2011年01月31日

『北海道の地域・自治の再生をみんなで考える』シンポジウム

1月29日(土)午後、北海道地域・自治体問題研究所主催の『北海道の地域・自治の再生をみんなで考える』シンポジウムが札幌で開催され、参加してきました。

会場には全道から約120人が集ったとのことですが、私が今まで参加した地方自治関係のシンポジウムや勉強会で顔を合わせる人は皆無で、講師の方々も初めてのお目にかかる方ばかり。全体に年齢層も高く、今までにない会場の雰囲気に、場違いなところに来てしまったような戸惑いを覚えました。

シンポジウムは3部構成で3時間半にわたって行われました。幅広い分野を題材に数多くの講演があったため、質疑応答に割く時間はほとんどなく残念でした。演題に興味をそそられ参加したのですが、その内容は私が今まで考えたこともないような視点のものもあり、驚きました。新たな視点を得たとも言えますが、それ以上に疑問点や矛盾点も湧いてきて、釈然としないまま帰路についたところです。

以下、シンポジウムのプログラムと、私の疑問点など。
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『北海道の地域・自治の再生をみんなで考える』シンポジウム

【第1部】地方自治と財政の現状と課題
 ■「地方分権」から「地域主権」でどう変わったか?     河合博司氏(酪農学園大学教授)
 ■地方財政の現状と改革動向、今後の懸案事項       西村宣彦氏(北海学園大学準教授)

【第2部】社会保障改革・教育改革と社会を守る運動
 ■国民健康保険広域化とその問題点       吉岡恒雄氏(道社会保障推進協議会事務局長)
 ■子育て支援・教育と元気な地域づくり          河野和枝氏(北星学園大学準教授)

【第3部】北海道経済の振興と豊かな地域づくり
 ■はじめに〜3報告をつなぐもの〜             神沼公三郎氏(北海道大学教授)
 ■帯広市「中小企業振興基本条例」から学ぶ         三浦康裕氏(道商工団体連合会)
 ■北海道農業の現状とTPP問題               中原准一氏(酪農学園大学教授)
 ■第1次産業のためのバイオマス利用             山形 定氏(北海道大学準教授)

【紙上報告】
 ■住民の安心・安全を支える行政サービスの拡充を求める 北海道国家公務員関連労働組合協議会
 ■夕張通信(2010年12月19日補強メール通信)           熊谷泰昌氏(夕張高校)
 ■国保の再生と介護の改善を〜道政は今          佐々木忠氏(北海道経済編集委員)
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●「一括交付金化+義務付け・枠付けの廃止+地方総財源の圧縮は、ナショナルミニマム(国が守るべき最低基準)保障が根底から破壊される懸念がある。地域主権でひどい状態になる。」との意見がありました。

★ この主張の場合、どこまでをナショナルミニマムとするかが問題だと思います。
私は、今の国の規準は必ずしも最低限の保障ではなく、(地域環境や国の経済状況を考えると)それ以上のものが賦課されているように思います。借金体質を助長してまで維持される保障が必要なのか、疑問です。
地域には地域の力や知恵があり、お金をかけなくても規格を守らなくても、最低限の保障を達成できる力があるのではないでしょうか。また、「安心・安全」の保障の仕方も、地域によって表現の形は違ってくると思います(住民の生命を守ろうとするとき、ワクチン接種よりも、救急搬送を可能にする除雪態勢が優先される場合もある。)それらを形にするのが地域主権だと思っています。

●「国民健康保険において、市町村が運営している現行制度では各自治体が一般会計から繰り入れを行い、住民負担を抑えている。国庫負担を増やさないまま広域化すれば、自治体からの繰り入れもなくなり住民の負担は増える。また、取り立ても厳しくなる。広域化は進めるべきでない。」という意見に対して

★ 現状でも国民健康保険の住民負担(支払い)は非常に重いと実感しています。自治体にとっても負担が重いのは同じですし、加えて小手先の改革による煩雑で膨大な事務作業が重荷になっています。どちらもがパンクしないために、広域化・一元化という方向が示されたのではないでしょうか。保険(保障)である以上、母体が大きい方がリスクは少ないですし、電算化の進んだ現在だからこそ広域で効率的に処理できます。
国庫負担を増やす必要があるのは理解できますが、それと広域化との議論は切り離す必要があるのではないでしょうか。

● 「国の出先機関の縮小や国家公務員の賃金カットは、それを規準とする地方公務員等の賃金カットに繋がり、地域経済を悪化させ、結果として多くの労働者の賃金下げに影響する。」という主張に対して。

★ あまりにも直線的な言い方、考え方に疑問です。公務員の賃金(給与)は住民の税金で賄われています。それが物事のスタートであって、公務員の賃金から地域の経済がスタートするわけではないでしょう。目先のことだけ追えば確かにそのようなことが起きているかもしれませんが。

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