2010年09月08日

地方議会改革セミナー 第1回(講師:中尾修氏)

9月7日の夜、札幌で行われた地方議会改革セミナーに参加してきました。

これはローカルマニフェスト推進議員連盟北海道の主催で、今回が初の開催です。参加者は市町村議や道議が中心だったものの議会改革に関心の高い市民も多く、会場はいっぱい(約70人)でした。
また講演の様子はUstream(ユーストリーム)で配信されたり、ツイッターでのつぶやきが画面に映し出されるなど、配信実験(新たな試み)が行われていました。時代ですね。

セミナーの講師は前栗山町議会事務局長で、現在は東京財団研究員の中尾修氏です。分かり易さとメッセージの強さで定評のある中尾さんの講演ですが、全国を飛び回り講演を重ねていることや、様々な事例を研究されたことなどから以前にも増して「言葉」や「思考」が洗練されていて、全てが直球で入ってきます。
議会改革や地域主権などを地方議員側としてどう捉え行動するか、多様な視点を得るための手法など、議員活動や議会活動で問題になる様々な関係性を整理することができました。参加し甲斐のあるセミナーでした。

以下に、私の心に残った内容を記します。
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ローカルマニフェスト推進議員連盟北海道主催
    地方議会改革セミナー第1回

「地方分権化における議会改革」 
                    講師  中尾 修氏

          早稲田大学マニフェスト研究所客員研究員
        東京財団研究員・北海道自治研究所特別研究員
                   前栗山町議会事務局長

■地方議会は「二元代表制」
・住民は違った選び方で、2つの代表(首長と議会議員)を選ぶ
・選び方の違いから、2つの代表(首長と議会)には微妙なズレが生ずる
・ズレは抑制と均衡のバランスを生む → 二元代表制はとても良い制度設計
・二元代表制によって、議会と首長は一端は対立する構図になっている

■今、地方議会が置かれている状況
・地方自治法が議会に与えている権利(提案権、調査権、修正権)は
 首長と対峙するためのもの、バランスをとるために与えられているもの。
 しかし今までそれを行使してこなかった。
  → そのつけが今議会に回ってきている = 議会不信、議会不要論
・議会は既に崖っぷちにいる。そこに「地域主権」などの大風が吹いてきた
・どちらに進むべきか迷っている。気付いた人はその理論づけが必要と感じている。

■住民と議会の関係
・プライドの高さが住民と議会を遠ざける
・議会は悩みながら進んでいる。その全てを公開すること(過程公開の重要性)
 (例)旭山動物園の行動展示・・・全てを見せることで人気が出た(=知りたい情報を提供する)
・議会が機関として(一塊たまりになって)市民の前に登場する時代 = 報告会、説明
 狭い議場で全てを決定する時代は終わった。
 (例)名古屋市議会・・・河村市長に対峙するために党派を超え街頭宣伝、説明会の実施。

■なぜ議会基本条例か
・議会規則では市民参加や行政評価が明記されていない。議会基本条例でなければ書き込めない
・制度として安定していないものは市民に受け入れられない
・議会基本条例は議会版マニフェスト。市民との契約。
 (首長マニフェスト(首長の想い)だけが自治体の姿になってしまう。
  議会マニフェストとして議会基本条例があることでバランスがとれる)
・議会の意思を表し、国の制度を変える動きとなる。

■その他
・今の制度のもとでは「通年議会」だけが議長招集権を手に入れる手だて
・阿久根市の事例から、総務省は「議長の議会招集権」の検討に入った。
  → 10年前から要望して動かなかったことが、たった4ヶ月で動き出した
・阿久根市のようなことは、実は全国各地で起きている
 (今までは議会を懐柔する首長がほとんどだったが、
  自治体予算が減り自由度がなくなったために、想いを成し遂げるべく行動する)

・市民と議会、市民と職員、どのように付き合ってきたかが問われている。
 「自治という視点」で見直してみよう。
 市民は「自治」に気づき、行動させはじめた。
・議会改革が行政(職員)に伝わっていない。自己満足に陥ってはダメ。
 市民、そして職員にも伝えること。議論から逃げたらダメだ。
・市民の前に立つことで資質が磨かれる。そのことを乗り越えなければ市民との信頼は生まれない。

・決算のやり方を見直してみよう。議会独自の視点で
  → 縦割り行政に対峙するために、横の視点で審議してみてはどうか
 (例1)補助金だけを全て取り出し、10年スパンでその推移を見る
 (例2)今年は水道会計、病院会計に特化して審議する・・・など

・イメージしてみよう
 もし橋本大阪府知事が北海道知事になったら・・・
 もし河村名古屋市長が札幌市長になったら・・・
 もし竹原阿久根市長が自分の自治体の首長になったら・・・
 議会として、議員として、何をする?
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現場をよく知り自ら行動してきた中尾さんが、その経験を軸にしながら全国の様々な事例を研究しての結果導き出した内容なので、私とってとてもイメージしやすく参考になるものでした。
その時何をすべきなのか何ができるのか、多様な視点の重要性とそれを得るための手法など、自分のものとして考えさせてくれました。私も軸を持って物事に当たらねば。

「二元代表制」は言葉として理解していても、現実の場面ではどれほど活用されているか?

私たちの議会や理事者、職員、町民の間でも、どれほど理解されているのかは疑問で、まして活用までは・・・。私自身も勉強する度にその本質に触れているようなもので、まだまだ体現できていません。それでも二元代表制の当事者で、一翼を担う側の議員の一人として、気付いたことから始めなければという思いがより一層強くなりました。

議員は『行動』して初めて評価される。今日の気づきを形にしていきたいです。

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