2010年12月18日

全員協議会(2010.11.26)

遅れましたが、平成22年11月26日に行われた第5回臨時会後の全員協議会の報告です。
この日は町側から提示された2項目について審議しました。いずれも後々まで町政に関係する重要な事項です。
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1.月形町職員の公正な職務の執行の確保に関する条例(案)等の制定について

■町側から条例の概要と骨子についての説明

[条例制定の背景] 町職員が「寄贈切手換金事件」という不祥事を起こしたことにより、行政に対
         する町民の信頼を著しく失墜させた。このことを深く反省し、このようなことが
         二度と起こることのない組織を構築するため、公務員倫理及び法令遵守(コン
         プライアンス)を推進する体制を整備し、町政に対する町民の信頼回復を図る。

[条例及び規則の構成]・・・条例の下に4つの規則を設置
    月形町職員の公正な職務の執行の確保に関する条例(略称:コンプライアンス条例)
               1)職員の基本的心構え
               2)職員、管理職員、町長、町民等の責務
               3)法令遵守委員会の設置
               4)公益通報
               5)不当要求行為等への対処
                     ↓
         ○月形町職員倫理規則       ○月形町法令遵守委員会規則
         ○月形町公益通報に関する規則   ○月形町不当要求行為対策規則

■質疑応答
Q 町側の今後のスケジュールは?
A 今日は提案説明。この後、第4回定例会(12月7日開会)に提案したい。
  この条例に付随するもの(報酬条例、補正予算)も含め、提案する予定。

Q 切手事件の検証と再発防止策について、どのように対応するのか?
A 今回の切手事件のためだけに検証委員会を立ち上げるのはどうかと思う。
  法令遵守委員会の中で事件検証をしていきたい。

Q 公益通報に関わる法令遵守委員会の会議が非公開というのは理解できるが、
  切手事件の検証も非公開となるのか? 検討結果や概要も公開されないのか?
A 情報公開に関しては情報公開条例がある。

Q 今回の事件をうけての条例と考えると、抜けている(充分ではない)部分があるのでは?
A 読み取れない部分をこの中に足すことは何ら問題ない。

■議員間討議
[この条例審議に対する議員の意見]
・条例案を含め全ての関連議案を12月定例会から取り下げた上で、再度議会と理事者で協議する。
・条例案を12月定例会で可決した上で、細部に関してはその後に条例修正で対応する。
・特別委員会を立ち上げ、そこにこの条例を付託し審議する。
・12月議会で否決。次の臨時会もしくは定例会に町側が修正案を提出した場合に審議する。
   ↓
 最善策を見いだせなかったため、今後の定例会運営も含め、正・副議長が町側と調整。

■結論・・・町側は、12月定例会には提案しない。補正予算も修正する。
      今後のスケジュールとして、まずは議会が統一意見として修正案を示し、その後
      議会と町側で協議を重ね、3月の定例会に提案し承認をうける。


2.今後のゴミ処理方法について

■これまでの経過説明
・美唄市との共同で高温高圧処理施設を整備
・平成21年11月27日12月9日の全員協議会で審議。
・平成22年年明けに(衛生センター周辺)地域住民への説明を行い、概ね理解を得られた。

■現状の報告
・美唄市の事情により全体計画が遅れている(計画策定手続きの遅れ、議会承認の遅れ、その他)
・遅れはあるものの全体計画に変更はなく、月形町は当初のスケジュールに従い進めている。
  (平成26年供用開始予定)
・12月定例会に「一般廃棄物処理計画」見直しのための委託料の補正予算を計上
・共同処理施設整備に要する費用について、概算が示された(ただし今後精査する部分が多い)

■質疑応答
Q 美唄市との運用や費用負担などの話し合いはどの時期に行われるのか?
A 美唄市との協定もこれから。基本的な部分はまず最初に取り決める(合意の上で進めて行く)
  協議内容等は出来るだけ議会にも報告していきたい。
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この日初めて議会に提示された[コンプライアンス条例]は、私のイメージしていた条例の内容とは全く別のものでした。また多くの議員は予想以上に重厚でスケールの大きな条例であったことに驚いているようで、「提案が唐突すぎる」「審議する時間が足りない」という声が多く聞かれました。

切手事件の処分を発表した8月5日の全員協議会で、初めて町長が「外部も入れた倫理委員会の設置も考えられる」との考えを示したので、私は「外部委員による事件の検証が行われる」と期待を寄せていました。
私は何よりもまず初めに第三者によってこの事件が検証され、問題点を洗い出した上で再発防止策を検討すべきと考えていたからです。(この事件は教育委員会組織が起こした事件であり、その調査を行ったのが副町長を筆頭にした理事者集団であったこと。役場内部はほとんど全て利害関係者と考えることができるため。)

その想いで進めた9月定例会の一般質問でしたが、その答弁で示された「倫理委員会」のイメージは私のものとは違い、質問と答弁が噛み合わない状態でした。今こうして新しい条例の全貌が明なになってみると、「月形町法令遵守委員会(=倫理委員会)」の位置づけが(町長と私とは)最初から違っていたのだから、できあがったモノが違っていて当然だったと言えます。

今回示された[コンプライアンス条例]は、切手事件の再発防止策としては一定の効果を上げるかもしれません。これから起こるであろう新たな事件を未然に防ぐことに関しては評価できる部分もあります。しかし、この条例をなぜ立ち上げなければならなかったか! その根源にかえって考えると、事件の検証もままならないのに再発防止策などあり得るのでしょうか?

万が一、今ここで、役場のある部署が組織ぐるみで事件を起こし隠ぺいしていた事実がわかったとしたら、今回よりも公共の利益に叶うような調査や処理ができるのでしょうか?
もし今どこかの金庫から、書類上処理もされていない有価物が発見された時、職員は適正な判断の下に処理できるのでしょうか?(どんな少額でも上司に伺いを立てなければ処理できない、迷いの状態にならないか? あるいは、下手に手を出すことでリスクも背負い込むと、見て見ぬふりをする消極的な態度になってしまわないか?)

様々な想像を膨らませ、この条例が施行されたあとの月形町の姿を思い描きながら、この条例の修正案を検討したいと思います。

2010年12月17日

今、注力していること → コンプライアンス条例

外は15日からの寒気で連日真冬日。昨日(16日)の朝はこの冬一番の寒さでー16.1℃でした。そして雪も一気に積もり冬本番といったところです。

そんな中、今週に入ってブログの更新できていません。すいません。師走に入り色々な行事が立て込んでいるのも1つの理由ですが、議員になって初めての大きな課題に向き合っているからです。

それは・・・コンプライアンス条例の修正案作り

今まで議会の中で条例の審議(可否)は行ってきましたが、具体的な修正案を検討するのは(私だけでなく、たぶん全議員が)初めてのことです。また、コンプライアンス条例はこの下に4つの規則を持つ非常に重厚で、多方面に影響のある条例なので、修正案を作ることは法制度に明るくない私にとって大きな課題であり挑戦になっています。

このコンプライアンス条例の修正案作りを行うに至った経緯は、以下の通りです。
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切手事件を受け、その後の展開として以前から話題に上っていた「月形町職員倫理条例(仮称)」。
その条例が形になり11月26日の全員協議会に提示されました。それが

『月形町職員の公正な職務の執行の確保に関する条例(案)』(略称)コンプライアンス条例

この条例(案)に対し議会から「唐突」「審議時間が足りない」「問題箇所がある」等の意見が多数出て、理事者(町長・副町長)側との協議の結果、一旦棚上げとなり12月定例会への条例提案が見送られました[11月26日の全員協議会]。
その後、議会内討議を進めるも結論は出せず、正・副議長と理事者が協議を行い今後のスケジュールを調整することに[12月8日の全員協議会]。

その結果、
1)各議員がコンプライアンス条例の具体的な修正案を作り、
          1月14日開催予定の全員協議会で「最終の議会案」としてとりまとめる。
2)1月中に全員協議会を開催し、理事者と修正案について調整
3)総務課で条例の修正事務を行い、3月定例会に提案
というスケジュールになりました。
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これを受け、現在私も個人的な修正案を作るべく、様々なツテを頼りに勉強・検討を重ねています。特に私がこだわっているのは、この条例を制定することで
●再度同様の事件が起きた時に最善の対処ができるのか(切手事件の教訓を生かせるか)
●職員が迷いなく業務に向かうことができるのか(消極的にならずに業務に集中できるか)
という点です。

私は未だこの事件の検証が不十分(特に調査と公表の部分)と考えているので、(問題箇所が不明朗なまま対策を主眼に置いた)この条例の有効性に疑問を持っています。また「公益通報」への対応を主目的に据えた「法令遵守委員会」で、果たして切手事件の検証ができるのか、検証結果等情報の公開はなされるのか・・・ここも多いな疑問点です。

しかしながら、議会全体の流れはこの条例の制定に前向きです。この条例の中で(切手事件の検証も)対処する方向で流れています。とすれば(議会は合議体である以上)、この条例の修正案で最善を尽くすことが重要に・・・

想いを形にするよう、努力したいと思います。

2010年12月13日

全員協議会(2010.12.8)コンプライアンス条例

第4回定例会にあわせて開かれた全員協議会での「月形町職員の公正な職務の執行の確保に関する条例(コンプライアンス条例)案」について、議会内討議の報告です。
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【コンプライアンス条例に対する意見】
■コンプライアンスの意味を狭めた条例ではないか。
 職員の業務がどの法律に該当し、どう行動すべきだったのかを検討すべきではないか。

■コンプライアンス条例は再発防止策として進めるのであればよしとする。
 ただし、切手事件の検証を行う予定の[法令遵守委員会]は非公開の会議であり、町側の説明では
 積極的な公開もない考えである。検証は別の委員会を立ち上げ、早急に進めるべき。

■法令遵守委員会の活動内容が公益通報に偏りすぎている。コンプライアンスに関し、町長に提言
 できる幅の広いものにするべきでは。
■法令遵守委員会の委員数は3人では少ない。5人にすべき。

■公益通報は「記名」で行うことになっているが、無記名の検討必要。
 無記名で情報を集めることで、事件の未然防止に繋がる。

■関係業者との接触が厳しく規定されているが、月形町の実情を考えれば(町民の多くが対象者となる
 ので)実現できるか疑問。
■厳しい倫理規定が設けられているので、このままの形で進めればいい。
■倫理規則に規定されている事項は紛らわしい。もっとわかりやすくできないか。

■これでまずやってみて、その後、様子を見て修正してみては。
■議会はこの問題の解決を「早く」と言ってきた。早急に動き出せるよう、まずは進めるべき。

【議長によるまとめ】
・議会はこのコンプライアンス条例を概ねよしと認めるも、内容には修正の必要がある。
 今日の議論の内容を町長に伝え、検討を加えてもらったものを議会に図る。
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この協議内容を正・副議長が取りまとめ、町長ら理事者に伝えることになりました。
今後のスケジュールはその時に調整するとのこと。

2010年12月11日

第3回北海道アライグマ慰霊祭&小講演会(2)

続きです。ここでは小講演会の内容を紹介します(私の印象に残った点を記載します。)
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1.北海道の外来種対策について 
           猪川周二氏(北海道環境生活部環境局)

■外来種について
・外来種問題:野生生物が本来の移動能力を超え、国外または
       国内の他地域から人の行為によって導入され、その生物(種)がその地域に固有の
       生物相や生態系に対して大きな脅威になっている問題
・外来生物法(特定外来生物による生態系等への被害の防止に関する法律)平成17年6月施行
・生物多様性基本法 平成20年6月施行
北海道ブルーリスト(北海道における外来種リスト)
・現在、外来種とされているのは2,000種以上。うち道内には860種。全てが駆除対象ではない。
 (駆除対象=特定外来生物は全国で97種が指定されている。アライグマもその1つ)
・外来種の問題点:1)生態系の破壊、 2)菌の媒介、 3)食害(農業被害)
■北海道のアライグマの状況
・目撃情報:平成4年 13市町村 → 平成22年12月現在 136市町村
・捕獲に熱心な自治体:札幌市、石狩市、江別市、月形町など
・現在は市街地と農地を中心に捕獲 → 森の中に残ってしまう
                   根絶に向けた対策必要:例)木にかける巣箱型ワナ
・分布を把握するための手法:カメラトラッピング調査、ペットボトルトラップなど
■外来種対策=「入れない」「捨てない」「広げない」、様々な連係プレー   

2.アライグマとはどんな動物か?      阿部 豪氏(兵庫県立大アライグマ研究グループ)

■アライグマの現状
・神戸市(兵庫県)は超高密度地域。母集団が大きくなっていて酷い状況
・北海道は低密度地域。この段階での対応が重要だが、労力と成果のバランスの悪さ(ワナを掛けて
 も捕獲できないなど)から住民意識の低下がおき、対策を進める上で新たなの課題が出てくる。
■アライグマの生態
・アニメ「あらいぐまラスカル」はアライグマの生態をよく現している
・発情期前(子ども)のアライグマはとてもなついてカワイイ(ラスカルの様)
  → 捕獲オリにかかった子どものアライグマを飼いだしても、発情期を迎えると凶暴化。
    力や勢いもあり、1年以内にオリを破って逃亡するか、2次放出 → 生息域の拡大
・アライグマは飼うには不向きな動物
■捨てられた命は、決して幸せにはならない
・飼いきれなくなったペット → 野山に放つ → 大半は死亡(ほとんどが交通事故)
 ・・・生き残ったモノ → 生きるために手に入りやすい食料や住居を求める
                 → 農業被害、住居侵入 → 駆除 → 死
・道内で1年間に駆除されたアライグマ数: 4,115頭(平成21年)

■質疑応答
Q アライグマにしかできない行動を応用した、具体的な対策はできないか?
A アライグマは3次元的に行動するので、木の上にオリを仕掛けるなども考えられる。
  多様な方法の研究は必要と考えるので、国などにも要望している。

Q アライグマのみに効くような毒餌の開発や、アライグマトラップでの毒餌の使用はどうか?
A こぼれた毒餌を他の生き物が食べる可能性や、毒餌で死んだアライグマを他の動物が食す問題
 (生物濃縮)など検討課題が大きい。また自然界での毒物の使用には社会的な合意形成が必要。
  まずは地域全体で対策を取ることが先決ではないか。毒餌を使う様な段階ではないと思う。

3.畜産地帯で捕獲されたアライグマのサルモネラ保菌調査  藤井 啓氏(道総研 畜産試験場)

・サルモネラは人獣共通感染症の病原体の1つ
・様々な対策をしているにもかかわらず、道内の牛のサルモネラ症発生は続いている
・アライグマ、カラスは保菌が確認された。
・ネズミは全く保菌していない。
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 アライグマ・カラス・牛の間には、直接的または間接的に何らかの関係がある → 対策必要

4.中学理科としての外来生物へのアプローチ 北海道中学校理科教育研究会

新指導要領で初めて「外来種の扱い」に言及している(平成20年からの移行期間から対応)
 ただし、学習時期は中3の1〜2月。通り一遍の知識までしかできない。
■特定外来種アライグマの理科授業での教材化
           ・・・三浦雅美氏(札幌市中央中学校)

・中2の「動物の身体の仕組みと生活」
 〜アライグマの身体の特徴と生態〜の単元で実施
 アライグマ研究グループ代表の阿部豪氏との共同事業で実現
・アライグマとタヌキを比較し、同じ作りでありながら生態的
 特徴は全く違うことを学習。標本(右の写真)も活用。身近
 な自然、生態系、多様性、人為的行いとその影響等を考える
・与えられた知識だけでなく、自らの考えを持つことが大事。
 道徳的示唆もあった。
■その他・・・佐々木彰彦氏(札幌市福井野中学校)
・生徒には、全ての知識がバラバラに入っている。知識と現物
 が繋がっていないのが現実。
・「何かが違う」ということに気付きにくい。
 現物を見せることで、その後の生徒の反応が全く違ってくる。

5.月形町の取り組みについて(書面による報告)   今井 学氏(月形町※)

■アライグマ捕獲の実践を通じて得た知識や捕獲方法についての情報提供
・今井氏本人の経験にもとづいてまとめた資料の配付(PDF
■月形町の状況
・月形町では平成14年に最初の目撃。平成17年から目撃数が増え、平成19年から本格的な取り組み
 [捕獲数の推移]H19年度:35頭、H20:129頭、H21:174頭、H22:30頭(予測)
・効率的な捕獲により月形町内(の居住地、農地付近)では密度が減少している。
■アライグマの被害対策を進める上で重要なこと
・被害者の意識の改革が重要。行政お任せでなく、被害者自らが対策を練り対応していくこと
・情報の共有化など、ネットワークが重要
・捕獲方法の確立、行政の迅速な対応(予算、体制)、町民の積極的な行動 → 成果
■意見交換から
・被害対策の成果が出たあとの対応が重要であり、難しい。
  捕獲数が減少しても捕獲圧をかけ続けること。
・市街地、農地での生息密度は減少しても、奥地や山間部での状況は分からない。
・教育との連携。道徳心への訴えかけなど、様々なアプローチでの対応が必要か。

※今井さんは月形町有害鳥獣の担当職員であり、猟友会の一員としてもアライグマの駆除に関わってきました。個人的にアライグマの生態や駆除方法について研究を重ね、その成果を個人のHPで公開しています。また職務として、捕獲技術に関する講習会(第1回第2回)を開催しています。
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アライグマ=外来生物というくくりで、同じ農作物被害を出している「シカ」とは所管が違っていることを知りました(言われてみればもっともなことですが・・・)。現場での課題を解決しようとした時、それを仲介する立場(末端行政職員か、研究者か、議員か・・・?)の人はこれら制度に精通した上で「通訳」「仲人」「プロデューサー」にならなければならないのですね。関係者の熱い思いがありながら、それらがスムースに進まない現実を垣間見た想いです。

私はこれまで「農業被害」の観点から「アライグマ」に関心を寄せてきましたが、ここに集まった人達は様々な視点で「アライグマ」を捉えていたことがとても興味深く、考えさせられたと同時に新たな展開のヒントも得ることができました。ネットワーク作りとは、縦方向も横方向も必要なのだと改めて感じました。

月形町における次の展開は、やはり「教育との連携」でしょう。学校教育ばかりでなく、地域生活に密着した中で、道徳的観点から進めるべきと感じました。そのためには、まず行政が縦割りの意識を変えなければなりません。そこに議員としての私の役割もありますね。

2010年12月10日

第3回北海道アライグマ慰霊祭&小講演会(1)

議会関係の話題が続いたので、今日はちょっと違った視点の報告を。
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先の日曜(12月5日)の午前、北海道大学大学院獣医学研究科で行われた『第3回北海道アライグマ慰霊祭&小講演会』に参加してきました。主催は北海道アライグマ慰霊祭実行委員会(アライグマ研究グループと北海道環境生活部環境局自然環境課特定生物グループの有志)です。

会場には道内を中心に各地から、様々な形で「アライグマ」に関わっている約50人が集まりました。
私が名刺交換できたのは、研究者、行政関係者、狩猟者、ワナのメーカー、中学校教員の方々でしたが、他の関係者もいらしたかもしれません。いずれにせよ、多様な視点で「アライグマ」を見て、考え、新たな視点に気付かされた「慰霊祭」でした。

この慰霊祭には3つの目的があります。
1)人が関与したことで害獣の扱いとなって処分された、アライグマの冥福を祈る
2)アライグマが野生化したことで影響を受けた生物(在来生物)の冥福を祈る
3)人の行為が生態系に作用している現実を再認識する

詳しく説明すると・・・

 アライグマは北海道にはペットとして持ち込まれたものの、その生態(小さい時には人なつっこくかわいいが、生殖期を向かえると凶暴化する)の為に、飼いきれなくなって野山に放されたり、あるいはオリを破って逃亡して(多くは死んでしまったものの、生き残ったものは)野生化し、現在生息範囲を広げている。野生化したアライグマは生きるために必死で、手近な餌である農作物を荒らしたり、住居として納屋に侵入したりしたため、「害獣」扱いされ、駆除の対象になった。・・・(1)

 一方、もともと北海道に住んでいた生き物(在来生物)にとっても影響があった。凶暴なアライグマに住処や餌を奪われたり、アライグマを捕獲するために仕掛けられたワナにかかる(混獲)などして、影響を受け、死んでもいる。・・・(2)

 これらの多くの命に影響を与えているのは、人間の行為である。生態系の一員である私たち人間の何気ない行為が、生態系の中で多くの生き物に影響を与えている事実を認識する必要がある。私たち自身が行ってはならない行為は何かを考えよう。・・・(3)


 「アライグマ慰霊祭」そのものは獣医学研究科の敷地の奥に建立された「畜魂碑」の前で、この1年に処分されたアライグマと、アライグマを介在として影響を受けた多くの命に対して、参加者全員が黙とうを捧げて終了しました。
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この慰霊祭に参加して、私は今まで[アライグマ=害獣=最適な駆除方法の確立]という認識しかなかったことに気付きました。

自分が農業者として花を栽培している時、あるいは研究員として除草剤の新規開発をしていた時は、植物を中心とした生態系を意識して日々の生活をおくっていました。また趣味の登山の時にも「自然の生態系」を意識して一つ一つの行為に慎重に行動してきました。

しかし、ひとたび「行政(議員)」という立場になると[アライグマ=害獣=最適な駆除方法の確立]という様な一方的な視点でしか見られなかったのだと思うと、自分に残念でなりません。行政こそ多様な視点が求められているというのに・・・。

しかし今回気付いたことで、「アライグマ」に限らず様々な場面で(例えば、住民検診率の受診率向上:数字だけに着目するのではなく、受診者の健康管理や精神的問題、町全体の医療・救急体制の問題、そして町の財政問題等)、想像力を働かせながら多様な視点で課題を幅広く捉えた上で、改善策を提示することができるようになれるでしょう。

大きな「気づき」をありがとうございました。

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