2013年03月06日

補正予算から見る、月形町の今【平成25年第1回定例会】

3月5日に開会した平成25年第1回定例会。

第1日目は、平成24年度各会計の補正予算と各種条例の審議、平成25年度町政執行方針および教育行政執行方針が行われました。

実はこの日の議事日程(審議等を行う項目と順番を決めたもの)にはたくさんの議案が載せられ、その内容も時間を要しそうなものが含まれていました。議案書も541ページ!
休憩もほとんど取らずに進行したのですが、会議規則で決められた終了時刻の午後5時を過ぎそうな気配。結局、午後5時前に議長が「会議の延長」を宣告した上で審議は続けられ、全てを終了したのは午後5時10分でした。この「会議の延長」、私は初体験でした。

さて、大事なのは審議の中身。

最も時間がかかったのは平成24年度の各会計の補正予算。年度終わりにあたり、使わなかった予算を戻す、あるいは不足した分を補充するための審議です。説明と質問を通し、お金の流れをつかむとともに、そこから、月形町が行った事業の反響や町民の生活実態を導き出します。

私が気になった点をいくつか上げます。
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【地域の元気臨時交付金】

◆自民党政権になって設けられた(景気対策の)臨時交付金。
◆事業メニュー(主に建築や土木)から選択し、他の補助金を除いた額の8割
 に対して、国からの補助金を受けられる。
◆月形町では「総合体育館の耐震化改修と整備」「市北第2線歩道造成」を行う。

[私の視点]
もともとこれらの工事は平成25年度に計画されていたものを、臨時交付金の対象になったことで平成24年度のこの時期に押し込んだ格好。総合体育館の工事は耐震化と合わせて機能強化も図ることから、本来なら事業意図や将来構想など丁寧な説明が必要だが、補正予算に組み込まれたことで(残念ながら)中途半端だった。

自民党政権は建設や土木工事で経済活性化を図ろうとしているが、町内に必要なものは既に建っているし、耐震化もおおむね終わっている。今必要なものは、あるものを大事に長く使うための修繕や補修、もしくは、あるものを有効に活用するためのソフト事業。そういうものに使える交付金でなければあえて使わない=経済対策にはならない、のではないか。
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【個人所得税の伸び】

◆年度当初の予算より5.5%(634万円)増えた。
◆要因は平成23年度の農業所得の伸びによる。

[私の視点]
平成23年度の農業生産物は収量や質、価格もあまり良くなかった。それに対して戸別所得補償制度により所得が補填され、結果として農業所得が向上し、税収が伸びたと推察される。

農業者としては、良質のものがたくさん収獲できて所得が上がることが分かりやすい。が、現実は違う。様々なことを加味しながら生産活動をしなければならない。農業を基幹産業とする自治体も同様。

行政として税収が増えることは大きな命題。基幹産業が農業であるなら、手っ取り早い方法は確実な補助金政策に乗ること。しかし、月形町の場合、政府の支援が手厚い土地利用型農業だけでは成り立たない土地柄(中山間地域)。将来も地域が活力を持ち続けるには、地域特性を活かした独自の農業をいかに育てるかが鍵だと思う。でもこちらは目先の収入(早急な税収増)には繫がらない ・・・ どこまで先見性を持って農政を進められるか、理事者は試されている。
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【町立病院への操出金 3,500万円追加】

◆外来収入減(特に内科。年間を通して減ってきている。)
◆町立病院会計の医業収益(医療機関としての収益)は約7%減。
 不足分を一般会計から繰り出す。平成24年度の赤字補填は、合計6,000万円。

[私の視点]
町立病院の会計規模は約8億円。そのうち5,000万円以上の赤字補填を始めてから、3年以上が経過した。また、年間を通して平均的に外来患者が減っているということは、大きな問題。大きく手を打たなければ(改革を断行しなければ)、将来的にじり貧になるということ。 → 一般質問で取り上げる予定。
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【国民健康保険で療養給付費の減】

◆国民健康保険で、療養給付費(病院などを利用した時、国民健康保険が支払う額
 =窓口で患者が支払う以外の医療費)が当初予算より4.7%(1,420万円)減った。
◆詳細は分からないが、年間を通して平均的に減っている。重篤な患者も少なかった。

[私の視点]
国民健康保険で療養給付費が減ったということは、医療費がかからなかったと言うこと。まずは、国民健康保険を運営している立場として喜ばしい。また《医療費がかからなかった=健康で医療を受けずに済んだ》のであれば、なおさら喜ばしい。様々な予防策が功を奏したのか、町民の自助努力か、いずれにしても健康であることは良いこと。

しかし、もし病気であるのに医療機関にかからず(かかれず)、結果として保険の支払いが少なくなっているのだとしたら、これは何と悲しいことか。
単年度の実績では実態が把握しにくいので、注意深く見守りたい。
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【介護保険でもサービス給付費が減】

◆介護保険でもサービス給付費(介護サービスを利用した時に、介護保険が支払う額)
 が当初予算より約7%減。
◆数年来、介護サービスの利用が右肩上がりに増えていた。今後もその勢いで利用が
 増えると考え予算を立てたが、平成24年度の利用の伸びはそれ程ではなかった。
◆予想以下だったとはいえ、利用実数は昨年より増えている。
◆利用が少なかったことから、収入も減った。収支の不足分を補うため
 《介護給付費準備基金》の繰り入れを当初の倍(総額 約2,000万円)にした。

[私の視点]
介護保険の運営は難しい。介護保険料率は3年に1度の改定なので、サービス利用の将来予想をして計画を立て、金額(介護保険料)を決めたり対策を講じなければならない。その際、補助金や制度の関係から、道や国の方針にも影響される。

介護保険は、将来的にますます需要が高まる事業。複雑な制度のまま各自治体が運営するより、広域で賄うようにならないか。先進自治体では広域連携している部分もあるが、そうできない自治体の方がはるかに多い。国による根本的な制度改革が必要。
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【一般会計の財政調整基金の取り崩しなし】

◆当初予算で 8,000万円の取り崩しを見込んでいたが、1円も取り崩さずに済んだ。

[私の視点]
豪雪災害などによる予想外の支出がありながらも、財政基金を取り崩しせずに済んだことは非常に良かった。様々な補助金等を活用できた成果で、行政努力によると思う。

一方、将来に向けた投資的な活動は充分だったかの検証も必要。何もしなければ出ていくお金は少ない。災害復旧のような過去の清算的な活動だけでなく、将来に向けた産業育成・人材育成に対する投資が町の生き残りや地域の活性化(生き生きした暮らし)には必要だから。
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この他に、新しい条例をいくつか制定しました。

今までの地方自治体の仕事の多くは、国が決めた法律に沿って進められてきましたが、地方分権により、各自治体が独自に基準を作って進めなければならなくなりました。言葉を換えると、「地域にあった独自の基準を作って、それぞれ好きに進めて良い。」というものです。

先進地ではこれを活用し、予算を効率的に使ったり、地域にあった住民サービスを提供しています。が・・・独自基準を作るのはかなり難しい。現状では多くの自治体が国の基準をなぞった条例を作り、対応しています。今回の月形町も同様です。


それから、ここ1年ほど議会と理事者の間で懸案になっていた「町立病院医療事故関連」も審議がありました。今回は町理事者(町長、副町長)の処分で、この問題の最終段階。
この件は別の項目で詳しく報告します。

2013年03月05日

平成25年第1回定例会の日程

今日、平成25年第1回定例会が開会します。日程は以下の通りです。

審議の進捗状況(特に一般質問の数)によって、その後の日程(予算特別委員会、以降)が早まることもあります。詳しくは議会事務局にお問い合わせください。


3月5日(火)  本会議    :各種報告、平成24年度補正予算、条例審議等、
                町政執行方針、教育行政執行方針
3月7日(木)  一般質問〆切
3月8日(金)  議会運営委員会:一般質問数と順番の確定
        全員協議会
3月13日(水) 一般質問
3月14日(木) 一般質問
3月15日(金) 平成25年度予算特別委員会
3月18日(月) 平成25年度予算特別委員会
3月19日(火) 平成25年度予算特別委員会
3月21日(木) 本会議     :予算採決、意見案審議、他


今回の一般質問は、町政執行方針や教育行政執行方針に対する質疑も含まれるので、多くの議員が登壇すると思われます。様々な角度からこれからの行政動向が議論される一般質問ですので、どうぞ傍聴にお越しください。お待ちしています。

2013年03月04日

教育行政の現場【小学校/参観日、教育委員会/傍聴】

年度末が近づき、様々な会議や懇談会が行われています。

3月1日(金)午後、月形小学校(児童115名)の参観日を覗き、その後、役場庁舎内で運良く「教育委員会」が開催されるのを知って傍聴してきました。
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月形小学校は今年度、札比内小学校と統合して町内唯一の小学校となりました。
全町内の小学生が集まっているにもかかわらず、各学年15,6人程度(第5学年だけが30人以上。写真は5年生の授業風景)の現実。どの教室もガランと広い印象で「少子化」の現実を受け止めざるを得ません。

それにしても少子化のスピードの速いこと!

約10年前、町内には小学校が5つあり、町内同学年の人数は40名近く。月形小学校にも各学年30人はいました。それが今は・・・

※ 小学校に通う年齢の子ども達は1学年15,6名ですが、その下の世代(幼児)は若干増えています。様々な政策(少子化対策・月形刑務所の増設)が功を奏したのか(?)は分かりませんが、増えているという事実はキチンと押さえた上で議論せねば。イメージで語るより、データで現状を認識することが大事。


これとは別の視点で、認識すべきこともあります。

少子化になって、子ども達一人一人に目が行き届いているということ。
1授業時間内にほぼ全員が「発表」できたり、クラス全体として進む授業の中で個別の疑問に対応できたり。子ども達の小さい声を拾って授業が進行していく様に、ホッと一安心できました。

また、2つある特別支援学級の子ども達も(教科によって)同学年の子ども達と普通学級で学んでいました。支援する先生が寄り添う場面もありますが、ごく自然に同級生に溶け込んでいる様子は、特別支援制度ができた約15年前とはちょっと変わってきていると感じました。

また、どの学年も保護者の参観が多かったのも印象的でした。一つの家庭における子どもの人数が減ったことで、子どもへの関心が高まっているのでしょう。必然的に学校教育にかける期待と要求も高まっていると感じます。それに応えられるか・・・ 
・・・ 提供側(教育行政側や理事者)あるいはそれを審議する議会側に、(保護者の期待と要求の高さの)認識があるかどうかが問われそうです。
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午後4時からは「教育委員会(会議)」の傍聴。

「教育委員会(会議)」は通常、年3回開催されているとのこと。傍聴は可能な会議なのですが、いつ開催されるのかが明示されていないこともあり、今まで縁のなかった会議でした。今回たまたま会議室の掲示を見かけ、初の傍聴となりました。

今回の議題は、平成25年度の「教育行政執行方針」と「教育予算」の審議。

月形町教育委員会の委員は現在3名。うち1人は教育委員長で会議の議長役、もう1人は教育長で執行事務を一任されている立場。フリーの委員は1人だけ。審議とは言うものの、この会議そのものが形式的にならざるを得ない構造なのが傍聴して改めて分かりました。


ならばどこで教育行政の方向が決められるのか? 
どうすれば保護者や一般住民の感覚が、教育行政に取り入れられるのか?
地域に合致した、独自色を持った教育はできないのだろうか?

現状では委員の数を5人にしたところで、審議が進んだり、外部の意見が取り入れられるとも考えにくいです。それは、教育行政の直面する課題(国を頂点とする教育行政の縦割りシステム、教育ムラと呼ばれる閉鎖的な組織構造、人を教育するという重大で長期間を要するテーマ・・・)が大きいから。ゆえに組織構造全体を見直さなけれ変化は望めないのではと強く感じました。


大津市いじめ自殺事件や体育会系部活の体罰問題をきっかけに、教育委員会の役割や体質・体制が問われています。
子ども達が将来に向かって夢を描き、成長できるようにするにはどうすればいいのか?
保護者は、地域は、どう関わればいいのか?

独自色を出して戦略的に教育行政を進めている自治体もあります。
今、現在、声は上がっていなくても、身近な教育行政への視線は熱くなっていると、私には感じられるのですが・・・

2013年02月28日

「議会の会議は、これを公開する」は何を意味するのか?

いつも「ゆみこの日記」を読んでいただき、ありがとうございます。

写真は「プラタナス」の実です。月形小学校の校庭、国道沿いで見かけました。
プラタナスは「鈴掛(すずかけ)の木」の和名もあり、鈴のような形の実がとってもかわいいです。
大木なので、立ち止まって見上げたら雪の綿帽子をかぶっていて、ほっこりした気持ちになりました。体も心もほぐれて、前向きになりますよ。


さて、今日は標題からして「カタソ〜」と思われるでしょう。それに、どちらかと言えば、固くて長い文章になってしまう私。
あ〜、なので頑張って軟らかく書きますので、どうぞお付き合いください。
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みなさんは「議会の会議は、これを公開する」という原則をご存じですか?

このことは地方自治法115条に明記されていて、議会運営の基本。
なぜ公開が必要かと言えば「住民の意思がいかに議会に反映しているかを広く住民に知らせるとともに、議会を監視させて、常に議会運営が公正に行われるようにする」ため。(議員必携より)

つまり、私たち議員や議会、あるいは議会の審議・議論の対象である行政(役場の仕事、理事者行為)がキチンとやっているかどうかを、町民のみなさんにチェック・評価してもらうために設けられた原則なのです。

「そんなのわかってる〜。どこの議会だって、本会議を公開しているじゃないか。」

確かにそう。どこの議会だって本会議は傍聴できるし、報道機関も入れる。議事録も文書で公開するは最低限の行為。インターネットでの公開や、本会議そのものを動画でオンデマンド放送しているところまであります。

でも、議会は本会議だけで成り立っているのではないんです。最終決定(議決)は本会議ですが、役場の仕事の中身を調べるのは「委員会」ですし、より細かな部分の審議や情報交換がなされるのは「全員協議会」や「議員協議会」。最近は「議会報告会」なども催されています。

本会議だけが公開されれば、それでOK?

この条項の主旨は、「住民の意思がいかに議会に反映しているかを広く住民に知らせるとともに、議会を監視させて、常に議会運営が公正に行われるようにする」こと。
議会に関する仕事の全てが公開される方向に進むことを促していると、私は解釈しています。


しかしながら現実は・・・「非公開」を求めたがる。
「公開になると話しにくい話題もある。秘密会の開催を。」
「議論を深めるために、(部外者は)席を外して欲しい。」
「(公開である会議の)開会前に、話し合いをしたい。」
そんな言葉で(手順を踏んで)、見えないところで話が進められることもある。

でもね、評価される側(議員や議会、理事者)の都合で「非公開」にするのは・・・
問題アリ
でしょう。


10年前と比べても、地方議会の権限と重要性は増しています(正確には、権限と重要性が増すように法律が改正されています)。それに合わせ「公開」もより一層進めなければ、公平性とのバランスを欠きますよね。
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ちなみに月形町議会の場合、現在は全員協議会まで公開しています。

●本会議  :傍聴OK 報道OK 議事録あり(ホームページで公開)
●予算、決算特別委員会:傍聴OK 報道OK 議事録あり(ホームページで公開)
●常任委員会:傍聴OK 報道OK 会議録の要点筆記あり(事務局問い合わせ)
●全員協議会:傍聴OK 報道OK 会議録の要点筆記あり(事務局問い合わせ)
●議員協議会:非公開

以前は会議の種類により「許可制の傍聴」だったものも「原則公開」になり、議事録が作成されているものはホームページ公開に。年々公開の幅は広がっています。
その中で特に「全員協議会」の設置(平成20年11月)は功績大。開催回数が最も多く、日常的な情報交換や審議を行う会議が、非公開の「議員協議会」から公開の「全員協議会」に移ったことで、議会情報の質も量も格段に増えました。

これらは地方自治法の改正が大きな引き金ですが、議会と事務局の努力で改善された部分も大きいです。


このように(月形町議会に限らず)公開の形はどんどん整ってきていますが、これから先も「どう公開するか」は議会のテーマ。経費と時間がかかる議事録の作成は難しいと思いますが、急速に普及しているICT(情報通信技術)を使えば、格安に、容易に、迅速に、情報配信することができます。また「議会報告会」を実施すれば、議員の生の声で議会の様子を伝えることもできるでしょう。

色々取り組むべき課題はありますが、最も重要なのは・・・それを使う側(議員、理事者)の意識ですね。

2013年02月22日

データは次の政策への一助【まちづくり常任委員会 2013.2.21】

雪が降りしきる中、2月21日(木)午前、まちづくり常任委員会が開かれました。

この日、千歳、江別、札幌、岩見沢方面がヒドイ雪で交通網がストップ。月形町内を走るJR学園都市線(札幌−新十津川)も終日全線不通。月形高校は臨時休校でした。

ですが、月形町内は雪が降りしきるものの対応範囲内で、小中学校も町の機能も普段通り。豪雪地域だけに底力があります。


さて、今回の所管事務調査は産業課分野の「平成24年産農産物の生産状況」「(昨シーズンの)豪雪による生産への影響」。他に、年度末なので「報告書の取りまとめ」も行いました。

昨冬は記録的な豪雪で、降雪は14m(例年の約1.5倍)、最高積雪深は2.6mにも達しました。農業施設(特にパイプハウス)の被害や融雪遅れが発生。一方、夏は高温期間が長く、こちらも例年以上。
様々な気象変化を受け、農産物の生産状況がどうなったのか。また、豪雪被害を受けたパイプハウス復旧に対して行われた補助(復旧費に対して、国30%、町50%の補助金支出)がどのように使われ、どのような成果を上げたのかが、今回の調査のポイントです。

以下に、調査内容の概要を示します。
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1.平成24年産農産物の生産状況

《米》 融雪が例年より2週間程度遅れたが、融雪剤の散布や育苗ハウスの早急な再建
   や修繕で、田植え時には若干遅れた程度。夏の高温で生育・登熟も順調に進み、
   最終的に平年以上(作況指数 107:南空知)の作柄。

《小麦》融雪剤の散布や圃場排水対策等に努めたが、一部発生した雪腐病部分は廃耕。
   それ以外の生育遅れは好転により回復した。登熟後半期の水分不足や遅れ穂の
   影響で、一部に細粒麦や未熟粒が混入したものの、品質は良好。規格外も含めた
   収量は前年並みだったものの、1等麦の比率が高く、良好な作柄。
   (前年比:作付面積 100%、出荷量 99%)

《大豆》秋播き小麦の廃耕による作付け転換や播種作業の遅れにより生育が心配された
   が、その後の好天により生育は回復、おおむね順調に推移。計画以上の取り扱い
   実績になった。(前年比:作付面積 114%、出荷量 215%)

《花き》大雪によるパイプハウス倒壊などの被害は甚大で、復旧は必ずしも順調には進
   まなかった(ハウス棟数が多い上、再建・修繕を自力で行うことによる)。
    このため、作付面積の減少、品目や作型の変更を余儀なくされた。また品目に
   よっては、8月後半からの市場相場の低迷や高温による品質低下が影響し、販売
   取扱高は前年から大きく減少した。
   (前年比:作付面積 92%、販売量 91%、販売額 84%)

《果菜:メロン・カンロ・スイカ》 ハウス、路地とも圃場の融雪促進に努めたが、
   大雪によるパイプハウス被害の影響は大きく、作付面積は前年より約2割減少。
   定植は例年より遅れたものの、好天により生育(着果)は良好に推移し、収量・
   品質とも前年並みになった。
   (前年比:作付面積 78%、販売量 93%、販売額 97%)

《その他:カボチャ・生食トマト・ミニトマト・加工用トマト》 
    生食トマトの作付面積が77%と大きく減ったものの、それ以外は95%程度で
   推移。販売量、販売額はいずれも平年以上。好天による。


2.豪雪による生産への影響

《被害と対策概要》
◆記録的な豪雪により、農業用パイプハウスを中心に被害が発生、
 全損壊・部分損壊を合わせた被害は1,161棟で、全棟数の6割に及んだ。
◆月形町の農業取扱高は、米が5割、施設園芸作物(花き、果菜)が4割。
◆パイプハウスは米の育苗、花きや果菜の栽培に必需。
 対策を打たなければ月形町農業の衰退に繫がるという危機感から支援策を打ち出す。
◆パイプハウスの復旧支援
 ・・・雪害で壊れたハウスを復旧する場合、普及に要した金額(資材・道具)の
   30%を国から(被災農業者向経営体育成先事業=3,400万円)
   50%を町から(5,820万円)補助。
   JA月形町は無利子融資を実施。

《豪雪による農作物生産への影響》
◆農業者は営農のため、融雪促進、排水対策、ハウス復旧など、農業者は早期から
 豪雪対策に取り組み、多くの経費と労力を費やした。
◆作目別の生育状況は上記1.に記載。
◆豪雪の影響を大きく受けたのは、パイプハウスの被害が甚大だった施設園芸作物
 (花き、果菜)。作付面積が減少したほか、品目や作型の変更を余儀なくされた。

以上が「まちづくり常任委員会」での調査内容ですが、このあと個人的に担当課に情報収集する中で分かったことは、

◎ハウスの復旧に際し、作目別に状況が違っている。
・米:被害を受けたハウスの多くがおおむね元通りに復旧。
   多くは補助を活用し、新しいハウスと入れ替えた。
・花き:ハウス被害の棟数も割合も多く、全てを元通りには復旧できていない。
   豪雪被害を契機にハウスの建て方を変更(雪害対策)、集約(経営改善)した
   農家も多い。また、新品を購入するより自前での修繕が多く、復旧単価は低い。
・果菜:花きほど被害棟数はないが、花きと同様の傾向。
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【個人的考察】
上記の◎が示すように、豪雪被害からの立ち直りは作付け作物によって違っていました。

米は戸別所得保障制度などにより作ることで安定した収入が得られることから、何よりもまず育苗ハウスの確保が重要な経営課題になりました。確実な収入を得るためにも、時間をかけずに復旧できる新しいハウスの導入が進んだと言え、今回の豪雪被害で、ある意味、生産体制改善がはかられたとも言えます。

一方、花きは生産に対する補償はなく、今回の被害ではいかに経費を抑えるかが経営のテーマ。そのため、豪雪被害が引き金となって経営縮小や集約化が加速したとも言えます。ある程度の復旧はできたものの、生産体制が維持できるかは微妙な状況です。社会の動きも含め、今後の動向に注目必須です。

個別の状況は様々ですが、今回の補助制度が有効だったのは言うまでもなく、制度のお陰で規模縮小がこの程度で収まったとも考えられます。何も手を打たなければ、もっと悲惨な状況になっていたことでしょう。

話題は少し広がります。
月形町は中山間地域なので、国の補償が手厚い土地利用型農業(米、麦、大豆など)を推し進めるには限界があります。地域経済や人口の維持を考えるならば、労働集約的農業である施設園芸(花き、果菜、野菜)の振興は欠かすことができません。TPPへの参加も不透明な現在、農業の底力をつけるという意味でも、町独自に施設園芸の振興策をとらなければ、月形町の農業がなくなってしまう・・・私はそんな危機感を持っています。

施設園芸、特に花きは、昨今の景気動向などから苦戦が強いられています。未来の展望が開けているとは必ずしも言えません。しかし、月形町が生き残るにはなくてはならないとも考えます。

それに「花の里」として力を入れてきた歴史があります。町中に花の名前の町営住宅が建ち、街頭の飾りも花がモチーフ。町報も保育園の名前も「花の里」。それに花をメインにした「新規就農者の誘致」。好むと好まざるとに関わらず、「花き」は月形町の政策の柱でした。だからこそ、現状をしっかり認識し、次なる政策を打っていかなければならないと思います。

それは必ずしも「支援」ではなく「選択と集中」なのかもしれません。
それでも「花き」は政策の大きなウエイトを占めているのは確か。展開や決断を避けては通れません。そう考えると、この豪雪は一つの転換点であることは確かです。


次の政策を打つにも、まずは現状認識が重要です。そのためにはデータ分析。

行政は過去から現在まで様々なデータを収集しているのに、残念ながら充分な活用ができていません。また、それを議論する議会も、データをきちんと読めていない。それに加えてじっくりと議論することが苦手です。

イメージで話をすることは簡単ですが、イメージは構築されるまでに時間を要しますし、主観も入ります。時代の流れが速い現代では、イメージで政策を論じているととんだ間違いをおかしかねません。データ分析が絶対に必要です。

行政も議会も、もっとデータを活用して、政策立案に活用を!!

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