたいです。


  • 宮下ゆみこ
  • 2013年01月29日 19:00

  •     

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