2010年06月09日
2010年度 北海道自治体学会 政策シンポジウム(パネルディスカッション2)
ひき続き、2010年度・北海道自治体学会・政策シンポジウムの詳細で、パネルディスカッション第2部の報告です。(これで最後です。)
※右の写真は、現在我が家で出荷中の切花「メコノプシス:ヒマラヤの青いケシ」です。大阪花博でも話題になった希少な花で、鮮やかな「青」が特徴です。私にとってこのシンポジウムは、この花のように[鮮明で貴重]な経験でした。
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パネルディスカッション(第2部)
《追加パネリスト》・・・第1部のパネリストとコーディネーターに加えて
・逢坂誠二氏 (衆議院議員、内閣総理大臣補佐官)
・片山健也氏 (ニセコ町長)
《パネリスト》・・・・・・・第1部、第2部通し
・宮下裕美子 (月形町議会議員)
・小林董信氏 (北海道NPOサポートセンター事務局長)
・石井吉春氏 (北海道大学公共政策大学院教授、運営委員)
《コーディネーター》
・久田徳二氏 (北海道新聞社木古内支局長
逢坂氏の基調講演を受け、民主党政権が行おうとしている「地域主権の中身や手法」について、会場を交えたディスカッションになりました。
以下は私の印象に残った話題です。出された様々な意見を列挙しました。
◆ヒモ付き補助金と一括交付金
・地域主権を進める上で、明日明後日の不利益はあるかもしれないが、3〜5年後は自由度が増す。
絶対良い。その方向で進む。
・ヒモ付き補助金は省庁の枠で仕切られ、多くは地方が受けている。
一括交付金にすることに最も抵抗するのは、それを享受しているもの=省庁と地方が抵抗勢力
・地域主権の本当の敵は地方
◆義務付け・枠付けの廃止と権限委譲(ナショナルミニマム)
・例)保育所の設置基準や入所基準
○地価が安く余裕のある北海道の地方と都心とが同一基準で運用されていることに疑問は?
○教育や医療などは、国として一定の基準が補償されるべきではないか(ナショナルミニマム)
○現実には無認可保育所の存在があり、そこが地域の保育を担っている。
基準を堅持することと、実際とのギャップを考えなければならない。
・例)子宮頚ガンワクチンの公費助成
○金持ちの自治体と、そうでない自治体で「命を守る政策」に差があって良いのか
○子宮頚ガンワクチン(任意接種)は効果は高いが高価であるため助成に自治体間に差がある。
定期接種は国から交付金が下りるために全国一律で接種されているが、これらが一括交付金
となり自治体の裁量に任されれば、ナショナルミニマムは維持できないのではないか。
○子宮頚ガンワクチンは女性の生き方も含めた、総合的な考えを示した上で進めるべきこと。
◆所得再配分
・子ども手当
○今までの福祉の概念を変える政策
○高齢者と若年層との世代間格差是正政策
(高齢者の方が資産が多い=高齢者に資産が偏重。ただし高齢者内での格差は大きい)
○新しい視点での所得再配分で、方向性はOK。ただし原資をどうするのか、配分方法も課題
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話題の1つ「一括交付金」については、発言の観点がその人の置かれている立場や自治体状況(財政・自治)の影響を強く受け、総合的な議論にまで高められなかったのが残念でした。
会場から「ナショナルミニマムを維持するため一定程度のヒモ付き補助金は必要で、特に[命を守る政策]は全国どこでも同じであるべき。」という内容の発言がありましたが、私は「一括交付金化でも良いのではないか。」と発言しました。それは以下のように考えたからです。
「命を守る政策」は重要と認識しているが、必ずしも「予防接種費用の助成」がそれに当たるとも思えない。「医療や介護にバラエティがあり所得や状況によって利用者が選択できる」あるいは「交通インフラが整い、誰でもお金さえ払えばサービスが受けられる」など生活環境の整った都会と、そうでない田舎とでは「命の守り方」にも差があるのではないか。
月形町は豪雪地帯であるが故、もし除雪が十分に行われなければ緊急時に救急車すら入ることができず、命を守ることができなくなってしまう。(少雪地帯に住む人には考えもつかないだろうが)除雪の徹底こそ「命を守る政策」になる。除雪が維持されてはじめて予防接種へと展開される。
このように、北海道は地域特性が大きい。こういう地こそ「一括交付金化」で住民ニーズにあった施策を行い、満足度を高めていくべきだと考える。
様々な意見や考えを聞くことができ、また考えさせられた「北海道自治体学会政策シンポジウム」、非常に有意義な時間を過ごすことができました。
この場を維持し担ってくださった運営委員をはじめとする多くの方々に感謝いたします。またパネリストという貴重な体験を与えてくださった皆さん、大変お世話になりました。そして、ありがとうございました。今回の経験を今後の議員活動に役立てます。