2014年12月11日

町長の“まちづくり”は、その視点、そのやり方なの!?【平成26年第4回定例会/報告】その1 一般質問

一般質問が終わりました。

議員になって8年目、毎回一般質問を重ねて早31回目となる今回ですが、相変わらず上手く話を展開できず、堂々巡りだったり、とっちらかったり。なかなか進歩できません。
とはいえ、今回ほど「町長・町(行政)側」と「私」の意識・認識の違いがハッキリと現れた回はなかったしょう。一般質問を終えた今、反発、焦燥感、落胆・・・とも違う不思議な感情・・・昔、同じ夢を持っていたじゃないか、なのに今は・・・みたいな、懐古的な感情が芽生えています。

では、報告。以下に各質問ごとに私の印象に残った議論内容(要旨)と感想を。

※一般質問をしながら私が取ったメモを元に書いています。ニュアンスの違いや正確さに欠ける部分があるかもしれません。その点はご了承ください。
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平成26年第4回定例会 一般質問報告(宮下裕美子)

1.月形町における受動喫煙防止法について【答弁者/町長】

Q)国や世界での受動喫煙防止強化の流れの中、町としても「取り組まなければならない」状況である。その中で、受動喫煙防止が明記された健康増進計画「健康つきがた21」の進捗状況と、国が求める公共施設の全面禁煙への対応はどうなっているのか?

A)「健康つきがた21」の中で、たばこは後期(平成29年度〜)の取り組み事項になっている。現在は妊婦への指導や住民健診時の個別指導など。今後も取り組んでいく。
 公共施設は現在、建物内全面禁煙になっている。役場庁舎内は分煙で対応し、現在喫煙できるのは、役場庁舎3階(本会議場傍聴席入口近くの角部屋)に最近設置した簡易喫煙ブースと外部出入口横(玄関、通用口)。

Q)庁舎内に喫煙所を新設することは「少なくとも官公庁は全面禁煙が望ましい」という国の方向性に反していないか。また、交流センターにある最新設備を有した喫煙室は「公共施設内」という理由で使用禁止にしていながら、役場庁舎内では(基準を満たしていない状態の)喫煙所を新設し、使用するとはいかがなものか。町民の理解が得られないのでは。
 また、玄関先に灰皿を置き喫煙所としているのはいかがなものか。受動喫煙防止法の趣旨からいえば入場する人に煙の影響がある場所で喫煙させることこそ問題。他の自治体では、駐車場など人通りの少ないところに喫煙ブースを設けて喫煙場所を確保している。

A)町民が公共施設を利用するのは一時的・短時間であるが、役場庁舎内では職員が一日8時間仕事をしている。一般公共施設と使い方が違う。役場職員は59人中14人の喫煙者がいる。全面禁煙にしてしまうのはどうなのか。
 他の自治体の例は参考にする。もう一度検討する。

[感想] 
私は「月形町の公共施設の設置者」あるいは「月形町国民健康保険の設置者」という立場の月形町長に質問をしたつもりでしたが、返ってくる答えは「役場職員喫煙者の代表」のような発言ばかり。どうしてこうなっちゃうの?
喫煙者を擁護するのならば、受動喫煙の害を理解した上で、適切な環境を整えることこそが設置者の役割では。今の状況はあまりにも中途半端。
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2.指定管理者制度の運用(公募によらない選定)について【答弁者/町長】

Q)指定管理者制度は、自治体が決めた条例や規則によって運用することができる(=自治体の裁量でいかようにも運用できる)制度であるが、原則は「公募」であり条例にも明記されている。しかし、月形町で公募が行われたのは「月形町保養センター等」のみで、他の施設は公募によらない選定だった。その理由と根拠は?

A)6つの指定管理者のうち、公募によらない選定(非公募)の5つについて。
 非公募の理由はそれぞれの施設により違う(個別に理由説明アリ。ほとんどの場合、過去の実績や適正な住民サービスが提供されているなど。いずれの施設も、指定管理者制度に移行する前に業務委託していた事業者がそのまま非公募により選定されているので、指定管理者制度の下では一度も公募されていない。)
 非公募規定は法でも認められていること。また手続き条例にも明記されている上、それぞれの施設の指定管理者の指定のさいも議会が議決しているのだから、理解・承諾されていると考えている。

Q)条例には「公募しなければならない。ただし、緊急の場合その他規則で定める場合は、公募によらず」とある。その規則はこれまでに2回改正(非公募が可能になる要件の追加)がされているが、その時期は指定期間満了の直前であったり、1年前の認定こども園の議論が始まった時期。何らかの意図を感じた。それに、規則は町側が勝手に改正できるものであり、議会は改正を知らされていない。
 2度の改正の結果、現在はどんな場合でも非公募で選定できる規則になっているし、非公募の理由を公表する必要もない。私は道内自治体の条例と規則を独自に調査したが、これほど突出しているものはなかった。この点からも疑問がある。なぜこのような改正をしたのか? 

A)規則の改正は不備があったために行ったのであって、意図的ではない。
 指定管理者の手続きに関しては、選定委員会で検討をしているし、条例や規則にも反していない。また指定管理者は監査の対象になっている。行政側として、透明性は確保できるいる。
 
[感想]
町側は「透明性は確保できている」と言うが、この状況に疑義を持たないと本気で思っているのだろうか? 何も裏がないのなら迫られて説明するより、手続きを透明化して疑義を持たれないようにすることが先決だと思う。なぜ手続きを省く方向、隠す方向に向かうのかが私には理解できない。
多くの自治体が公募をしたり理由を公表するのは、原則に従った方が、あるいは情報公開した方が、信頼失墜のリスクが低いことを知っているから。町民が主権者だと理解しているから。
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3.指定管理者制度における指定管理料について(答弁者/町長)

Q)非公募で選定したとき、指定管理料が発生する施設での指定管理料の設定はどのように進められているのか。また、金額の妥当性はどのように検討されているのか。さらに、手続き過程の透明性はどのように担保されているのか。

A)非公募(=月形町の場合、引き続き同じ事業者が指定管理者になる)場合の指定管理料設定手順は、まずそれまでの仕様書(業者との契約書)を元に事業者から収支予算書と事務計画書を提出してもらい、選定委員会で実績と計画、5年分の物価上昇分などを合わせて検討。事業者側に再度予算書を提出してもらって指定管理料を決定している。
施設の管理経費や見積内容を参考に指定管理料は積算している。選定委員会(副町長+全課長+財政担当者、当該施設の担当部署:全て役場職員)で検討する上、監査委員による定例監査や行政監査も受けている。金額は妥当であり、透明性も確保できている。

Q)指定管理者を決めるとき、公募・非公募にかかわらず、まずは町側が「その施設を使って業者に何をして欲しいのか」を定めた要求水準書を作るのが一般的。要求水準書をホームページで公開している自治体も多い。要求水準書が基準となり、それと事業者からの提案を比較して金額の妥当性を決めていく。先ほどの説明では要求水準書がない上、金額の比較もできていない。非公募の場合、業者間の比較ができないのであるから近隣自治体や類似施設等との調査や比較が必要では?

A)指定管理料は単価だけでなく内容も審査して決める。経費を下げられないこともある。非公募の施設は、誰が考えても非公募(公募する必要がない)と判断できる。
類似施設との比較と言うが、全く同じモノがあるのか。施設の規模も人口も違うし、地域性もある。(類似施設との比較は)現実的でない。
指定管理料は議会の議決案件である(議会は既に承認している)。

[感想]
今回の説明を聞いて、全ての基本となる要求水準書がないこと、金額は常に「積算」されるだけで業者からの「言い値」が基本になっていることがハッキリしました。
要求水準書がないということは軸を持っていないことと同じ。比較したくても何と比較すればいいのか解らないはず。それまでの仕様書(業者との契約内容)を基本にして同じ業者とまた協定(契約)を結んでいるようでは、自治体運営の基本原則「最少の経費で最大の効果をあげること」は到底達成できないと感じました。

指定管理者制度は確かに金額の安さだけで物事を決めるわけではありません。ただ、税金を使って公共のものを調達する以上、金額の精査は必須です。それは監査委員が見るからOKなのではなく、最初の契約(協定締結)段階が最も重要で、行政の役割だと私は考えます。
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あと2つ質問が残っているのですが、長くなりましたので《つづき》は次に。

2014年11月06日

議員活動にとって法務は必須【日経グローカル No.254 に掲載】

日本経済新聞社 産業地域研究所が発行する隔週誌日経グローカル No.254(2014年10月20日発行)」【議会改革の現場から】というシリーズの第2回に、私の論考が掲載されました。テーマは「審議充実へ法務支援の増強を」です。

内容は・・・
町村議会では法務の体制が弱く、議案審議において法的視点がおざなりになりがちである。月形町での指定管理者を巡る議論を事例に、法務支援のあり方を提案。

今回の寄稿は、私が個人的に所属する「議会事務局研究会」からの活動報告という一面も持っています。


議会事務局研究会」は、地方議会事務局のあり方を実務面から研究するために、平成21年に発足しました。研究者と自治体職員、地方議員で構成され、主に関西方面でシンポジウムや研究会を開催する他、メーリングリストによる情報交換を行っています。

私は平成24年に入会したのですが、未だシンポジウムや研究会への参加は叶っていません。それでもメーリングリストを活用し、情報交換・疑問解決しています。
知識も視点も違う人たちとメールを通じて会話を重ねることによって、問題の本質に迫ることができるのが何よりの収獲。面識はなくとも同じ意識を持っているからこそ充実した議論になるわけで、普段の議員活動を考えさせられるひとときでもあります。


雑誌に寄稿した文章ですので、ここに掲載することはできません。
が、興味を持たれましたら、どうぞお声かけください。

2014年10月25日

様々なロールモデルに出会って【日本女性会議2014札幌/2日目】

前回に引き続き、日本女性会議2014札幌 2日目(10月18日)の報告です。

この日は各界で活躍する方々が登壇し、最後に大会宣言が出され閉会しました。(3日目はエクスカーション=体験型見学会なので、会議は2日目まで。)

この大会は私たち女性に様々なロールモデル(具体的な行動や考え方の模範となる人物)を提示してくれました。日常生活で行き詰まったとしても、顔を上げて視点を少し遠くに向ければ、答えや希望が見つかると教えてくれました。そのためにも、自ら動き出す(顔を上げる、前を向く、一歩登る、一歩踏み出す)ことが大事だと。

女性であることに誇りと自信が持てるような社会にしていきたいです。

以下は大会宣言の主要部分と、各講演で印象に残った点です。

私の人生を振り返るとスポーツで形成された部分が大きいと感じます。その感覚から、柔道家の山口 香さんに強い共感を覚えました。ロールモデルとして注目していきたいと思います。
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日本女性会議2014札幌 大会宣言

変わるべきは、わたしたち自身もであり、 わたしたちの身近な人たちに、男女共同参画社会という希望を語り続けましょう。
子どもたちに、性別を理由とした区別をしてはいけないと何度でも教え、 その役割分担は、性別により固定してはいけないことを伝えましょう。
あらゆる女性や弱者への暴力を否定し、 個々人が自分らしい生活や職業を選ぶことのできる知恵や工夫を分かち合いましょう。
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特別講演「100歳まで弾くからね! 〜母として、コンサートマスターとして〜」
 講師:大平まゆみ氏(ヴァイオリニスト/札幌交響楽団コンサートマスター)

◆「背中でものを言う」・・・ 多くを語らずとも、背中(姿勢)で伝える。
◆言葉は浅く、心は深く
◆気は短いより、長い方がいい。
 気は小さいより、大きい方がいい。
 気は弱いより、強い方がいい。
◆気はエネルギー。愛と同じ。発するほど増えていく。

記念講演「強くやさしい社会を実現するために 〜次世代へのメッセージ〜」
 講師:山口 香氏(筑波大学体育系准教授/柔道家)

◆柔道の祖嘉納治五郎先生。女子柔道の二人の母、福田敬子先生、ラスティ・カノコギ。
◆柔道は自己表現のひとつ。やりたいことに挑戦できる社会を創る。
◆環境が整い、競技力が上がっても、人間が強くならなければ意味がない。
 → 女性の自立。強いものへ向かっていく気持ちを育てる。
◆男性と女性は生理的な違いがある。理解するために話し合いをする。(今までは、女性が発言する場がなかった。)違いを受け止め、違いを認める。
◆違いを尊重し、違いに価値を見いだす。
◆女性から発信されたことは、女性だけでなく社会に価値があること。
戦うのではなく、共存
◆日本サッカー協会リスペクトプロジェクト
「愛は翼にのって」(原題:Wind Beneath My Wings)ベッド・ミドラー

分科会報告

シンポジウム「今、ここから始まる。」
[コーディネーター]
■林 美枝子氏(実行委員長/日本医療大学保健医療学部教授)
[シンポジスト]
■柿沼トミ子氏(全国地域婦人団体連絡協議会会長/男女共同参画会議議員)
■秀嶋ゆかり氏(札幌弁護士会所属弁護士)
■長沼 昭夫氏(株式会社きのとや代表取締役社長)

◆私たちの地域は、私たちが守る。そのために「連携」「ネットワーク」
◆若い世代に想いを伝えていく。
◆ほんの少しの勇気でつながりは広がる。
 ・一言を発する。 ・メールを一本入れる。 ・足を運ぶ。・・・
   ↓
 何でもいい、一歩踏み出すことから始まる。

2014年10月20日

様々な壁とたくさんの窓。扉を開けるのは自分自身なんですよね〜。【日本女性会議2014札幌/1日目】

20141017a.jpg10月17日(金)〜18日(土)、札幌コンベンションセンターで開催された「日本女性会議2014札幌 未来の景色は、わたしたちが変える。」に初参加してきました。

この「日本女性会議」とは、男女共同参画社会実現のための全国規模の会議で、1984年に第1回が名古屋市で開催されました。その後、毎年全国の都市で持ち回り開催されていて、今年の札幌が第31回。来年は岡山県倉敷市で予定されています。

会場には全国各地から2,000人程の人が集まったとか! 
その多く(たぶん9割以上)は女性で、中高年が中心でしたが若い人の姿も。服装はのびのびとカラフル。そして何より会議に向かう姿勢は真剣そのもので、かぶり付きは当然。積極的なリアクション(拍手や挙手)で参加者と壇上がつなって、エネルギー満タンです。
比較するのも何ですが、同じ会場で行われる「北海道町村議会議長会議員研修会(同じ2,000人規模。参加者のうち女性議員は1割弱で女性事務局職員を入れても、女性と男性との比率は正反対)」とは全く違った雰囲気。コミュニケーションやネットワークづくりが上手い、女性の特長全開です。

会議は1日目に分科会(大小・長短あわせて15分科会)、2日目に記念講演や特別講演、全体シンポジウムという変則的な編成でした。どれもとても興味をひかれるもので、内容も盛りだくさん。会議が終わって帰宅する頃には、私の頭はジンジン。相当な刺激でした。

というわけで、日本女性会議で私の印象に残った点を1日目と2日目に分けて、キーワード的に書き出していきたいと思います。まずは1日目。私は第1分科会を選択しました。
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分科会1/女性の活躍推進 シンポジウム
「働く女のサバイバル 〜女性が社会で活躍するために必要なこと〜」

[コーディネーター] 
■上野千鶴子氏(東京大学名誉教授/認定NPOウィメンズアクションネットワーク理事長)
[シンポジスト]
■伊藤 好美氏(フリーランスフォトグラファー)
■下郷 沙季氏(北海道大学文学部/札幌学生ユニオン共同代表)
■新田 和代氏(社会保険労務士/行政書士)
■山本亜紀子氏(株式会社エルアイズ代表取締役)

[上野千鶴子氏から]
◆「雇用機会均等法」と「労働派遣事業法」、「過剰な配慮」と「差別」は、ウラオモテの関係。
◆ネオリベ改革(=ネオリベラリズム。新自由主義)は女女格差を生む。
◆少子化対策なら、女性に正規雇用を。
◆「3年抱っこしほうだい育休」は、最もコストのかかる1〜3歳児の保育をしないという宣言。本当にほしいのは、育休明けの保育。ただし、育休は正規雇用者のみの制度。
◆「すっぱいぶどう」シンドローム
◆「マミートラック」に塩漬け

◆女性も男性も働きやすくなる処方箋は
 (1)労働時間の短縮(男女とも定時帰宅)
 (2)年功序列制の廃止(新卒一括採用をやめる)
 (3)同一労働、同一賃金

◆「マルチプル・インカム=多様な収入源=小銭をかき集めて生きる」によるリスク・マネジメントを。シングル・インカム(夫の給料のみ)に頼る生活はリスクが高い。


[シンポジストとコーディネーターとのやりとりから]

◆立場が異なる女性間の相互不理解は溝が深い。女女間の状況差による意識の違いがある(例:祖母力)
労働市場では「男性は年功序列的」「女性は能力主義的」な状況が現実。
◆結婚や出産を機に安易に仕事を辞めてしまう風潮や、管理職に就きたがらない女性が多いことも問題。
◆子どもを産まなければ、女性も男性も同じに働ける。
 → 女性の労働問題=出産・育児の問題
130万円の壁(配偶者控除や社会保障に関する年収の壁)は取り払うべきか?
◆学生ユニオンが行っているのは、(単純に)雇用者と戦うことではない。いかに学生が(労働差別や不当労働に対して)戦えない社会であるかを訴えていくこと。
労働法の知識のない人がほとんど。労働法の教育が必要。ワークルール検定などもあるが、もっと行政に頑張って欲しい。また、経営者側への教育として、起業時に労働法を必須にするなどの取り組みがあってもいい。
「出世は楽しい」。決定権もあり、お金も采配できる。自由度が増す。この楽しさを女性は味わっていない。


[若い女性へのエール]
◆自分への投資を。(起業も投資の1つ)
◆やりたいことがあれば、自分で拓く。
◆視野を広く、諦めないで。
◆いっしょに居場所をつくっていこう。


[行政へ]
◆子育て支援の充実、無料化。
◆女性の働く力を認めてほしい。
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【1日目を終えて】
私の、日本女性会議への参加の目的の1つが上野千鶴子さんの話を直接聞くことでした。私が抱く上野さんのイメージは「意志のハッキリした強い女性」。これまで発表された文章や記事、写真などから、私は勝手に「全てが強烈な人」なのかと思っていたのですが ・・・
実際は超ソフトで柔和な語り口と表情。講演内容以前にビックリしました。やっぱり実際にお会いしないと解らないですね。ただ、話の内容や場を和ますために入れるボケとツッコミは、とても鋭くて厳しい! なるほど〜。女性学などの分野で活躍してきた上野さんの魅力は「ギャップ」にあったんですね。大会参加1つ目の収獲です。
講演終了後には一緒に写真を撮るために並ぶ人や涙を浮かべて握手する人などが列をなしていて、上野さんのカリスマ性や実績を見ることができました。再度なるほど〜。

それからもう1つ。シンポジストの皆さん(20代〜40代/既婚・未婚/経営者・個人事業主・被雇用者)の経験から導かれた話には説得力があり、3時間の長丁場も終始引き込まれました。4人の視点はそれぞれ違うものの、共通しているのは「自らの考えで一歩踏み出していること」。
私は4人の話のどれにも共感できて刺激と希望を受け取ったのですが、この会場に集まった参加者の多くも同様の感覚を持ったようです。それは皆さん「一歩踏み出している人」だから。シンポジウム終了後の会話や参加者の満足感から、そう感じました。

それから新たな発見も。シンポジストの1人で学生ユニオンを作った下郷さんから、たくさんの気づきを与えていただきました。特に「自然体」でいることの重要性 ・・・

私の場合、一個人として社会を渡り合っていくには、まず女性だということを意識し、相当の覚悟と毅然とした態度や言動が必要不可欠と思って、そう努力してきました。ありのままを出すというより、ちょっと背伸びした「外向きの姿」で武装しているようなイメージです。
でも、人と人とが理解し合うためには「自然体」が重要なんですね。それに、今の時代は「自然体」が受け入れられている、というよりむしろ「自然体」の方が良いのかも。女性だからと気を張るのではなく、一個人として評価される時代になってきているのだなあと(少なくとも若い世代は)。ちょっと嬉しい発見であり、意識転換の必要性も感じた次第です。

社会全体を見ると、まだまだ男女共同参画社会にはなっていません。残念ながら。
それでも意識の上での変化は確実に起きていると思います。あとは「自分の置かれている状況を客観的に評価」し、「腐ることなく希望を持ち続けること」「自ら一歩踏み出すこと」ですね。
社会には様々な壁がありますが、その先を見せてくれる窓もたくさん開いています。あとは自ら扉を開け一歩踏み出すかどうか。壁に阻まれ身動きが取れなくなっていると思っても、案外身近なところに隠された扉があるのかもしれません。それを捜し、開けていきましょう。

最後に、素敵なエールを紹介します。
開会式での大会実行委員長/林美枝子さんの言葉です。
「めざす途中の道からはゴールは見えない。見えるのは次の曲がり角だけ。」

2014年09月28日

2極化、格差拡大。進むべき方向は納得できるが、居眠り自治体・議会に必要なのは・・・【北海道自治体学土曜講座 第4回 さらなる自治体・議会改革の必要性〜「いま代表制民主主義が危ない」】

北海道自治体学土曜講座 第4回が、9月27日(土)に北海学園大学で開催されました。今回のテーマは【さらなる自治体・議会改革の必要性〜「いま代表制民主主義が危ない」】、北海道自治体学会との共催です。会場には、いつにもまして議会関係の参加者が多かったように思います。

以下は当日のプログラム。あわせて私の印象に残った点を記します。
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第1講 
■基調講義「代表制民主主義の再構築〜議会が変われば自治体が変わる」
                   神原 勝 氏(北海道大学名誉教授)

[内容メモ]
・「二元代表制」の言葉は、1970年代に造語されたが普及せず。7、8年前から自治基本条例制定や地方分権の流れの中で一般に広まった。今は中学校公民教科書(東京書籍)にも記載されている。
・自治体は「機関対立型」の政治・行政。国は「機関一体型」。原理が違う。
・議会(=合議制)のメリットは、多様な争点・論点の提起。
・議会は「討論の広場」。議会には様々な主体(市民、首長、議員、職員)が登場する。
・過程分立の概念を活用すれば、議会はどの局面に関しても論点・争点を提起できる。
・今までは「議員あって議会なし」。議員間討議の導入で「機関としての議会」になる。
・これまでの議会改革の力点は「議会の見える化」だったが、これからの議会改革の主眼は「議会が変われば自治体が変わる」。総合計画条例。議会改革は決して内部改革ではない。
・常任委員会における個別事業の評価(継続・修正・廃止・新設)が、議会による政策提案となる。常任委員会における政策論議の活性化が重要。
・自治体の政策ルール(首長と議会の緊張)が確立して初めて、市民と議会の双方向性の確立、議員間討議の推進が可能になる。
・議会改革を支える事務局は、自治体職員を鍛える最高の場。

■事例報告「地方自治の分立と議会」勢旗了三氏(北海道町村議会議長会参与)

[内容メモ]
・議会への住民参加は遅れている。まずは「真似る(コピーする)」ことから。
・委員会活動を行うには、最低6人は必要。(正副議長が同時に事故に遭うことがある。残りの4人の委員の中から暫定議長を決めると、審議する委員は3人になるから。2人では議論にならない。)
・議会は2極化している。改革に前向き・後ろ向き、自治体規模の大・小など。


第2講 ■実戦報告「芽室町議会における取り組み〜反問できる議会とは」
                 西科 純 氏(芽室町議会事務局)

[内容メモ]
・西科氏が事務局長に就任してからの4年間の取り組みを紹介。(精力的で様々な取り組みあり。詳しくは芽室町議会のホームページへ。)
・議会事務の継続性担保のための取り組み(議会基本条例や議会活性化計画、ICTの活用、HPでの公開、他)
・議員のモチベーションを持続するために、各常任委員会からの政策提案の競い合いや議員間討議の導入、他。
・議会改革とは、住民参加と、住民が参加の意義を感じられること。


第3講 ■討論「さらなる自治体・議会改革の必要性〜地方分権の成熟に向けて」
 司会:  石井 吉春氏(北海道公共政策大学院教授)
 パネラー:西科 純 氏(芽室町議会事務局長)
      神原 勝 氏(北海道大学名誉教授)
      松山 哲男氏(登別市議会議員)
      勢旗 了三氏(北海道町村議会議長会参与)

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「自治体は機関対立型の政治」「機関としての議会」など、二元代表制の下で議会が機能するには、(議員間討議などで)議会全体の意思を明確にすることが重要であり、目指すべき方向だという内容だった思います。確かにそうだと納得できるのですが、うちの議会や行政の現状を考えると道のりは遙かに遠く、相当に「置いていかれた」感があります。ここでも2極化、格差拡大の現実をたたきつけられたようで途方に暮れました。

先進議会の取り組みは「政策提案する議会」に向けたもので、常に「未来」を視点に置いていると感じました。一方、うちのような「居眠り(時代に遅れている)議会や自治体」は、今議論している案件(現在)、事業が進んでいる=過去に議会が関わった案件(過去)において、間違いや住民視点の欠如などの問題が山積みで、その対応や解決に追われているのが実態です。つまりは「未来」にも増して「現在」「過去」への視点が必須です。そうなると、議員や議会が身につけなければならない視点や資質は、政策提案よりはむしろ「チェック機能の強化」であり、実務的・実践的なものになると思うのです。

討論の最後で「住民の意見を聞く方向に議会はシフトしていくのではないか」というお話しだったのですが、うちの議会の様な極々小さい自治体(人口5000人以下。月形町は3,500人)では暮らしの中で住民との接点も多く、特別な仕組みを持たなくても住民意見が政策に取り入れられる場面があります。よって、議会や議員に求められるのは「広聴性」よりはむしろ「専門性」なのではないかと。


いつも講座が終わると、新しい知識や発想を得られてハツラツとした気持ちが湧いてくるのですが、今回はドンヨリ曇天模様、重たさいっぱいで帰宅しました。(討論最後の貴重な質問時間だったのに、まとまりのない整理のついていない質問をしてしまったことも・・・一因。参加者の皆さん、ゴメンナサイ。)

ドンヨリ曇天模様でも、ちょっとは晴れ間も。久々にお会いできた人との会話と笑顔は励みになりましたし、抱えている課題を専門家に相談することもできました。それに、大学の雰囲気や札幌の街並みは気分転換になりましたよ。

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