2014年09月19日

基礎自治体教育委員としての活動が出来るのかがポイント【私は教育委員2名の同意案に反対するも、賛成多数で議会は同意】

月形町の教育委員は3名体制ですが、そのうち2名が間もなく任期切れになることから今定例会に【教育委員任命の同意案 2件】が提案されました。いずれも再任で、1人は豊田揺子氏(花の里保育園の園長)、もう1人は松山徹氏(教育長)です。私はこの同意案2件ともに反対をしました。

同意案=人事案件を審議するのはとても重い責任を伴います。その中で【反対=不同意】がどれほど重くて厳しい決断か・・・それでも私は【反対=不同意】しました。それは以下の理由からです。

なお、議会の審議では起立採決が行われ、豊田氏の同意案に対しては【賛成7,反対2】、松山氏の同意案に対しては【賛成8,反対1】となり、いずれも賛成多数で原案可決(議会の同意が得られた)となっています。
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豊田揺子氏の教育委員任命に対する【反対=不同意】の理由

[背景]
・町内唯一の認可保育園である町立「花の里保育園」は指定管理者(社会福祉法人 札親会)が運営。豊田氏は札親会の職員であり、花の里保育園の園長(代表者)。札親会は月形町や札幌市などで障がい者福祉事業や高齢者福祉事業などを多数経営しているが、保育園経営は花の里保育園のみ。
・町内唯一の私立幼稚園(月形大谷幼稚園)が閉園することに伴い、町内の幼児教育の場は平成28年4月に開園する認定こども園のみになる。町長は「(指定管理者は)札親会にやってもらう」と公言し、それを前提に準備作業が進んでいる。
・開設準備を行う「開設準備委員会」は教育委員会の所管(事務および予算措置)。
・「開設準備委員会」のメンバーは、教育委員会、保健福祉課、学校法人月形大谷学園(月形大谷幼稚園)と社会福祉法人札親会(花の里保育園の指定管理者)の理事者。その幹事会のメンバーに豊田氏も名前を連ね、実務に関係している。
・認定こども園開設後(実際には認定こども園条例ができてから)の所管は、手続きに関わるもの(認可申請、建物変更計画、入所案内、他)は保健福祉課が担当し、教育内容などの中身に関するものは教育委員会が担当するとのこと。

[理由]
■そもそも豊田氏は「認定こども園開設」に直接関わっている。指揮・監督する立場と実際に運営あるいは従事するのが同一人物で、公平公正な業務が行えるのか?

■教育委員会で「認定こども園」「幼児教育」の議題で、豊田氏は除斥の対象となる。
→ 3人しかいない教育委員のうち、1人は除斥、1人は教育長で議案の提案者、もう1人は教育委員長で会議を統括する立場・・・これで十分な審議が行えるのか?

■教育行政における幼児教育は一分野に過ぎないが、「認定こども園」は教育内容などが全く決まっていない段階で、これから重要な局面を迎え検討すべき課題は山程ある。今の教育行政の中でも大きなウエイトを占めている重要視すべき課題。


※なお、【賛成討論】で楠議員からは以下のような内容の発言がありました。
・豊田氏は教育委員1期4年の経験があり、現場をよく知っている。
・教育行政における幼児教育は部分に過ぎない。幼児教育だけが肥大化していないか。
・月形町は人口が少なく、行政と全く利害関係のない人はほとんどいない。利害があったとしても問題が起きないように除斥制度がある。除斥制度を上手く活用して業務を進めるべき。
・社会福祉法人の職員であるので、個人利益を追求するようないかがわしさは考えられない。

※反対の立場の平田議員からは、質疑の際に以下のような意見がありました。
・同意案に反対が出ることも、質疑が多く疑念があることも今までにはほとんどない。このような人物で本当に問題はないのか?

[結果]原案可決=同意
賛成7:大釜議員、楠議員、堀副議長、鳥潟議員、金子議員、金澤議員、宮元議員
反対2:宮下議員、平田議員
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松山徹氏の教育委員任命に対する【反対=不同意】の理由

[理由]
■基礎自治体(町)教育委員会の業務に対する認識の違い

・地方分権により基礎自治体の教育委員会には、地域特性にあった独自の特色ある教育の推進が求められている。しかし、松山氏はこれまでの教育長としての答弁で「文部科学省 → 道教委 → 町教委 → 学校というの流れが教育システム」「町教育委員会は、道教委から来たものを実行し、指揮監督すること」と発言している。学校教育において、独自に取り組む姿勢が感じられなかった。

■教育長として事務全般を取り仕切る立場だが、充分に役目を果たしているのか疑問
・言葉では「進めている」と言っているが実際には後退していると感じることがある。(例)地域に開かれた学校、学校施設の管理、教育情報の公開(全国学力テスト結果等)

■大谷幼稚園閉園までの経緯と幼児教育への対応に問題がある
・これらの対応に、事務方のトップとしてもう少しできることがあったのではないか。町民との信頼関係においても重要な場面だったのではないか。

■教育的な模範となるべき行動が求められる立場だが、必ずしも充分でない


【賛成討論】で楠議員からは以下のような内容の発言がありました。
・人事権は首長にある。よほど不適格でなければ、首長の人事権への介入は慎重であるべき。

[結果]原案可決=同意
賛成8:大釜議員、楠議員、堀副議長、鳥潟議員、金子議員、金澤議員、宮元議員、平田議員
反対1:宮下議員
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今回の同意案の審議にあたって、私は【無記名投票による採決】を提案しました。本来なら議員は個人の意見を正々堂々と発することが求められているのですが、こと人事案件に関しては、月形町のような小さな自治体で誰もが顔見知りの状況からくる「しがらみ」や「議会内での力関係」などによって、正当な判断ができにくいと考えたからです。このことは月形町に限ったことではなく、検索すればたくさんの事例が出てきます。

議長が慣例に従い「起立採決」としたところで私から「無記名投票」の動議を出し平田議員の賛同を得られたことでいったんは成立したのですが、その後、堀副議長から「起立採決」の動議があり鳥潟議員の賛同で成立。全議員による裁決で「起立採決」を行うことに決定しました。

私も起立採決によって全てが「見える化」することはとても良いことだと思います。が、それは一人一人の議員が確固たる考えと立場を持って審議に臨んでいる時に初めて有効に働きます。月形町議会議員がそうでないと言っているのではなく、人事という心理的にも対外的にも微妙な案件には配慮も必要かと・・・

もっとも、私自身は全てをさらけ出して反対討論を行っているのですから、採決方法がどうであれ、今後の軋轢は避けられそうにありませんね。それも含めて、私は自分の行動に迷いはありません。

2014年08月22日

住宅政策は “ソフト” の時代に。人口減少抑制のチャンスロスを防ぐには・・・【まちづくり常任委員会/住宅施策】

19日深夜から20日早朝に起きた広島県での土砂災害、これほど広範囲で悲惨な状況になっているとは! 時間の経過と共に現場の報道も増え、現場の大変な状況が映像として伝えられています。
これ以上の被害が起きませんように。救助活動がはかどりますように。そしてどうか一刻も早く不明者が見つかりますように。

それにしても、未明に突然降り出した記録的な局所豪雨にどう対応すればいいのか・・・。その場で判断・決断する立場にあったら・・・。考えさせられます。
「避難勧告を出すのが遅れた。」とは行政責任者の言葉ですが、もし土砂崩れの起きる前の午前3時に勧告を出したとしても、豪雨の上に未明のため、真っ暗な状況の中でどれだけのことができるのか・・・。

今回のようなタイプの豪雨は全国どこでも起きうる気象現象です。我が身として対応を頭に入れておく必要があるケースだと感じました。
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まちづくり常任委員会の所管事務調査が、8月19日(火)の午前に開催されました。

今回のテーマは「住宅施策について(産業課)」
町営(町有)住宅の入居・待機状況を中心に、民間賃貸住宅(アパートなど)の状況や現在策定中の「月形町第二次住宅マスタープラン」についても調査と議論がなされました。

以下に委員会での調査内容(主に私の気になった部分を抜粋して)を記します。

【説明内容】
■月形町の町営(町有)住宅は現在222戸。平成26年8月1日現在、入居が204戸。通常空家が8戸、政策空家(老朽化が進んだ長屋などで、取り壊しを進めるために退去後空家としている物件)が10戸。

■全体の数字変化は少ないが、入退居は多く、入れ替わりが頻繁。老朽化した町営住宅からの住み替えもある。

■家族世帯の入居が優先される一般向け町営住宅(147戸)のうち、現在単身世帯になっているのは15%。(入居当初は複数入居の家族だったが、家族の死亡や施設入所等で高齢者一人になった世帯が多い)。

■年度末や当初は待機者が増えるも、2ヶ月もすれば落ち着き現状のような状態。

■入居希望が多いのは、駅裏の「ひまわり団地」と高齢者等向け住宅の「さくらコーポ」「さくらコーポⅡ」、特定公共賃貸住宅(39歳までの独身者+世帯向け)の「こすもす団地」。

■「月形町営住宅総合整備(ストック活用)計画」で計画された期間(平成17年〜37年)の町営住宅建設は既に終了している。


【質疑での重要な視点】
■1年を通してみれば待機者は少なく、全体が上手く回っているように見えるが、年度末・年度当初の需要を満たしていないことをどうとらえるのか。町内に住居が無いために町外に居を構える人を取り込まなければ、人口減少を食い止められないのでは。特にこのケースでは若年層(生産年齢世代)が流出してしまう。

■町営住宅でも、町全体でも独居高齢者が多くなっていることに目を向けるべき。孤独死対策や福祉との連携も念頭に置いた住宅政策は必要。「まちづくり」として住宅政策をとらえる視点が不足しているのでは。

■新たな町営住宅建設が難しいとはいえ、町営住宅の潜在的な需要はある。例えば「サービス付き高齢者住宅」を建設することで、独居高齢者がそちらに移れば、世帯向けの町営住宅に空きができて若年世帯(生産年齢世帯)の入居が可能になる。

■住宅を探す(移る)のは、就職時、結婚時、家族が増えた(減った)時など。必要とされる時に住宅が提供できることが重要。結婚時など所得用件が厳しい場合(結婚前まで両者が働いていれば、所得上限を超えるので入居できない)、夫婦になることで働き方が変わったり、子どもができて扶養家族が増えれば入居要件を満たす場合がある。これらを考慮した特別枠などの政策展開も必要ではないか。

■町営住宅は常に稼働率を上げる(空き家を減らすこと)ことに注力してきたが、一般の不動産業では空室率3割、ある自治体の公営住宅では1割程度と聞く。月形町の町営住宅の空室率は極端に低い。これを優秀と見るか、もっと空家があっても良い=いつでも入居できるととらえるかで自由度が変わってくる(もっと空家率が高くても許容できるのではないか)。近隣を調査してみてはどうか。

■人気が高い団地は「市街地に近くて便利」が理由ではない。「除雪体制が整っているから」なのではないか。人気の薄い他の団地では別途除雪費や手間が必要。豪雪地帯なのだから、雪に強い、住みやすい町営住宅を作るべき。
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《調査を終えて・・・私の考え》

住宅政策=建設、ハード事業、公営住宅の管理・・・ そんな感覚はもう過去のことなんだと、委員会で議論していて強く感じました。

これから益々高齢化が進み、人口減少も避けられない時代になり、10年もすれば持ち家の空家は相当増えるでしょう。それが見えている中で「町営住宅を建てる」のは現実的でないという行政側の言い分は十分理解できます。だからと言って、それ以上の提案が行政側からないのも疑問(担当者にしてみれば、自分の担当分野以外は答えられないということなのでしょうけれど)。

一方、月形町には職場があり、昼間人口が夜間人口より1割近くも多く、若者(生産人口世代)の住宅が足りないのも事実。人口減少対策を考えるなら、チャンスロスをなくそう!

予算が潤沢にある時代なら単純に「町営住宅をもっと建設すべき!」となるのでしょうが、財政難が目に見えている今だからこそ、知恵を出して乗り切らなければ。ソフト事業の展開が重要に。だから「サービス付き高齢者住宅」はとても良いアイデアだと思いました。

これを展開するには福祉関係の部署や事業所も巻き込まれなければならず、今まで通りの縦割り行政では到底展開できないこと。行政の意識や感覚が町民に近づいてくるのではと期待しています。


それからもう一つ重要な視点がありました。「○○団地に人気があるのは、除雪費がかからないから」という視点です。今まで常に「○○団地は市街地や病院に近く、便利だから人気が高い」と聞かされてきました。私もあまり考えず「そうだよなあ。歩いてすぐに何でもあるから便利だものね。」と受け入れていました。でも、住民には違う声もあり、そちらの方が説得力がある! 
町民の声を拾っている議員ならではの発言で、足で稼いでいる大釜議員の活動に感心しました。

議会はこうでなくっちゃ!

それぞれの議員が、それぞれの視点や活動で情報を集め、議会の場で話し合う。そこから新たな展開を模索する。各議員の意見や情報を尊重する姿勢が議会に無ければ「まちづくり」なんてできないですよね。(委員会報告書に、私の提案した「若年層への定住化対策」の文言は掲載されるのかなあ・・・)

2014年07月01日

平和とは?【月形町戦没者追悼式/集団的自衛権の憲法解釈変更】

平成26年7月1日。

午前、月形町内の樺戸神社境内にある忠魂碑の前で、戦没者追悼式がしめやかに執り行われました。一方、午後、東京/永田町では集団的自衛権に関する憲法解釈変更の閣議決定がなされ、午後6時には安倍総理の記者会見がありました。

奇しくも「戦争」「平和」「政治」を深く考える1日となり、「声を上げなくては!」と強く感じる1日にもなりました。


午後6時の安倍総理記者会見を、私は農作業をしながらラジオで聴きましたが、安倍総理の口から出てくる流ちょうな言葉とは裏腹に、全く意味がつかめない、リアリティ(現実感)のない、心に響かない会見でした。

本当にこんな形で日本の理念が変わってしまっても良いの?


今回の件で私がもっとも問題と感じているのは、解釈改憲の部分。今まで守ってきた憲法の理念を変更するのに、解釈を変えるだけでOKなんて! 
それも与党合意と閣議決定で決めるなんて!
安倍総理がどうしても変更したい(やらなければならない)のなら、正規の改憲手続き(国会発議、国民投票)を取ればいいこと。それを無視して数の論理で押し通せるところで進めるのは言語道断。立憲主義に反している。

集団的自衛権の内容・歯止めにしてもそう。具体性や現実性のない事例を出して不安をあおったり、これだけだから大丈夫と言いくるめないで! 都合の悪いことも、汚い部分も全部あからさまにして「それでも必要なんだ。」と説得してほしい。
今のままでは信用できないし、到底受け入れられない。

午前中の戦没者追悼式。参列された遺族の方は10名程で、ここ数年で参列者の数がガクンと減りました。終戦から69年目であることの現れで、時が流れているのです。

80代とおぼしき遺族の女性が
「遺族も少なくなったよね。来年は戦後70年だもの、みんな歳をとったよ。70年も経ってしまったんだね〜。でも、あっという間だったよ。無我夢中だったから。」
と。言葉の一つ一つには現実が染みこんでいて、何気なくつぶやいた言葉からも戦後の大変さがにじんでいました。


戦争を体験した人がもう随分と少なくなっている現実。その今だからこそ、体験者の言霊を真摯に受け止めなければ。そして若い世代、子ども達に引き継がなければ。

私たち世代が、ダメなものはダメ、イヤなものはイヤと声を上げよう。
未来を任せられないと思ったのなら、選挙で想いを表そう。

2014年05月27日

論点と着地点【認定こども園開設準備事業/H26年第3回臨時会/報告3】

ちょっと間が開いてしまいました。ゴメンナサイ。

平成26年第3回臨時会「認定こども園開設準備」報告3です。(前回まではこちら→報告1報告2)。


認定こども園開設準備事業の審議では、いくつかの論点が提起されました。大きく分けて3つ。

【論点(課題の整理)】
1.認定こども園開設に向けた準備の手順
 ・事業の主体はどこか
 ・子ども子育て関連法改正の影響
2.指定管理者制度に関係する手続き(法務の問題)
3.認定こども園開設の目的(幼児教育のめざすところ)と今取り組むべき課題

これらが混合した中での質疑応答だったため、解りにくかったですね。これら論点について、私の視点で整理したのですが・・・ 長〜くなったので、備忘録として別項目で掲載することにしました。興味のある方はご覧ください。
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【着地点(幼児教育のめざすところ)】

少子化が進む現在、子育て世代・若者世代にとって「幼児教育」はとても関心の高い事柄であり、幼児教育環境を整えるために転居もいとわない世代であることが、昔の感覚とは違っています。

この現状を踏まえれば、高齢化と生産人口減少に悩む月形町において、幼児教育が「まちづくり」の大きなポイントになることは明白です。つまり、今、月形町に求められているのは《現状維持》ではなく《一歩進んだ》幼児教育環境であり、比較すべきは《最先端の取り組み》なのです。

認定こども園開設準備の審議で、町側からも他の議員からも「混乱が起きないように」「スムースな移行」「不安を与えない」などの言葉が再三発せられ、そのことが最も重要であり、着地点であるかのように語られてきました。しかし、本当にそれで良いのでしょうか?

私は「違う」と思っています。

誤解を恐れずに言えば、不安や混乱を抱くのは大人の感覚であって、子ども達は(最初は戸惑ったとしても)すぐに慣れます。子ども達にとって必要なのは《新たな世界》であり《飛躍》です。

自分の子どもの頃を思い出してください。幼稚園(保育園)、小学校(中学校、高校)に上がる時、不安でいっぱいだったけれどワクワクも大きかったでしょう? 年度初めもそう、すぐに行事に集中していたのでは? 子どもは常に先を見て、先を楽しみにしているのです。

家庭ではできない飛躍的な発想や広い世界を示せる幼児教育環境を整えてあげたいと思いませんか?

子どもの達の求める幼児教育環境が整えることができたなら、子ども達も、その保護者も、これから子育て世代となる若者達も、きっと月形町に魅力を感じることでしょう。そうなれば月形町全体に活気が生まれ、町民にも誇りが生まれると思っています。

2014年05月19日

指定管理者制度を採用しているということは・・・【認定こども園開設準備事業/H26年第3回臨時会/報告2】

ひとしきり降った雨が止み、日射しが差し込んでいます。

先週パラパラ降り出した雨は週末にはしっかりと大地を潤す恵みの雨になりました。ただ、寒気も呼び寄せ、道北や道東、山間部では積雪になるほど。月形ではそこまで下がりませんでしたが、冷たい風が吹きやる寒い寒い週末でした。

そして今日は晴天。気温も上がる予報で、芽吹きの匂いが漂う清々しい日になりそうです。

さて、本題。
平成26年第3回臨時会の報告2、今回は「認定こども園開設準備事業」の中身と議論された内容について報告します。(報告1は →こちら
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これまでの経過/平成26年3月定例会・一般質問

昨年11月に町内唯一の幼稚園である私立大谷幼稚園が平成28年3月で閉園することが決定し、それ以降、今後の幼児教育について様々な場面で検討されてきました。月形町の方針が正式に発表されたのは、今年3月定例会の一般質問の答弁です。以下のような町側の意向が示されました(詳しいやりとりは→ こちら)。

【月形町の方針/平成26年3月時点】

1)町立認可保育所「花の里保育園(指定管理者:札親会)」を
                  平成28年4月から「認定こども園」にする。
2)円滑な移行の実現に取り組む
 ●平成26年度、27年度を認定こども園への移行期間とする。
 ●「大谷幼稚園」と「花の里保育園」の子ども達が不安を抱くことなく
              健やかで楽しく生活できるような取り組みを進める。
 ●平成26年度から「花の里保育園」の職員を2名増員する。
 ・業務内容:認定こども園開設準備
 ・「大谷幼稚園」との合同保育のコーディネート
 ・研修および認定こども園開設事務は、
         「花の里保育園」に増員した分をやりくりしてやってもらう。
  (臨時職員が通常保育にあたり、保育園職員が開設準備にあたる等。)
 ●認定こども園の運営は、「花の里保育園」指定管理者の札親会にお願いする。
 ●大谷幼稚園の先生2人も認定こども園に加わる。
3)認定こども園の開設準備を進めている。
 ●園開設準備組織を立ち上げ、協議・検討を重ねてより良い施設をめざす。
  実施予定内容・保護者との関わりを持つ
        ・先進地の視察(準備組織メンバーだけでなく保護者も)
        ・北翔大学を中心に研修を行い、質の高い施設への準備をする


【問題点の提起】
町の方針に対し、私は以下の問題点を提起しました。

■認可保育所と認定こども園は目的も仕組みも違う。延長線ではない。
■指定管理者制度の目的(サービス向上=保育や教育の質の確保と向上、行政経費の節減=保育料の低減、税金からの負担軽減)のため公募を行うべき。札親会ありきで進めることに疑問。
■指定管理者の指定には、それに必要な資格や見合った法人が応募し対応するべき。
■花の里保育園職員2名分の増員は、それに見合った業務量があるのか疑問。認定こども園開設で最も大きいのは事務作業(行政の業務)。
■認定こども園開設までに2年間あるので、新たな指定管理者を前倒しで指定すれば連携や業務の引き継ぎに充分な時間を使える。先行事例がたくさんある。
■花の里保育園職員の研修費用は本来、事業者側(札親会)が出すべきもの。認定こども園の質の向上が目的でも、町の予算に組み込むことは疑問。

私の質問に対し明解な答弁を得られないまま、一般質問は終了。

【その後】
指摘事項は持ち越しのままでしたが、事業が展開される前には必ず「補正予算」が組まれ議会が審議する場面(臨時会の開催)があります。その時までに指摘事項が再検討され新たな方針が提示されることもあるので、臨時会の開催を首を長くして待ちました。
その間、私自身も指摘事項の法的根拠を明確にするため、指定管理者制度について学びました。
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【臨時会に提出された補正予算】

認定こども園開設準備事業(教育振興費) 167万3千円
[内訳] 講師謝礼                 10万円
     職員普通旅費                4万4千円
     月形町認定こども園開設準備業務(委託料) 135万1千円
     諸車賃借料                 9万8千円
     負担金   全国認定こども園協会      6万円
           諸会議             2万円

[事業内容(町側の説明より)]
・認定こども園は(指定管理者として)札親会にやってもらう。
・認定こども園開設準備業務は、札親会に業務委託する。
・委託料の中身は、ほぼ人件費
  臨時職員(1名分)      5時間 × 20日/月 × 11ヶ月
  正職員時間外勤務費(2名分) 2時間 × 20日/月 × 11ヶ月
・委託内容は10項目以上あり(聞き書きにて、正確な文言は不明。)
  合同保育の計画と実施、教育基本目標の調査、指導計画と保育計画の調査、
  教育と保育環境の調査検討、施設の運営基準の調査、職員配置基準の調査、
  教育と保育の実践研修、子育て支援の調査、・・・
・委託料は各委託(業務)内容を積算したものではない。人件費として一括計上。
・幼稚園と保育園の合同保育は、年間10回を計画(1回の経費3000円×10回)

[その他]
・(町が主体の)開設準備組織は[案]の段階。発足していない。保健福祉課、住民課、教育委員会、札親会、大谷幼稚園が幹事会を作り協議する予定。

【質疑を通して明らかになったこと】
私の質問は3回の規定回数を超えたため、そのほとんどが「休憩中」という扱いになり、議事録に記載されない状況です。なので、今後その質問・答弁内容に問題があったとしても検証できず、言った・言わないの水掛け論になりかねません。よって具体的な質疑の内容について触れられません。
ただ、私の反対討論の中で問題箇所に触れていますので、そこから報告します。

■現在、認定こども園条例の制定も指定管理者の指定(議決)も行われていない段階で「札親会にやってもらう」と明言することは、指定管理者制度の手続きを無視していて法的に問題があると考える。町長は「問題ない。(開設時期の)平成28年4月までに行う。」と言っているが、本当か? もしどうしても札親会にやらせたいのであれば、先に条例の制定と指定を行うべき。

■指定管理者に指定する予定の札親会に、計画や方針の調査を行わせるのは問題があるのでは? 本来、幼児教育の方針や計画は町が作り、それに対して具体的な事業の展開を(複数の)業者側が提案、その中から最適なものを選び指定するのが手順。業者と一体となって方針や計画を作ったのでは検証も最適化もできない。指定管理者制度の利点を活かせない。

■札親会への委託料は各事業の積算とそれにより発生する人件費の計上ではなく、一括した業務量に対する人件費となっている。また委託事業の実施にあたっては(指定管理者制度による協定の範囲内の)保育業務とのやりくりを念頭においた設計になっている。
指定管理者制度では、協定の範囲内の業務(花の里保育園の業務=行政の代行)と新たに発生した委託業務(認定こども園開設準備業務)は明確に分けなければならず、委託業務部分に事業者の裁量はない。今回の事業設計に問題がある。

■「開設準備の主体は町の開設準備組織である」とのことだが、この会議に出席する大谷幼稚園関係者への費用弁償は計上されていない。花の里保育園側の分は委託料の中に含まれるのか? 
開設準備組織が事業の主体なら、会議の費用弁償を計上すべき。花の里保育園関係者へも委託料ではなく費用弁償として支払うべき。事業設計に問題があるのではないか?

■指定管理者制度では、指定管理者を[行政の機関][行政の代理]と位置付けている。このことから指定管理者に対して補助金は支出できない。教育長が言うように「認定こども園開設に向けた全体の研修であり、委託事業の1つ」であったとしても、使途目的が職員の研修であれば補助金の一種と捉えることもできる。問題があると考える。


【他の議員の意見】
以下の趣旨の質疑(楠議員)と賛成討論(鳥潟議員)がありました。

■町がやろうとしていることは理解する。しかし、やり方が悪いのではないか。町が主体となる姿勢が見えない。町のリーダーシップを示して欲しい。
   ↓
町長・教育長からの答弁「教育委員会が中心になって進めて行く。」「法に触れない形でしっかりやっていきたい。」「予算の使い方が説明できるようにやっていきたい。」

■今回の議論が「指定管理制度に適合するか」という法律論や監査的な方向に行っているが、議員が議論すべきは「町民のためになるかどうか」の政策論。保護者や子ども達が円滑に移行できるかは重要な視点。

■近年、指定管理者制度による官制ワーキングプアや保育士等の不足が問題になっている。また、平成27年度には法律改正(子ども子育て支援法の施行)もあり、現場の混乱も考えられる。指定管理者(事業者)に配慮が必要であり、事業者を変えることが必ずしも良いとは言えない。そういう時期ではない。

■認定こども園開設開設にあたっては保護者や子ども達に不安を与えないよう準備作業にあたって欲しい。「予算執行にあたって、疑念の起きないようにやっていく。」とのことなので、議員からの指摘事項も踏まえ、町長と教育長がリーダーシップをとって進めて欲しい。


審議の結果、採決となり 賛成8・反対1(宮下)で、原案通り可決しました。

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