2018年06月08日

これが修正案可決までの経過と中身【月形町議会第2回定例会・傍聴】

今日は定例会2日目、議案審議。そこで思わぬことが起きた。月形町議会で2例目の修正案が可決されたのだ。以下、その経過と修正案の中身を詳しく紹介する。

議案は「国民健康保険月形町立病院使用料及び手数料条例の一部を改正する条例の制定について」。

今年4月から新しい医師1人体制になった町立病院は、10月1日から新たに在宅訪問診療を行うことにした(新しい医師が訪問診療の専門らしい)。そこで「在宅訪問等交通費=訪問診療時にかかる往復の交通費」を患者が負担することとし、その金額を盛り込んだ改正条例が提案された。

■町側の説明によると・・・
1)交通費は他の公立病院の実態を参考にして設計。
2)金額は、社会福祉協議会が運行する福祉タクシーと同じ基準で設定。病院に配置された公用車2台で対応するが、出払っているときは登録された職員の車を使うこともできる。
3)それでも移動手段がないときは営業車(タクシー)を使用する。その場合の交通費は実費とする。(←滅多にない事例だと思うが、ないとは言えないので規定した。)

■ここで議員から質疑!
・病院側の都合でタクシーを使うのに、その費用を患者に請求するのか?
・町の外れに住んでいる人のところにタクシーで行ったら5000円以上かかる。公用車のときと金額が違いすぎている。不公平ではないのか?
・全てを基本の料金にできないのか? 
・営業車の利用が滅多にないなら、差額は病院が負担してもいいのでは?

傍聴席の私は、町民目線で考えて至極当然の質問だと思った。

■これらの質問に明確に答えられない町側の状況を見て、議長が審議を止めて休憩に入った。議長と町長や病院事務長など関係者が別室に向かう。再開時刻になっても話がまとまらないようで、数回休憩が延長され、そのまま昼休憩に。

■午後1時30分。再開と同時に楠議員から修正動議の声がかかり、修正案の審議へ。議案の別表中、在宅訪問等交通費の「営業者を使用した場合はその実費」を削除する一部修正案が提出される(賛同者3名)。審議の結果、一部修正案は全会一致で可決。修正部分以外は原案を可決して終わった。
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質疑の時点で多くの議員がこの改正条例に不満を持っていたので、このままの議案で通すわけにはいかないという雰囲気に。休憩中の雑談では以下のような案が話題に出ていた。
1)今回は否決、町側が9月定例に出す直す(←否決した前例ナシ)
2)一旦議案を取り下げ、町側が修正したものを追加議案として今定例会に提出する(←過去に1例アリ)
3)「運用で対応するから」という口約束をした上で、このままの議案を可決(←うちの議会では常套手段)
4)議会が修正案を提出する(←数年前に1例アリ)

● 審議の状況から言って(4)がベストの対応だけれど、修正案を可決した当時の関係者は誰一人として今の議会にはいない。やり方が解らない中で、短時間で修正案を作って提出するのは難しいんじゃないかな〜。やっぱりいつも通りに(3)か、それとも(2)か・・・
そんな雰囲気が漂っていた中で(4)修正案が提出されたことに驚くと共に、それを実現できた月形町議会と議会事務局にあっぱれ!と嬉しくてしょうがなかった。

● というのも、実は過去に可決した修正案を提出したのは私。
当時、孤軍奮闘していた私に賛同する議員はほとんどなく、修正案すら提出できない状況が続いていたが、ある時「商工会への補助金の改正条例」に問題が見つかり修正案が必要に。賛同が得られそうな雰囲気になったのと、3月の当初予算審議時で会期が長かったことも功を奏して、初めての修正案づくりをした。
何もわからないけれど修正しなければとの一心で、議事については当時の議会事務局長(金澤さん)と係長(渡邉さん)が調べ、議案は私が議会事務局研究会に問い合わせて完成させた。それを当時の議長(笹木議員)が理解・協力してくれて・・・多くの力の結集があって修正案が提案され、そして、予算特別委員会、本会議と、月形町議会初の修正案可決となった。

このときのことが月形町議会の記録として残っていて、
今回の修正案提出に大いに役立ったそう ・・・ ヤッターーー!!

★ 先例を作ることの意義を感じられた今日、最高にHappy♪

なぜ議場で具体的な話をしないのか? JR札沼線問題【月形町議会第2回定例会・一般質問傍聴】

月形町議会平成30年第2回定例会は6月7日〜8日までの日程で始まった。初日は一般質問。

今回の一般質問は、我妻議員と楠議員から計3つの質問があった。その中で注目はやっぱりJR札沼線。傍聴席にはテレビカメラ4台に記者等、計12人の報道陣が詰めかけた。もっとも一般傍聴者は私のみ。傍聴ツアーを企画したのだが不発だったのだ。

さて、その注目された楠議員の質問のポイントは2つ。
Q1)5月29日の住民説明会の翌日「バス転換容認」と一部新聞報道がなされたことに対する町長の見解は?
Q2)JRの件で、議会と町側とで充分な議論ができていない。町民はそれ以上に情報が少ない。大多数の町民が納得できるプロセスを示して欲しい。今後のスケジュールは?

これに対し、町長の答弁は
A1)5月30日の報道は誤り。廃止容認と言っていない。他の報道機関に掲載されていないことを確認し、当該新聞社に抗議した。(容認するかどうか)まだ決めていない。
A2)JRと沿線4町が個別に議論する展開にはなっているが、4町は維持存続で一体化している。ただJR北海道を取り巻く全体の流れは予想より早く進んでいて、変化の兆しは感じている。
もう少し時間をかけて、町民の話を聞く機会を設けていきたい。
(→このあと「出前町長室で町民の声を聴く」と、従前と変わらぬ意思表示があった。)

再質問からは「まちづくりへの想い」が中心になる。
■Q■ 
・月形町の決断が北海道全体を左右するような立場に置かれている。報道や周りの状況に惑わされることなく「月形町としてどうなのか」の視点を大事に考えたい。
・JR月形駅は「まち」の中心。月形駅を中心にしたコンパクトで住みやすい「まち」を町民も望んでいる。
・総合戦略の中心にJRがある。JRは単なる交通手段ではない。まちづくりの柱。観光資源、観光振興としても大切で、インバウンドも見込める。
・(駅周辺の再開発は)地方創生で国からの支援も得られるだろう。
・「JRが無くなったら、うちの町は終わり」という町民の声が強い。声に出さない町民の声を感じてほしい。

■A■
・JRや「まちづくり」への想いは楠議員と同じ。
・将来の月形町にとって移動手段の確保は改めて重要だと思う。町内公共交通を協議していく。まちづくりをしっかり考えていきたい。
・JRがあってもなくても、駅前広場の整備はしっかりやりたい。総合戦略の柱として取り組みたい。
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私はこの議論を傍聴席で聞きながら、釈然としない気持ちでいっぱいだった。

というのも、先日の住民説明会で示されたのは、JR札沼線を月形まで存続させることも難しいという揺るぎない事実。それでもなお存続議論をするなら「町はいくらまで負担できるか?」「どうすれば財源確保できるか?」などの具体的な話しをする(話ができる)段階に入ったはず。その議論があって初めて「それなら存続のために頑張ってみよう」あるいは「こんな状況ならバス転換もしかたない」と、町民の納得(合意形成)への道が開かれるのではないか。

それに、議員から「決定までのプロセス」や「今後のスケジュール」が質問されたら、町長にはキチンと答えてほしい。答えない町長を目の前にしたら、議員はキチンと指摘してほしい。どっちも言いっぱなしで何も積み上がっていなかった。

それなのに「想い」を延々と語る。JR問題が浮上した頃からずーーーーーと同じように「想い」を語り合って終わりにしてきた。もうそのことはイイから、次の手立てを考えましょうよ!と、言いたかった。


議会が始まる前、傍聴席に顔見知りの記者がいたので「どうして傍聴に来たんですか?」と聞いてみたら「町長が(バス容認と)発言するかもしれないので」とのこと。私は「いや〜今日この場でそんな発言はないと思いますよ。結論はいつも先延ばしだから」と言ったのだけれど、結局その通りになってしまった。 おしまい

2018年05月30日

ちょっと、ちょっと、ちょっと!!!【JR札沼線バス転換】

今、北海道新聞を開いて驚いた!!!
え”−−−−−−−−−−−−

道新1面に「札沼線廃止バス転換へ 月形町が容認方針」って!

昨日の住民説明会では、全然そんな話になってなかったのに(1つ前の記事参照)、どうしてこうなるの??? と、1面2面と記事を読んでいくと

『住民説明会終了後の取材に・・・』

って、あの議論で、即決断して、そして記者に話したの?
信じられなーーーい。

1度の住民説明会で聞ける意見はほんの少し。
意見があっても、そこに参加できない人もいたでしょう。農業が基幹産業のまちで、田植えや植え付け真っ最中の農繁期なんだから。
議員の話は聞かなくていいの? 定例会はどうするのさ!

それに、あの住民説明会に参加していた人は誰一人、バス転換を容認したなんて聞いてない。町長の口からそんな発言は一切なかった。


町長は住民説明会の場で町民に対しては何も話さなかったのに、マスコミ記者には話すの?

それって、順番がおかしいんじゃない???

おかしいよ、コレ。絶対におかしい!!!

また先送り!?【JR札沼線沿線住民説明会】

JR札沼線の廃線問題が話題に上ってから1年半。これまで1度も町民向けの説明会がなかった月形町で、昨日(5月29日)の午後6時から月形町交流センターで初めての住民説明会が開催されました。

開始10分前の会場が右の写真。マスコミ各社(10社以上)が押し寄せ物々しい雰囲気に。最終的に参加者は約50人(町民+沿線から約5人)になりました。

なぜこんなにマスコミが集まったかと言えば、5月16日にJR北海道の社長が来町して上坂町長と個別会談、その後、上坂町長は記者団に「存続は存続は非常に難しく、苦渋の選択をしなくてはならない」と言い、廃止受け入れを検討して6月に最終判断する方針を示したから。今回初の住民説明会で何か動きがあると思ったのでしょう。

冒頭で町長は次のように話しました。
○(JR存続問題が起きてから1度も説明会を開かなかったのは)町民とJRが直接対峙しないよう、私が前面に出てやってきた。
○今回住民説明会を開催することにしたのは、4月にJRと正式協議を始め、5月16日にJRから回答をもらったから。JR側は、月形町がバス転換を決定した場合、月形町の交通体系づくりとまちづくりの両面に対して責任を持って取り組むという回答をしてくれた。この答えをもらえたので住民説明会を開いた。
○今回の説明会で町民の意見を聞き、6月7・8日の定例会でしっかり議会と話しをする。その結果を見極めて町長として判断する。

これを聴いて私は「そうか、新聞報道通りに6月末には結論が出るんだ」と思ったのですが・・・
担当課やJR側からの説明や資料は、バス転換に誘導する意図が見える内容でした。ハッキリ言わないまでも、この説明会は「バス転換に向けた布石」だと、この段階では感じられました。

その後の質疑応答になると何だか微妙な空気に。月高生の保護者(札幌在住)の他、町民7人から様々な質問があったのですが・・・

実は私も1つ
・・・町長はいつ(バス転換かJR存続かを)判断するのか?・・・  
現在、法定協議会で検討中の「月形町地域交通網形成計画」は今年度末に策定予定である。町はJR問題と町内交通は分けて考えるというが、バス転換かJR存続かで町内交通事情は全く違ってくる。今年7〜9月には町内交通網についての町民アンケートを採る予定だが、それまでに「バス転換」か「JR存続」かハッキリしていないと町民は答えようがない。中途半端なアンケートではまちづくりに活かせない。今後のスケジュールはどうなっているのか?

に対して、上坂町長は「ご意見をふまえて進めて行く」と答えただけ。

他に「町民への説明が足りない。きめ細かくやってほしい」「バス転換は、当初から1つの方向として提示されてきたのに、何も検討してないのか?」など厳しい意見や質問に、上坂町長は「町民や議員のみなさんとしっかり話しをしながら進めて行きたい」というだけ。具体的な話しは全くなし。

あれ??? 
先の新聞報道の「6月に最終判断する方針」というのは何だったのか??? 
という結末でした。

いつまで結論を先送りするのか?  
そのせいでどれ程の人員と時間がJR問題につぎ込まれ、それ以外の重要課題がなおざりになっているか、考えているのだろうか?
影響は月形町内だけじゃない、沿線の4自治体全てに関係しているのよ。

心配と不安と失望が入り交じった住民説明会でした。

2018年05月21日

地域の街並み再生〜エリアリノベーション・北海道【北海道自治体学会 2018年度総会&政策シンポジウム】

20180519b.jpg先週末(5月19日・土)は、北海道大学を会場に北海道自治体学会の2018年度総会&政策シンポジウムがありました。運営側として無事に総会を終えることができ、主催者として政策シンポジウムが好評だったことで、肩の荷が下りました。

以下、政策シンポジウムの様子を簡単にご紹介します。今年は「地域の街並み再生〜エリアリノベーション・北海道の可能性」がテーマです。

■基調講演
講師は西村 浩さん(建築家/(株)ワークヴィジョンズ代表取締役)による『人口減少局面における まちづくりの進め方 ーリノベーションまちづくりの必要性と行政の役割ー』

○人口減少局面 → 今までのモデルが成り立たない時代 = 今までやっていないことにチャレンジしなければならない時代 → やってみるしかない。大きなリスクは背負わない。
○様々な淘汰や取捨選択により結果的にコンパクトシティ化するが、それには時間を要する。今は「スポンジ化」の時代。まだらに分散した状態をいかに楽しむかの まちづくり が求められている。
○地域(エリア)の価値を上げる行動を
○スモールエリア(半径200m、徒歩5分)から
○リノベーションとは、空き地・空き家の魅力的な暫定利用のこと
○欲しいものは自分で作る=自分で作り出す人をつくる
○地域内経済循環を重視

【感想】リノベーション・地域内循環・プロモーションなど、最近の「まちづくり」でよく使われる言葉が多く登場するのですが、西村浩さんが語っていたのはその言葉が表現している一歩先、1つ奥にある概念や目的でした。その概念は様々に応用でき、身近なものにも引き寄せて考えられるので、「自分にもできるかも」「自分もやらなくちゃ」「自分もやりたい」と思わせてくれる力強いメッセージでした。

■パネルディスカッション
パネリスト
◆室谷 元男さん(江差町/歴まち商店街協同組合 前理事長)・・・ 北前船を発想の原点に、地域の歴史をベースにした実践活動を長年展開。
◆寒河江紗希さん(比布町/ママの働き方応援隊ぴっぷ校 事務局長・町職員)・・・ ママをメインにして、子育て世代・高齢者・地域をつなげる居場所づくりを昨年スタートさせ展開中。
◆木村 俊孝さん(東神楽町/副町長)・・・ 内閣府から地方創生関連で2年間派遣中。
◆西村 浩さん (基調講演者)
コーディネーター
◆西村 宣彦さん(北海学園大学経済学部教授・北海道自治体学会代表運営委員)

次の展開へと繫がるアイデアが詰まった室谷さんの活動、基調講演を体現したような寒河江さんの実践、中央官庁出身の視点と発言で議論を展開する木村副町長、そこに基調講演者の西村浩さんやフロアの参加者が自由に絡む展開のパネルディスカッションは、会場との一体感もあって大いに盛り上がりました。

【感想】濃厚な議論の中で、私の心に響いた言葉(概念)がありました。室谷さんの「まちづくりは染み込み運動」、寒河江さんの「子育て中がメリットになる(活動)」、西村浩さんの「昨日より今日が幸せ。これを積み上げていけば前に進んでいる」です。

何事も時間がかかって当然、だから過程を楽しみ、変化を楽しみ、価値あるものを自分の力で生み出したい! 背中を押してもらいました。

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