2011年10月12日

月形町未来を考える委員会・第6回(傍聴)

『月形町未来を考える委員会』は、町民が主体となって月形町の未来(課題と解決策)を考え話し合う、行政が主催する委員会です。昨年12月に発足しました。

委員は各種団体から推薦された町民が主で、一般公募(1名応募)も含まれます。各委員は団体の代表者として、あるいは一人の町民として自由に意見を発することが求められて、任期は2年です。

この任期中、約2ヶ月に1回開催される委員会で「月形町総合振興計画」に添った分野別の話し合いが行われます。町側から現状(施策や予算、課題等)の説明があり、それを基にkj法によるグループ討議を行って課題や解決策などを掘り起こしていきます。ここで出された意見は「答申」としてまとめられ、次年度の予算に組み込まれることになります。

昨日(平成23年10月11日)は第6回目の委員会で、発足から約1年の節目を目前に、ここまでの結果を中間答申としてまとめる話し合いでした。課題に対してその解決策は様々。両極端の意見が出ているものも多かったのですが、それらを赤裸々に掲載し「町民の多様な意見を集め示す」ことを目的とするという委員会の方向性が明確に示されました。
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私は、今まで6回行われた「未来を考える委員会」のうち3回を傍聴しましたが、毎回色々な気づきを得ることができました。

例えば今回。私の考え(今まで一般質問等で出した意見や提案)と同じものが「答申」にも数多く含まれていたということ。私の考えが町民とズレていなかったことに対する安堵感とともに、今まで理事者が取ってきた不誠実な態度がどう変化するのか、答申を受けた後の対応に期待感が芽生えました。


もう一つ。月形町全体の意思決定あるいは広聴場面において「月形町未来を考える委員会」の位置づけが当初の目的から変化したと感じました。

この委員会は、委員会として話し合いを深めて一定の方向性をを示した答申をするのではなく、「町民の多様な意見を集め示す」ということを選択しました。つまり、成果としては一般的な広聴組織と変わりないものになったのです。「答申を次年度予算に反映する」ことがこの委員会の一つの目的ではありましたが、どの意見を採り上げどう反映するかは行政側にゆだねられ、「委員会の考えを予算に反映する」という所までは行き着かなかったと言えます。

委員の人選や会議の回数、テーマの絞り方など、本来の目的を達成するにはもっともっと準備も工夫も必要だったのではないかと思います。

とは言うものの、今回のような広範囲な分野を対象にした「町民の多様な意見を集める」広聴活動は、本来議会仕事。議会が広聴の場を作り、町民の疑問に答えながら議会内での様々な議論の過程や経過を説明していれば、こういった委員会ではもっと深い議論ができたかもしれません。
議会の一員として、議会が充分な機能を発揮していないことをお詫びいたします。すいません。



しかしながら、良い成果もたくさんありました。ある委員から

「この委員会に参加して、月形町の施策や予算など今まで知らなかったことが理解できて、私個人としてはとても勉強になりました。このことを私一人の中に留めておくのではなく、町民の皆さんに伝えていくことが大事だと思いますし、ここで学んだことを基に考え発言することが大事だと思っています。」

とありました。まさしくその通りだと思います。町民一人一人が町政に関心を寄せ、理解を示し、意見を発したなら、本当の【住民自治】になります。そういう下地作りになったことは最大の成果で、嬉しかったです。将来的にこの委員から議員が生まれてくれれば頼もしいですし、期待したいです。

かく言う私も、実は行政主催のこの手の委員会に育てていただきました。15年近く前にあった政策調整課主催【まちづくり検討委員会】、あるいは7年前の【まちづくり推進会議】がそれでした。

2011年10月03日

平成23年第3回(9月)定例会【補正予算・修正動議】

少し間が空いてしまいましたが、9月定例会報告の続き「平成23年度一般会計補正予算の修正動議について」です。
(写真は樺戸博物館。2011年9月20日撮影)

今回の動議(発議者:宮下議員、平田議員)は【商工費3,000万円の減額修正】。予算は以下の内容で計上されていました。
                            

◇商工費◇ 樺戸博物館整備事業(展示改修工事) 3000万円
 ・樺戸博物館の展示内容を変更する
  (北海道開発の礎を囚人が築いたことを分かり易く説明)
 ・今回の改修工事は全て一般財源から
 ・調査実施設計は国の臨時交付金(平成22年度繰越明許費)
  を財源に、この春(別予算で)実施済

                            

私がこの補正予算に疑問を持ったのは以下の理由からです。

■平成23年度執行方針に、この事業に関することは一切触れられていない
  ○国の交付金による調査実施計画予算審議時に若干の説明はあったものの、
   ・展示品を入れ替えることがその後の「まちづくり」にどう活かされていくのか?
   ・総合的な未来像、工程表、数値目標等はどうなっているのか? 
   全く示されていない。

■「樺戸博物館整備事業・展示改修工事」に緊急性があるのか
  ○開町130年の周年行事は昨年終了。
   今後全町を挙げて関係機関や観光客を呼び込める行事は予定されていない。
    → 喫緊の予定がない中「一般財源のみによる補正予算」で計上する必要があるのか?
  ○一般会計はここ数年来の交付税増額により比較的潤沢ではあるが、
    国保や介護、町立病院等の特別会計は悪化している。優先順位に問題はないか?

■調査実施計画を議会は既に承認しているが、それがそのまま工事予算を認めることにはならない

■社会的状況の変化
  ○東日本大震災は大きな転換点
  ○調査実施計画の説明と審議は震災前

■提案
  ◎もしこの工事が月形町にとって本当に必要な事業であるなら、来年度の当初予算に計上し
   執行方針で将来計画も含め示すべき。
  ◎3,000万円にも及ぶ多額の予算を必要とするなら、事業を分轄し数年に分けて実施するなど
   「身の丈にあった事業展開」をすべき。一般財源のみによる支出だからこそ可能。
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この補正予算(修正案および原案)は審議後、起立採決され、
結果は 【修正案賛成】宮下、平田、宮元
    【原案賛成】 金澤、金子、鳥潟、堀、楠、大釜
で原案通り可決されました。
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月形町議会初の修正動議はこのような結果に終わりましたが、大変意義深いものになったと思っています。

月形町議会では『議案の否決は、町長の不信任と同じ』という考え方が主流のため、現状では議案否決ができない(否決にならない)状況です(否決に値する案件がある場合は、事前の調整により議案取り下げや不執行で対処)。このため本会議審議は緊張感が乏しく、議論の過程も不透明です。また、町側の説明責任を果たせなくしています。

私は今まで是々非々の姿勢で審議に臨み、問題のある議案に対しては反対討論を行って否の意思表示もしました。
しかし補正予算の場合は、提出される内容に喫緊の支出項目も含まれるため、おいそれと否決できるものではありません。修正案を提出しようにも私一人では何もできないのも事実です(発議者として議員2名必要。修正案作成には事務局の協力も必要。また手続きの問題もあり)。

今回の結果は残念でしたが、様々な人の協力のお陰で、
☆議員として意思を表現する新たな手法を身につけられたこと
☆それを形として残せたこと
は非常に有意義でした。一歩正当な議論・議会に近づけたと思っています。
ご協力いただいた皆さん、ありがとうございました。


余談ですが・・・
修正動議の趣旨説明に入る前に、修正審議に掛ける「私の想い」を述べました。原稿を記載します。

 補正予算に対し修正案を提出することは、月形町議会にとって初めてのことです。
 私たち議員は、町民の負託を受けて今この場にいます。一人一人が議決権を持ち、それぞれの考えに従い採決をすることの権利を与えられ、また、決定に至る経過および結果を町民に説明する責任もあります。
 これらのことを踏まえた上で、町民の負託に応える慎重かつ正当な判断をお願いいたします。

2011年09月10日

9月定例会の一般質問は・・・

台風が去ったあと風は秋色に変化し、凛とした空気で満たされるようになりました。ここしばらく雨がちで不安定なお天気が続いていますが、着実に季節は進み、田んぼは黄金色に変わってきています。間もなく稲刈りが始まります。

さて、平成23年第3回(9月)定例会は13日(火)午前10時から開会します。

今回も私は一般質問を行いますが、その内容は以下の通りです。
(今回一般質問を行うのは、私と楠議員の2人です。私が最初ですので、10時15分くらいからになると思われます。ぜひ傍聴にお越し下さい。)
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1.町民の移動手段の確保について 【町長に対する質問】

 平成19年12月定例会一般質問において「町民の移動手段の確保」として民間タクシーの重要性と支援の必要性、ぬくもり福祉券や公用車のタクシー代替などの提案を行った。現在それらの提案はほぼ事業化され、タクシー事業者の経営安定の面では成果があったと感じる。
 しかしながら、これら事業の拡充によって町民の移動手段が確保できない事態が起こっている。(町民の利用希望が増える中、2台あるタクシーのいずれもが町の業務で使用され、住民が利用できない時間帯が存在する。)
 町長はこの状況をどう捉え、どう対応するのか伺いたい。またスクールバス住民混乗の拡充についても伺いたい。


2.生ごみ処理に対する考え方について 【町長に対する質問】

 現在協議中の広域処理において、また最終処分場の環境改善においても、「生ごみ」処理が重要な課題になっている。環境や循環型社会を政策の柱にしてきた桜庭町長は、その鍵となる「生ごみ」をどの様に処理すべきだと考えているのか、伺いたい。
(月形町のゴミ処理に対する基本的な考え方については、今年6月定例会の一般質問で町長職務代理者の副町長に伺った。今回は「生ごみ」に特化して質問する。)


3.地域防災組織強化に向けた施策および支援について 【町長に対する質問】

 地域防災組織構築のため、昨年度から3年間、申請のあった行政区に対し補助金が支給されている。この施策によって住民の防災意識は確実に高まっており、良い取り組みと感じる
 この施策を発展させ、より一層の防災組織強化のためには一般町民を含めた防災組織のリーダー養成が欠かせないと考える。講習会の実施や各種資格取得への補助等、行政としてさらに一歩踏み出した施策および支援が必要ではないか。
 今後の地域防災組織強化策について、町長に伺いたい。


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今回の一般質問は、それぞれ以前にも質問しているテーマです。が、時代の流れとともに新たな問題が発生したり、更なる対応が求められていると感じるテーマでもあります。
単なる質問だけでなく、新たな提案もしたいと考えています。

今回の答弁者は桜庭町長。前回の答弁は(桜庭町長病気療養中で)職務代理者の土橋副町長でしたので、6ヶ月ぶりに桜庭町長とのやりとりになります。ここしばらくの一般質問は議論が噛み合わない状況で、私としては不完全燃焼でした。

今回こそ建設的な議論と実りある答弁が引き出せますように。
私の議論展開もさることながら、答弁者(町長)の姿勢と熱意にも期待しています。

2011年07月31日

亜臨界肥料とは・・・「生ごみ処理に関する学習会」の報告

7月29日午後、岩見沢市コミュニティプラザで開催された『南空知・わが町のこれからのごみ処理を考える学習会』には、岩見沢市民を中心に60名以上の参加がありました(岩見沢市議会議員の姿もちらほら。月形町からも楠議員と役場担当者も参加)。

学習会の内容は、主に「生ごみ処理における亜臨界肥料化の可能性」について。

前半は、(社)日本技術士会北海道本部資源・環境・健康分科会が、岩見沢市等に行った提言の解説。
これは現在、生ごみの処理に関し「溶融(もしくは焼却)処理」か「堆肥化」かという論点で行政と市民団体が膠着状態に陥っている岩見沢市の状況に対し、技術士会から「亜臨界肥料化」という選択肢もあるのではないかという提案がなされ、その内容について概要説明です。

後半は、パネルディスカッション形式で「亜臨界肥料化の可能性について」の学習会。
と言っても「亜臨界肥料」そのものがまだ知られていないので、「亜臨界肥料」とは何かを様々な専門分野を持つ北海道亜臨界肥料流通機構のメンバーが解説、その可能性と課題について示しました。

その中でコーディネーターである私の役割は、「亜臨界肥料」という聞き慣れない言葉と技術を、会場の皆さんにいかに理解していただくかだったのですが、全体の雰囲気や質疑の内容からある程度目標が達成できたように思います。私自身が当初「亜臨界肥料」に懐疑的だったので、その疑問を晴らすために学んだことが役立ったようです。

以下、「亜臨界肥料化」について解説の一部を紹介します。
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亜臨界肥料化とは・・・

【技術】
■圧力鍋と同じ原理
■水を高温高圧(約20気圧、200℃)の亜臨界状態(臨界状態=液体でも気体でもない状態:の一歩
 手前)にして、有機物を加水分解したもの。
■(月形町と美唄市で検討を行っていた)高温高圧処理と同じ。同じ機械で製造する。
■短時間で分子間結合を切る(タンパク質→アミノ酸、セルロース→ブドウ糖)

【特徴】
■予備実験で、プラスチック片も分解可能(→生ごみに混じったプラスチック片の処理も可能か)
■亜臨界肥料化(高温高圧処理)は燃料を必要とするが、短時間で肥料化できる。よって、製造過程
 で排出される温暖化ガス(CO2、CH4等)は、堆肥製造過程の排出量より少ないと考えられる。
■生ごみを堆肥化するより、含有アミノ酸量が増える(特に低分子アミノ酸)

【肥料効果】
■葉物野菜で実験:堆肥以上の肥効
■今年度道内各地、様々な作物で実験中

【その他】
■生ごみ以外にも有機物から肥料化が可能(下水道汚泥、ホタテのウロは実験済=良好な肥料)
■下水道汚泥を原料にした亜臨界肥料は既に市販されている。(普通肥料登録)
■生ごみの亜臨界肥料化はまだ行われていない。北海道が先進地。
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ゴミはできるだけ小さな循環(身近な所)で処理した方がロスが少なく、効率的です。生ごみ処理の最も良いのは家庭での処理。堆肥を家庭菜園等で活用しようと思えば分別もしっかり行います。また、コンポスト処理や堆肥化は安価に簡単に資源を循環することができます。

一方、自治体単位(特に大きなまち)で生ごみを処理しようとする時、堆肥化には様々な問題が出てきます。
まずは「分別の不徹底」。意識の高い住民は分別しても、そうでない住民の影響で異物の混入は避けられません。実際に生ごみの堆肥化等に取り組んでいる先進地で問題になっていて、様々な方法を駆使し費用を掛けて取り除いています(ただし完全にはできていません)。そのため出来上がった堆肥の引受先がないこともしばしば。大きな課題です。
他に臭気問題、製造・保管場所の確保、製造期間の問題、等々。

岩見沢市は「9万人都市で生ごみの堆肥化はできない」と、市民団体からの要望(生ごみ堆肥化)をはねのけました。確かに9万人都市で工業的に堆肥化をしている例はなく、実際にも難しいと思います。
しかしながら段階的・地域的に取り組むなど努力できる点もあるのでは?
また今回の「亜臨界肥料化」も一つの選択肢として、検討してもも良いのでは?

月形町も「長いものに巻かれろ」的に傍観するのではなく、独自の「ゴミ処理理念」を持つべく議論していきたいものです。

2011年06月12日

岩見沢のごみ処理を考えるシンポジウム

6月11日午後、岩見沢市のコミュニティプラザで「岩見沢のごみ処理を考えるシンポジウム」が開催されました。主催は、岩見沢市のゴミ問題の解決策を探るために集った市内7つの市民団体による「新たなゴミ処理方法を考える市民の連絡会」です。

20110611b.jpg会場には200人近い市民の方々が集まり、質疑や意見等も多数出るなど関心の高さを感じました。
また岩見沢市議の姿も多数見かけました。過去に同様のテーマで小規模の学習会が開かれ私も参加しましたが、その時は市議の姿はほとんどなかったので、以前に比べ議会も関心を高めているのを感じます。

加えて、会場では署名運動も展開されていました。こちらは「岩見沢市に対し、新しいゴミ処理方法に関して市民との対話の場を設けること」を求める署名で、5月27日〜6月11日まで展開し、13日開会の市議会に提出予定とのこと。会場に集まった人の多くが署名に参加していました。
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さてシンポジウムは、
基調講演『ごみ処理・資源化の方法と ごみ処理計画の考え方』と題し、ゴミ処理の基本的な知識と解説がありました。
講師は、北海道大学大学院工学研究院教授の松藤敏彦氏です。

■ごみ処理に関する過去からの流れ

 ・環境に関する考え方は50年前とは全く違う → 変化する(変化が速い)
 ・50年前の東京)生ごみの直接埋立 = 埋立処分場のハエ対策に重油を撒いて燃やす
   → 煙・粉じんの問題 → 大量の薬剤散布 → 生ごみの焼却
 ・日本のごみ焼却の歴史は約100年。燃やすことで1/20の容量になる、衛生的処理ができる。
  40〜50年前、日本のごみ処理は「焼却」が大幅に増える = 補助金制度による
 ・焼却を推進してきたために、分別は「燃やせるごみ」「燃やせないごみ」になった。
  世界的には「資源化にできるもの」「資源化にできないもの」という概念で分別されている

■埋立処分場の特徴と問題点

 ◎埋立処分場の3要素「ガス抜き」「覆土」「遮水と侵出水処理」
 ◎埋立処分場では水の管理(排水処理)が最も重要
 ・遮水シートを張っても水が溜まっている状況を作れば漏れる可能性がある。
 ◎埋立は全ての固形廃棄物を扱うことのできる唯一の処理方法 = 要らなくなることはない

■様々な生ごみ処理方法のメリットとデメリット

【埋立】
 ・埋立処分場に「生ごみ」が入ることで管理期間(安定化する=変化が終わるまで)は長くなる
  (処分場に「生ごみ」がそのまま入っているかいないかの差は大きい)
 ・嫌気性(空気のない状態)では「生ごみ」は分解しない
   = 分解しなければ水処理期間の長期化必須 → 管理期間の更なる延長
 ・水分があると空気が入らない=嫌気性になる(生ごみは多くの水分を含む)
 ・滞水状態(水が溜まっている状態)では排水と換気が機能しない=嫌気性になる

【堆肥化】
 ・堆肥化そのものは単純だが、堆肥化施設は比較的高度である(実施している自治体は少ない)
  = 焼却より高コスト(小規模にならざるを得ないのも理由の一つ)
 ・分別の徹底(住民の協力)と、利用先の確保が重要な鍵

【メタン発酵(バイオガス化)】
 ・生ごみ量の確保(施設を安定的に稼働するには一定量の生ごみが必要)
 ・発酵槽の加温が必要
  (発電等で取り出したエネルギーを使う。ただし、北方ではエネルギー収支マイナス)
 ・高額な水処理経費
  (家畜糞尿を原料にした消化液(汚水)を売ることはできず、下水処理並みの水処理必要)
 ・小規模施設にならざるを得ないので、焼却より高コスト

【水熱処理(高温高圧処理)と炭化処理】
 ・生ごみには必ず塩分が入っているので、生成物には塩素が含まれる=燃料化には対策必要
  水熱処理(高温高圧処理)も炭化処理も、生成物を洗う・薄める等の加工が必要
 ・生成物を燃やす場面でダイオキシン対策等が必要になる

【焼却炉】
 ・過去から100年以上にわたる技術の積み上げがある

【ガス化溶融炉】
 ・建設費(補助金あり)と維持管理費(補助金なし)が同程度=ランニングコスト大
 ・建設費が安い?・・・
  過去に受注競争があり、ダンピングの影響を受けて平均値が下がっている可能性がある
  建設費において、必ずしも正確な数字が出ていないのではないか
 ・再生スラグは使われない(ゴミを原料にしているので、何が入っているのか解らない)。
  また現状でも良質な鉄鋼スラグが10倍量も存在する
 ・技術的トラブルの発生は公にされていない(が、あるのではないか)。未成熟な技術。

☆資源化のポイント
  ○作った物をどうするか・・・出口の問題(利用する場を確保)
  ○資源化できなかった物をどうするか・・・埋立場の問題
  

■ゴミの実態(一人あたりの排出量とその分類)からの減量化施策への導き方

 ・「住民一人あたりのごみ量」と「ごみ組成」(=ごみの中身)から実態が分かる
 ・ごみの中で多くの割合を占める物を重点的に対策することで、減量化が進む
 ・ごみの減量化は制度設計(「目的=教育啓蒙、有料化による動議付け」と、それを達成するため
  の「方法=具体的なごみ減量化の手段」の明示)が重要

適切なゴミ処理をするためには「モノごとの適切な方法」と「処理方法を選ぶ」ことを、
 組み合わせて考えなければならない

 ○モノごとの適切な方法
 [紙類]  製紙原料>他製品>エネルギー回収
 [金属類] 素材利用
 [ガラス] 再生ガラス>他利用>埋立
 [生ごみ] 自家処理>生物処理>焼却>埋立

☆ゴミ処理が上手くいっている自治体の特徴
 ◎トップが熱心 ◎危機感を持っている

その後は、主催者側の市民団体から「生ごみの利活用に関する実践報告と提言」がなされ、質疑や意見交換が行われました。


今回の基調講演講師である松藤氏は廃棄物資源循環学会の副会長でもあります。私は以前、同学会のセミナーでお話を伺ったことがありますが、複雑な廃棄物の問題をそれぞれの要素として紐解き、理論に基づく明解な回答を示してくれるので理解しやすかったと記憶しています。今回も基礎知識も含め様々な事例を基に提示していて非常に分かり易く、有意義な内容でした。
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今回のシンポジウムは岩見沢市のゴミ問題をテーマにしていたものの、ゴミ処理の普遍的な基礎知識を広めることが主だったように思います。「基礎知識を得た上で、それぞれの自治体に応じた選択をして欲しい。」というのが松藤氏の主張で、様々な選択肢の特徴が示され、その組み合わせの重要性を強調されていました。

月形町民や職員、議員も今回のシンポジウムに参加していればどれほど知識が広がったか・・・少なくとも議員が今回の内容を基礎知識として身につけた上で「月形町のゴミ処理」に関する協議ができれば、どれほど身のあるものになるのか・・・議会内で勉強会を開催したいと要請しているのですが進まないのも現状。残念です。

政治的な均衡を保つことの重要性も理解できなくはないのですが、月形町民にとって最善の選択をするためには、その議論をする者(職員、議員、審議会委員)がある程度の知識を有し、大所高所に立った見解と選択が求められると考えます。恥や外聞など捨て実を取る、あるいは自ら積極的に学ぶ姿勢がなければ道を誤ってしまう可能性が高くなるのではないでしょうか。

【自分の町のことは自分で決める=地方自治の基本】
自由と権利を得るためには、努力が欠かせません。

それから今回、危機感を持った少数の人が行動を起こし「ごみ処理に対する自分たちの想い」を実現しようと様々な活動を展開して大きな運動に発展する様を、目の当たりにしました。まだ完全な成果には至りませんが、その動きはまさしく自治。この光景は、月形町の合併問題の時と似ています。

今まで「お任せ主義」だった住民が問題に気付き、行動を起こす・・・自治体の危機が自治を目覚めさせるのですね。
どうか市民団体の方々にはさらに頑張っていただきたいし、それに呼応して議会(議員)も行政も「住民自治」に近づくよう、新たな一歩を踏み出して欲しいと思います。

もちろん私達月形町民も他人事ではありません。岩見沢市のごみ問題を「お隣の話し」と受け流すことなく、自身の未来の選択のために動き出しましょう。

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