2019年10月27日

愛知県飛島村の小中一貫教育、飛島学園【月形町議会視察研修】

10月25日(金)午前に、愛知県飛島村で「小中一貫教育」について学んできました。
 
飛島村は人口こそ4,800人と小さな自治体ですが、財政力指数が2.15!(ちなみに月形町は0.16)その違いは歴然とあるのですが、子ども達の教育に対する考え方や取り組みはとても参考になるものでした。
 
飛島村が小中一貫教育を検討し始めたのは平成15年のこと。東海地震の対策強化、町長の政策と相まって、小中学校の在り方が検討されました。(当時は平成大合併の最中。合併をしない決断をしたこととも関係している。また、伊勢湾台風で人口の1/30が死亡した歴史も関係)

小中9年間ほとんど同じ仲間との生活・環境から来る課題を解決するには小中一貫教育を取り入れた学校体制づくりが必要だとなり、
1)平成18年4月〜 既存の学校を用いた施設分離型の小中一貫教育校
2)平成22年4月〜 校舎新設で施設一体型小中一貫教育校・飛島学園
3)令和2年4月〜 更なる発展として義務教育学校・飛島学園になる予定
 
1)→2)の段階で「求める教育を行うにはどのような校舎が必要か」を12回の関係者ワークショップで詰めていき、その内容は逐一通信にして村民に周知していったとのこと。教育行政側が主体になって小中一貫教育を進めるものの、村民との情報共有と相互理解に重点を置いているところは、様々な「先進地」に共通しているところでした。これらは、今、全国各地で展開されているコミュニティスクールとは別の手法ですが、地域との繋がりを保ちつつ子ども達を中心にした教育を展開する実践だと感じました。
 
2)の段階では施設は1つで有るものの、法律の関係で小学校と中学校という区分が存在、校長も2人いる形。それをより一体化することを村長は文科省に働きかけ、6年越しでようやく、3)の段階(1〜9年生という概念の)義務教育学校になるとこのと。
理想に向けて努力を重ねる現場と行政の姿がありました。
 

今回「飛島学園」の現地視察もあり、工夫を凝らし理想を形にした校舎も見せていただきました。木をふんだんに使い、ゆとりのある後者は気持ちが良いでしょう。財政が厳しい月形町で同じものはできませんが、この校舎にこめられた思想は汲み取ることができます。とても参考になりました。

■写真1枚目:飛島村の小中一貫教育について久野村長から説明を受けた。村長の右手は伊藤議長、左手は田宮教育長。

■写真2枚目:移動しながら説明を受けている様子。オープン教室の端が広い廊下になっている。木がふんだんに使われて明るい。

■写真3枚目:中庭は「上履きのまま」遊べるように、デッキやタイルを使って教室と同じ高さに。短い休み時間でも外で遊べる工夫。遊びを大事にしていることに共感した。

■写真4枚目:1階から2階に階段でつながる「メディアセンター(一般的には、図書館+パソコン室)」。階段状のオープンスペースにすることで初等部から高等部まで自然な交流が図れる。学校司書1人配置。
 
当日は台風21号に触発された低気圧の影響で、愛知県は大雨が降り続く最中、飛島村役場や村議会、飛島学園のみなさんにはとても丁寧に対応して頂きました。ありがとうございました。

2019年10月23日

奈良県上牧町のまちづくり基本条例【月形町議会視察研修】

今朝5時前に北海道月形町を出発して、月形町議会一行は空路関西へ。午後1時半から奈良県上牧(かんまき)町で「まちづくり基本条例」について学ばせていただきました。

上牧町は、平成22年に「まちづくりの基本原則は、情報共有と参画協働」と定め、町民と議会と行政が策定委員会を作って議論を始めました。この時の委員は25人、うち一般公募が14人! その構成にも驚きましたが、3年間で73回の会議を行って徹底的に議論を重ねて「まちづくり基本条例」の基礎を作ったということにも驚きです。言葉の定義を明確にすることや意思統一の方法を議論するなど、真剣さと熱量の高さに圧倒されました。

その後、人数を12人(一般公募5人)に絞った制定委員会を立ち上げ、13回の議論とパブリックコメントやシンポジウムなども開催して、平成26年に「まちづくり基本条例」を完成させました。

現在は、まちづくり基本条例が機能しているか、「説明責任と適切な評価」にも力を入れていて、PDCAサイクルを活用して見える化し、町報で公開することで町民との情報共有に努めていました。その質と量はスゴイの一言。また、資料で頂いた「上牧町まちづくり基本条例・逐条解説」も素晴らしい! そのエネルギーと努力にも驚かされました。

その原動力はどこから来ているのか…
実は、上牧町は平成20年頃に財政健全化団体に指定されるほど財政がひっ迫していたそう。その現実と危機感が町民を動かし、そのことをまちづくり基本条例の前文に書き込んで戒めとしています。その潔さと覚悟にも感動しました。

人の想いは社会を変える!
技術的なこともありますが、やり抜くことの大切さを教わりました。

上牧町の議会や行政のみなさんには、とても丁寧に視察対応していただきました。
この場を借りてお礼申し上げます。どうもありがとうございました。
熱が伝わって燃えてきました! 私もこの地で頑張らねば!!

2019年10月02日

月形町の幼児教育保育無償化の取扱い【令和元年第3回定例会・報告(これで最後)】

昨日から10月。消費税率upと幼児教育保育無償化実施などが動き出しています。
今頃で大変恐縮ですが、9月定例会の議案関係の報告です。定例会報告はこれで最後です。(毎日寝落ちしてしまって滞っています。スイマセン。)
 
今回審議された議案は主に「消費税率引き上げ」と「幼児教育保育無償化」に関連した条文改正や補正予算でした。その中で「幼児教育保育無償化」は報道されている内容と実態が微妙に違っています。また、月形町独自の取り組みも付加されていますのでくわしく報告します。
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月形町では「花の里認定こども園」に通っている満3歳以上(1号認定=幼稚園タイプ/2号認定=保育園タイプ)と、3歳未満(3号認定)の住民税非課税世帯の保育料が「完全無料」になります。このための費用として 226万1千円を計上しました。
 
対象者は「完全無料」というのが重要! 
 
国からは「副食費(おかず代)は無償化対象外=保護者負担」という指示があり、これまで保育料に含まれていた副食費を別立てにして徴収することを求められたのです。ですが、月形町では子育て支援施策として町が負担することに。結果、花の里認定こども園に通う満3歳以上と、3歳未満の非課税世帯は完全無料になります。
 
さて、上記は「保護者目線」での幼児教育保育無償化ですが、今度は「月形町(自治体運営)目線」で。
 
月形町が「完全無料」にしたのは、月形町に待機児童がいないこと(=待機児童対策をしなくてよい状況)と、近隣自治体の多くが完全無料にしたこと(=足並みを揃えないと転出されてしまうかもしれない)という事情があります。
 
認定こども園の運営には国からの補助金(=国が決めた公定価格で算出)が地方交付税として配分されるのですが、月形町のような小規模自治体では基本サービスを提供するにも効率が悪くて費用がかかるので、町が不足分を上乗せして運営しています。
幼児教育保育無償化は国の施策なので、無償化にともなう費用は全て国が負担してくれるものと思いきや、副食費(おかず代)は無償化対象外=保護者負担としました。(表向きには)保護者に負担を求めるものですが、実態は「副食費分の交付税を減らす」ということなのです。もともと副食費は保育料に含められ国から補助されていたものなのに「幼児教育保育無償化」の名を借りて自治体の負担を増やす構造になっています。
 
それからもう1つ気になることが・・・
 
月形町では幼児教育保育無償化の対象者は「完全無料」にしましたが、対象外(3歳未満の課税世帯)の保育料は据え置きました。つまり、対象外の保護者は副食費分も負担し続けていることになります。国の施策部分で負担の差があるのは国の責任としても、町が新たに負担する部分(=副食費)に関しては、分け隔てなく一律に減額すべきと考えます。私はこの点を議案審議の際に指摘し「月形町こども子育て会議」で検討するよう要望しました。

2019年09月20日

健全経営です【月新水道企業団議会・令和元年第2回定例会】

今日は午後3時から、月形町役場3階の本会議場で月新水道企業団の定例会がありました。平成30年度の決算認定と、消費税8→10%に関連する条例改正と補正予算が主な議題です。全議案、原案可決で終了しました。

月新水道企業団は月形町内(札比内を除く)と新篠津村全域に上水を提供していますが、人口減少の影響で給水人口は若干減少しています(5759人、-2.7%)。平成30年度は大規模な漏水があったことで有収率は78.60%(-2.65%)になっていますが、修繕費等を圧縮できたために収益率は向上していて、健全経営になっています。

月新水道企業団はこれからも、安全な水を安定して供給できるように努めていきます。

2019年09月18日

一般質問報告 3.選挙公報の発行【令和元年第3回定例会】

通告段階で町村議員仲間の関心が高かった質問です。参考になれば幸いです。
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3.選挙公報の発行について
 
■質問(宮下)
有権者全体に平等に候補者情報を届ける有用な手段として選挙公報がある。市町村の首長・議員選挙において選挙公報を発行する場合は「選挙公報発行条例」が必要であるが、月形町にはない。月形町周辺町村のほとんどが条例を持ち、発行している(条例制定日は以下の通り)。
18歳選挙権対応や投票率低下対策、無投票やなり手不足の解消等の課題解決のためにも、選挙公報の発行が必要ではないか。
○月形町周辺町村の「選挙公報発行条例」制定日
・長沼町  昭和41年
・栗山町  昭和54年
・南幌町  平成10年
・由仁町  平成15年
・新篠津村 平成2年
・当別町  平成10年
・新十津川町 平成31年3月 ← 4月の統一地方選挙で初めて発行
 
■答弁(選挙管理委員会・委員長)
○選挙公報は投票日の2日前までに全戸配布しなければならない。町村選挙は選挙期間が5日間と短く、配布の負担が大きい。事務的スケジュール、配布方法の検討が必要。
○また期日前投票が盛んになっていて、4月の町議選を例にすると、最終投票率74.28%のうち、期日前投票が34.79%だった。公報が配布される前に投票してしまう場合もある。
○候補者が情報を提供する方法として、選挙カー、ポスター、ハガキがあり、インターネット選挙も解禁されていて若年層へも届ける手段があるのではないか。
○経費や労力を含め、検討していきたい。
 
■答弁(町長)
選管の判断に従う。実施するとなれば、しっかり取り組みたい。
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いくつか指摘があったので、発行に向けて補足説明をしたい。(一般質問時に指摘したものもあれば、後日調査したものも含む)
 
■期日前投票の実態
○期日前投票がとても多いことに驚いたが、詳細を見て見ると・・・
・4月16日(火)告示
・4月17日(水)投票数  86人(3.06%:投票者数/有権者数)
・4月18日(木)投票数 228人(8.11%)
・4月19日(金)投票数 313人(11.13%)
・4月20日(土)投票数 351人(12.49%)
 ※ 期日前投票総数  978人(34.79%) 
・4月21日(日)投票日 
 ※ 有権者数2811人/投票総数2088票/投票率74.28%
○期日前投票は投票日に近づくほど多くなっている。選挙公報は遅くても金曜日には届くので、発行するとなれば「届いてから投票」という流れもできそう。
○選挙公報を発行するとなれば、その情報は即座にネットで公開できる。水曜日には公開可能で、期日前投票にも対応可能になると考える。
 
■インターネット選挙
○インターネット選挙は解禁になっているが、4月の町議会議員選挙でネット選挙をした(URLを届け出た)候補者は9人中2人(楠、宮下)のみ。候補者が自らを差別化するには有用だが、有権者に候補者情報を届ける手段にはなっていない(特に月形町の場合)
 
月形町には、刑務所があることから(刑務官家族等)転勤族が多く、福祉施設で働く人の出入りも多い。「候補者を知らない」を前提に取り組んでいく必要があると思う。
 
4月の選挙のとき、私の街頭演説を聴く(見ず知らずの)若い女性がいた。その女性はそのあと近くの掲示板の前でしばらくポスターを眺めていた。彼女にとって候補者情報はポスターしかなかったのだと思う(きっとハガキは1枚も届いていないと思う。街頭演説をする人もほとんどなく、それに出会う確率も低い)。こんなに選挙に関心を持っている人がいるのに・・・ やっぱ、選挙公報必要でしょ!

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